胃底腺型胃がんを知っていますか?

印刷用ページ[2025/08/01] 胃腸科

みなさん、こんにちは。ららぽーと横浜クリニックです。
今回は少し専門的なテーマでお話していきたいと思います。
今回のテーマは・・・ 「胃底腺型胃がん」 についてです。
「胃がん」という言葉は聞いたことがあっても、「胃底腺型胃がん」という名前は初めて耳にする方が多いと思います。
実は、このタイプのがんは比較的新しく知られるようになったもので、一般的な胃がんとは少し特徴が違います。
今回は、一般的な胃がんとの違いや診断・治療について、わかりやすくお話しします。


一般的な胃がんとどう違うの?

一般的に、多くの胃がんは、ピロリ菌(正式にはヘリコバクター・ピロリ菌)という細菌が関係しています。
ピロリ菌は胃の中にすみつく細菌で、感染すると長い年月をかけて胃に炎症を起こし(慢性の胃炎)、その結果として胃がんに繋がることが多いのです。

実際、日本人の胃がんの約99%はピロリ菌が原因といわれています。
そのため、日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、ピロリ菌に関する病気の治療と予防のために、ピロリ菌感染者の全てに、除菌療法を受けることが強く勧められています!

さて、こうした一般的な胃がんに対し・・・
胃底腺型胃がんはピロリ菌に感染していない、健康な胃粘膜から発生するという、これまでとは全く違うタイプの胃がんなのです。

では、次に胃底腺型胃がんの特徴を見ていきましょう。


胃底腺型胃がんの特徴

  • 新しいタイプの胃がん

  • 2007年に初めて報告され、2010年に病名として認められた、比較的新しいがんです。

  • 正常胃底腺粘膜から発生する

  • 多くは、萎縮(胃の粘膜が薄くなり弱った状態)などのない、正常な胃の粘膜から発生します。
    そのため、ピロリ菌とは無関係に発生する胃がんと考えられています。

  • 進行がゆっくり

  • 多くの場合は「低悪性度(進行が遅いタイプ)」で、転移(がんが他の場所に広がること)も2〜4%程度と少なく、比較的経過も良好といわれています。
    近年に提唱された新しいタイプの胃がんのため、まだ胃がん発生の詳細なメカニズムについては不明な点が多いとされています。

    日本人のピロリ菌陽性率は、以前に比べ大きく低下しています。
    これは、10年近く前までは保険適応外であったピロリ菌の除菌治療が、保険適応となったこともあり、ピロリ菌の除菌治療後の患者さんも増えているからですね。

    ピロリ菌に感染した胃粘膜から発生することがほとんどである、一般的な胃がんに対し、この胃底腺型胃がんは、これまで考えられてきた胃がんの典型像とは異なるところがポイントになります。
    さて、この胃底腺胃がん、はどのように診断され、治療を行っていくのでしょうか。


    胃底腺型胃がんの診断と治療

    1.胃内視鏡検査(胃カメラ)

    最初の検査は胃カメラです。胃底腺型胃がん(特に早期)は、一見すると良性の病変に非常によく似た見た目をしていることがあるため、注意深く丁寧に観察を行います。
    (ピロリ菌未感染の比較的きれいな胃やピロリ菌除菌後の胃として典型的な見た目であっても、胃底腺型胃がんと診断されたケースも報告されています)

    2・生検(組織検査)

    胃カメラで病変が疑われた場合、その一部を採取して顕微鏡で詳しく調べ、確定診断を行います。

    3.治療方法

    治療は、状態に応じ以下のようなものが考えられます。

    ■ 内視鏡的切除(胃カメラでの切除)

    胃底腺型胃がんの状態により(粘膜の表面にとどまっている場合)、お腹を切らずに内視鏡で取り除くことが可能です。診断と治療を同時に行えるのが大きなメリットです。

    ■ 外科手術(開腹手術、腹腔鏡下手術)

    ごくまれにリンパ節への転移が疑われるときには、胃の一部または全部を切除する手術が必要になる場合もあります。


    まとめ

    いかがでしたか?

    胃底腺型胃がんは、ピロリ菌とは関係なく発生する新しいタイプの胃がんです。
    胃底腺型胃がんの 多くは、進行が遅く予後も良いと言われていますが、一見すると良性の病変にも似ており、見た目が目立たず発見が難しいという特徴があります。

    ひと昔前の日本と比べると、ピロリ菌の陽性率は大幅に減ってきています。
    ピロリ菌を除菌後であっても、ピロリ菌未感染の人と比べると、胃がんのリスクは数倍であることは有名ですね。
    ですから、「特にピロリ菌に感染していた人は、除菌後であっても定期的にきちんと胃の内視鏡検査を受けるべきである」と、私たちは患者さんにお話しています。

    しかし、今回お話した胃底腺型胃がんは、ピロリ菌の感染の有無に関わらず、比較的綺麗な状態の胃の粘膜からも胃がんが発生することが分かっています。

    どんなに注意深く観察を行っていても、超早期の段階では、ほとんど正常な粘膜と変わらない見た目であったために、発見されないケースもあると考えられます。
    そうした場合にも、次の検査では更に明らかになって見えてくる可能性があります。

    だからこそ、1年1は定期的な胃内視鏡検査を受けることがとても大切です。
    どんな症状が出てからでは、進行がんとなっていることが多く、手遅れとなるケースもあります。
    当院では、ほぼ毎日、胃内視鏡検査を行っています。
    「1度も胃カメラを受けたことがない」「前回検査を受けてから随分経っている」など、気になることがあればどうぞお気軽にご相談ください。


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