アレルギー性鼻炎はつらい!~その2~

印刷用ページ[2016/02/15] 皮膚科・アレルギー科

こんにちは。 前回の記事では、アレルギー性鼻炎とはどんなものなのかについてお話しました。

今回はアレルギー性鼻炎の「診断と治療法」についてご紹介します。

 

■アレルギー性鼻炎の診断

アレルギー性鼻炎の診断において重要なのは、原因物質(アレルゲン)を特定することです。

問診や血液検査で、時には皮膚パッチテストも行いながらアレルゲンを絞り込んでいきます。

アレルゲンが特定されれば、生活上の対策はもちろん、症状を改善するための投薬治療も行われます。

 

■アレルギー性鼻炎の治療法

では、実際にどのような治療法があるのでしょうか?いくつかご紹介します。

 

○薬物療法

アレルギー性鼻炎の治療に用いられる薬には、飲み薬や点鼻薬などの多くの種類(下に詳しく書いてあります)があり、その中から症状に合わせた薬が処方されます。

アレルギー性鼻炎の治療で使われる薬は、大きく分けて「抗ヒスタミン薬」と「抗アレルギー薬」の2種類があります。これらを上手に使い分けるには、アレルギー症状が起きる仕組みを知ること必要です。まずは簡単にどのようにアレルギー症状が現れるのかを説明します。

 

 

ここで登場する「ヒスタミン」は、アレルギー反応に大きくかかわっている物質で、「ヒスタミン受容体」と結合することによって、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどのアレルギー反応を起こします。

ヒスタミン受容体にはいくつかのタイプがありますが、主にアレルギーに関わるのは「H1受容体」で、主に血管などに多く存在しています。ちなみに、受容体の頭文字「H」は「ヒスタミンのH」です。

 

*抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬の作用は「細胞から発生したヒスタミンが受容体と結合するのを防ぐこと」です。

抗ヒスタミン薬は、第1世代と1983年以降に発売された第2世代に分類され、それぞれに特徴があります。(下の図を参照)

近年、病院では第1世代の処方は減少傾向にありますが、新しいから第2世代が良いというわけではなく、効果と副作用(個人差があります)によって使い分けるのが大切になってきます。

投与法としては、飲み薬、点鼻薬、点眼薬などがあります。

 

*抗アレルギー薬

抗アレルギー薬の作用は「アレルゲンからの刺激を受けた細胞からヒスタミンなどの物質が発生するのを防ぐこと」です。

抗アレルギー薬の具体的な商品名としては、インタール、リザベン、アレギサールなどがあります。

抗ヒスタミン薬のように○○世代というようなものはありませんが、抗ヒスタミン薬の中でも第2世代の薬は、抗アレルギー薬の作用をもつものもあります。

 

…ここまで読んでお分かりいただけたと思いますが、抗ヒスタミン薬も抗アレルギー薬もヒスタミンに関係するお薬ですが、両者の違いはアレルギー症状に対してアプローチするタイミングです。

 

*ステロイド薬

鼻や眼の粘膜の炎症に関わるシグナルの生産を抑えることで、抗炎症作用を示します。ステロイド薬にも、点鼻薬、飲み薬、点眼薬があります。

点鼻薬は鼻に直接噴霧し、くしゃみ、鼻水、鼻づまりすべてに高い効果を発揮します。1日1回の使用するもの、1日複数回使用するものなど様々な種類があります。効果が出るまでに数日かかりますが、定期的に使用することで効果は十分に発揮されます。点鼻薬に副作用はほとんどありません。

飲み薬は点鼻薬と違って全身的な効果が高いですが、副作用(免疫の低下により風邪などの感染症にかかりやすくなる、不眠症、不整脈、むくみ、吹き出物ができるなど)も少しあるので用法・容量をしっかり守って使用します。

 

 

 

○アレルゲン免疫療法(減感作療法)

アレルギーの原因であるアレルゲンを少量ずつ投与することで、体を慣らしていき症状を和らげる治療法です。免疫療法には、皮下免疫療法と舌下免疫治療の2種類があります。

アレルギー性鼻炎を体質から治し、病状を長期間抑えることが期待できる治療です。しかし、治療期間は3~5年かかるといわれており、またすべての方に理論通りに効果が期待できるというわけでもありません。

 

 

 

 

○手術療法

主に鼻づまりの症状が強い患者さんを対象にした治療法です。レーザーによる手術では、麻酔をした鼻の粘膜にレーザーを照射して粘膜を焼き、アレルギー反応を起こしにくくします。

そのほかにも、ガスを使ったアルゴンプラズマ凝固(APC)療法や、電波を使ったセロン(粘膜下高周波凝固)療法、ヴィディアン神経切除術など様々な手術方法があります。

 

 

 

 

いかがでしたか?

アレルギー性鼻炎は、悩まされている方が多い病気ですが、医学の進歩によって治療方法も多くなっています。ご自身にあった治療方法を試してみるのもいいかもしれませんね。

 

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