大腸腺腫にも種類があります。

印刷用ページ[2025/01/01] 胃腸科

みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
あけましておめでとうございます。本年も当院をどうぞよろしくお願いいたします。
今回は「病理組織検査」にまつわるお話です。
大腸ポリープにも種類があり、そのタイプは病理組織検査で分かります。 テーマは・・・「大腸ポリープのhigh grade(ロウグレード)とlow grade(ハイグレード)」です。
聞いても馴染みがなく、難しそうと思われるかと思います。
まずは、病理検査のGroup分類について知っておくと、分かりやすいので「病理検査におけるグループ分類は5段階!」をチェックしてみてくださいね。


病理組織検査とは?

簡単に病理組織検査(病理検査)とはなんなのか、というおさらいからしていきましょう。
そもそも病理検査とは、炎症が起きている部分やポリープなどの組織を採取し、顕微鏡で観察をして病気・病態を診断する検です。
この結果により病変の種類や良性・悪性などが判定され、今後の治療方針を決めていくことができます。
内視鏡検査では、見てわかる範囲の結果はその日中に聞くことができますが、病理検査は検査会社(病理診断を行う医師)にポリープなどの組織を提出するため、結果説明は後日となります。

さて、今回のテーマであるhigh gradeとlow gradeは、この病理検査の結果でみられる単語です。
口腔内や膀胱等の他臓器の病変でも同様の単語は出てきますが、当院では主に大腸内視鏡検査の病理結果でみられる言葉なので、今回は分かりやすく大腸の病変で解説していきます。


Group分類って何?

病理検査の結果は、5つのグループに分類されます。
Group(グループ)とは病理検査の指標、『生体組織診断分類(Group分類)』のことを指します。
5段階に分かれており以下の表の通りになります。
このGroup3の腺腫(tubular adenoma)とは、大腸にできるポリープの一種です。

Group3の腺腫と、Group1に分類されるはどちらも良性のポリープに分類されています。
過形成ポリープとは異なり、腺腫はある程度の大きさに成長すると癌になる可能性が高くなります。
このように大腸ポリープには種類がありますが、そのうち腺腫は更に2種類にわかれます。
それが、今回のテーマである「high gradeとlow grade」です。
この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。


high gradeとlow gradeは異型度の分類です

ここでやっと、本題のhigh gradeとlow gradeについてのお話となります。
上記で解説したように、腺腫の中にも以下のような種類があります。
● 高異型度=high grade(ハイグレード)
● 低異型度=low grade(ロウグレード)

これからはその名の通り、異型度が高いか低いかを表しています。

がん細胞やその前段階の細胞は通常の細胞に比べて、形が歪んでいたり、細胞の核が大きくなっていたりしています。
この「異型度」とは、細胞の形が正常な組織とどのくらい異なっているかを示す指標のことです。
もともとの細胞に近い形をしていると低異型度、もともとの細胞の形から離れるほどに高異型度となります。

高異型度(highgrade)のほうが歪み等が強く、より悪性化のリスクが高いということになります。
大腸ポリープの中でも大腸腺腫は、前がん病変(がんとなる前の段階)の代表例です。
大腸ポリープの病理結果がhigh gradeであった場合には、特にきちんとした治療が必要です。
・・・とはいえ「過形成性ポリープだからがん化しない」というわけではありません。
あくまで「腺腫の方が悪性化する可能性が高い」ということなので、大腸ポリープを切除した場合は結果がどうであれ、定期的な検査が大切です。

他臓器の病変でも同様に通常の細胞とどのくらい異なっているのかを示す度合いを「high grade」「low grade」と表してます。


まとめ

いかがでしたか?
異型度は「どのくらい悪性のリスクがあるのか」を判断するのに必要な情報です。
当院では、大腸ポリープを認めた場合には日帰りで大腸ポリープの切除を行い、そのポリープは基本的に病理組織を行います。
ただし、術後の大量出血の可能性のあるような、大きなポリープの切除は難しい場合があります。
ですので、当院で切除のできる大腸ポリープは、がんには至らないような比較的小さなものになります。

当院で切除できるような小さなポリープのうちは、大腸腺腫であったとしてもlow gradeの結果であることが多いです。
大腸腺腫は、放置しておくと段々大きくなり、大腸がんになってしまう可能性の高いポリープです。
病理検査の結果がlow gradeでもhigh gradeであっても、大腸ポリープの切除後は大腸がんの予防のためにも、定期的な内視鏡検査が必須ですね。

今回は専門的で難しい内容だったとは思いますが、このように分類されていることが分かると、検査後の医師の説明が少し分かりやすくなったのではないでしょうか。
定期的な検査を受けている人の中には「やっぱり今回もなにもないじゃん」と思うかもしれません。
しかし、見た目では一見普通のポリープが病理検査の結果では、思わぬ結果がでたりすることがあるのです。
定期的な検査を受けて、ご自身の健康を守りましょう!


新着情報

記事 新着(24時間)

-

コメント 新着(2日)

-

新着メディア (7日)

新着メディアはありません。