手足に力が入らない!?ギラン・バレー症候群
[2025/10/01] 胃腸科
みなさんこんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
みなさんは「ギラン・バレー症候群」という病気をご存じでしょうか?
7月のブログ(鶏肉の生食は危険です!)でも少し登場した病気です。
今回はこの「ギラン・バレー症候群」について、もう少し詳しくお話ししていきます。
ギラン・バレー症候群とはどんな病気?
ギラン・バレー症候群は、「末梢神経(まっしょうしんけい)」という体の神経の障害によって、急に手や足に力が入らなくなる病気です。
末梢神経とは、脳や脊髄(せきずい)から全身に伸びる神経のことで、体を動かしたり、感覚を感じたりする役割を担っています。
ギラン・バレー症候群は、年齢を問わず発症する可能性があり、男性にやや多い傾向があります。
発症の1〜2週間前に風邪をひいたり、下痢をしたりといった感染症を起こしていたという方が多く見られます。
症状は2〜4週間ほどで最も強くなり、その後は徐々に回復していくのが特徴です。
ギラン・バレー症候群の原因は?
はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、最も多いのは「カンピロバクター」という細菌が関係しているケースです。
カンピロバクターは、生の鶏肉などに付着していることが多く、加熱が不十分な状態や生の鶏肉を食べると食中毒を起こします。
この細菌に感染したあと、体の免疫(ばい菌を退治する仕組み)が誤って自分の神経を攻撃してしまうことがあります。
このような「自己抗体(じここうたい)」と呼ばれる働きが、ギラン・バレー症候群を引き起こすきっかけになると考えられています。
ギラン・バレー症候群の多くは、自然回復をします。
たとえ重症例であっても、約80%の人が半年~1年で回復し、治癒すると再発や後遺症が残ることは稀です。
しかあし、後遺症が残る可能性もあり、発症から1年経っても歩行に解除が必要なケースもあります。
では、ギラン・バレー症候群はどのように診断するのでしょうか。
ギラン・バレー症候群はどのように診断するの?
ギラン・バレー症候群の診断は、これまでの経過(病歴)とをもとに、診察を中心に行われます。
数週間前に感染症があったか、手足の力が弱くなっていないかなどを確認します。
更に、必要に応じて以下のような検査を行うこともあります。
■ 髄液(ずいえき)検査
背中から細い針を刺して髄液(脳や脊髄を包む液体)を少量とり、たんぱく質や細胞の数を調べます。
ギラン・バレー症候群では、たんぱく質が高くなる一方で、細胞数はあまり増えないという特徴があります。
■ 神経伝達速度検査
電気刺激を与えて神経の伝わる速さを調べます。
伝わり方が遅い場合は、どこかの神経が傷ついている可能性があります。
■ 血液・免疫検査
「抗ガングリオシド抗体」など、特有の抗体が増えているかを確認します。
また、ウイルスや細菌への感染の有無も調べます。
■ 細菌検査
下痢があった場合などには、便からカンピロバクター菌などが検出されることがあります。
検査で異常が見つかっても、必ずしもギラン・バレー症候群と断定できるわけではありません。 では、実際にギラン・バレー症候群と診断された場合には、どのように治療していくのでしょうか。
治療方法
多くの場合、時間の経過とともに自然に回復していく病気です。
ただし、呼吸や筋力が著しく低下することもあるため、早めに治療を開始することがとても重要です。
主な治療法には次の2つがあります。
■ 免疫グロブリン大量静注療法
ヒトの免疫グロブリン(免疫に関わるたんぱく質)を数日間かけて点滴し、免疫の働きを整える治療です。
■ 血液浄化療法(けつえきじょうかりょうほう)
血液をいったん体の外に出し、有害な物質を取り除いてから戻す治療法です。
免疫グロブリン療法で十分な効果が得られない場合などに行われます。
まとめ
ギラン・バレー症候群は、風邪や下痢といった感染症をきっかけに起こることが多い病気です。
そのため、日ごろからの手洗い・うがいなどの基本的な感染症対策はとても大切です。
怠ることがないように、ご家族などでも声を掛け合いながら、習慣化させていきましょう。
感染症の中でも特に気を付けるべきなのは、カンピロバクターです。
カンピロバクター菌は鶏肉に多く見られるため、生食を避け、しっかり火を通して食べるようにしましょう。
また、生の鶏肉に触れた手や包丁やまな板などは、次の食材(特に生食で食べる野菜など)を触るまえにきちんと手を洗いましょう。