ポリポーシスにはいくつかの種類があります
[2025/12/01] 胃腸科
みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
皆さんは、ポリポーシスという言葉を聞いたことがありますか?
大腸ポリープは、目にしない日はほとんどないかもしれない、と思うほどありふれたものですが、ポリポーシスは当院のように、検査数の多いクリニックであっても、あまり目にすることのない、比較的珍しい症例と言えるでしょう。
今回は、このポリポーシスとは何か、どのような種類があり、どんな治療が行われるのかを、できるだけ分かりやすくお話していきます。
そもそもポリポーシスとは一体なに?
ポリポーシスとは、胃や大腸、小腸などの消化管にポリープが多数できる(一般的には100個以上)状態を指します。
ポリープとは、粘膜が内側に盛り上がってできた「できもの」のようなもので、多くは良性ですが、ポリープの種類によっては将来的にがんへ進行する可能性があります。
ポリポーシスには、
生まれつきの遺伝子の影響で起こるもの(遺伝性)
炎症や免疫の異常など、後から起こるもの(非遺伝性)
があり、それぞれ原因やリスクが大きく異なります。
そのため、正しい診断と定期的な検査がとても重要になります。
また、症状はあまりなく、現れても腹痛、嘔吐、下血といったよくある消化器の症状が多いため、健康診断で便潜血が陽性となった場合などに、たまたま受けた大腸カメラで発見されることが多いです。
さて、このポリポーシスにも種類があります。
一体どんな種類があるのでしょうか?
ポリポーシスの主な種類
主なものは遺伝性のポリポーシスで、遺伝性ポリポーシスには、線種性ポリポーシス、過誤腫性ポリポーシスがあります。
① 家族性大腸腺腫症(FAP)
家族性大腸腺腫症は、思春期から20代にかけて大腸に数百~数千個のポリープができる病気です。
これらのポリープは「腺腫性ポリープ」と呼ばれ、放置するとほぼ確実に大腸がんへ進行するとされています。
APC遺伝子という遺伝子の異常が原因で、親から子へ遺伝することがあります。
また、大腸だけでなく、胃や十二指腸にもポリープができることがあります。
症状がなくても、若いうちから検査・治療を始めることが非常に重要な病気です。
② Peutz-Jeghers(ポイツ・ジェガース)症候群(過去のブログはこちら)
主に小腸を中心にポリープが多発する遺伝性疾患です。
ポリープは「過誤腫性ポリープ」と呼ばれ、形が特徴的で、口の周りや唇、手足に黒っぽい色素沈着が現れることがあります。
STK11遺伝子の異常が原因で、消化管のがんだけでなく、膵がん・乳がん・卵巣がんなどのリスクも高まります。
そのため、消化管検査だけでなく、全身を対象とした定期的ながん検査が必要になります。
③ 若年性ポリポーシス
小児期から若年期にかけて、大腸や胃に多数のポリープができる病気です。
ポリープからの出血により、貧血や腹痛が起こることがあります。
SMAD4やBMPR1A遺伝子の異常が関与しているとされ、大腸がんや胃がんのリスクが高いとされています。
「若年性」という名前ですが、年齢に関係なく注意が必要な病気です。
④ Cronkhite-Canada(クロンカイト・カナダ)症候群
こちらは遺伝とは関係なく、後天的に発症する非常にまれな病気です。
自己免疫の異常が関係していると考えられています。
消化管に多数のポリープができる病気で、脱毛、爪がもろくなる、皮膚の色素沈着といった全身症状がみられます。
また、下痢や栄養不良、体重減少を伴うこともあります。消化管だけでなく、全身状態の管理が重要な疾患です。
⑤ 炎症性ポリポーシス(過去のブログはこちら)
潰瘍性大腸炎やクローン病などの、炎症性腸疾患に伴ってみられることがあります。長期間の炎症により「偽ポリープ」が形成されます がんのリスクは、基礎となる病気の活動性や経過に左右されますが、放置してしまうとほとんどの場合はがん化するといわれています。
まずは、原因となる潰瘍性大腸炎やクローン病の治療をしっかり行うことが大切です。
⑥ その他の関連疾患
◆ リンチ症候群(HNPCC)
ポリープは多くなくても、大腸がんや子宮体がんなどのリスクが高く、家族歴がある場合は特に注意が必要です。
◆ 散発性ポリープ多発例
遺伝とは関係なく、複数のポリープができることもあります。
定期的な内視鏡検査が重要です。
いかがですか?
みなさんの想像よりも種類が多かったのではないでしょうか。
では、こうしたポリポーシスが見つかった場合には、どのように治療を行っていくのでしょうか。
ポリポーシスの治療法
治療は、病気の種類・ポリープの数・大きさ・がん化の可能性を総合的に判断して決めます。
● 家族性大腸腺腫症(FAP)
大腸がん予防のため、大腸を切除する手術が検討されます。
状態によっては、内視鏡でポリープを切除しながら経過観察することもあります。
● Peutz-Jeghers症候群・若年性ポリポーシス
大きなポリープは内視鏡で切除を行います。
定期的な消化管内視鏡検査+全身のがん検査が欠かせません。
● Cronkhite-Canada症候群
ステロイド治療と栄養管理が基本です。
出血やがんを合併した場合は外科的治療を検討します。
● 炎症性ポリポーシス
潰瘍性大腸炎などの原因となっている疾患のコントロールが最優先の治療です。
ポリープが大きい場合は内視鏡切除を行います。
まとめ
いかがでしたか?
遺伝性のもの、非遺伝性のものがあり、遺伝性のものは更に線種性のもの、過誤腫性のもの、と細かく種類が分かれています。
遺伝性ポリポーシスはがんのリスクが高いため、早期発見・予防的治療・定期検査が非常に重要となります。
対照的に、非遺伝性ポリポーシスはがん化こそあまりないとされているものの、原因となる疾患の状態によっては将来的ながん化の可能性もあります。
原因疾患の治療や、栄養・全身管理をきちんと行う必要があります。
つまり、どのタイプのポリポーシスであっても、放置は厳禁!定期的な検査が必須!ということになります。
症状がわかりやすく病気ではないため、症状はあまりあてになりません。(これはどの病気にも言えることですが・・・)
遺伝性ものなので、「自分は大丈夫」と思っていても知らぬ間に病気が進行している可能性も考えられます。
「過去に家族や自分がポリープが多いと言われたことがある」
「家族に大腸がんの方がいる」
こういった方はぜひ、一度大腸内視鏡検査を受けてみましょう。
ららぽーと横浜クリニックでは、消化管疾患の検査から定期的なフォローまで、幅広く対応が可能です。
家族歴がなくても、気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談ください。