超多発の大腸ポリープ!大腸ポリポーシスをご存じですか?

印刷用ページ[2024/11/15] 胃腸科

みなさんこんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
今回のテーマは“ポリポーシス”という病気についてです。
皆さんは、この病気の名前を聞いたことがありますか?
よく聞くなー、と思うような病気ではないかと思います。
では、ポリープはどうでしょうか。実は、今回お話するポリポーシスという病気は、数あるポリープの病気の1つです。
今回は、ポリポーシスという病気についてお話していきます。


ポリポーシスとはどんな病気?

ポリポーシスとは大腸をはじめとする消化管にポリープ(イボのように盛り上がった形状のもの)が多発する病気です。
何個くらい出来たらポリポーシスと呼ばれるのか・・・想像できますか?
その数、なんとおおむね100個以上を目安としています!ものすごく多いです!
また、他の症状や家族歴から診断が明らかであれば、30個程度でもポリポーシスとして扱われることがあります。

大腸のなかに100個以上にもなる病気、その原因は一体どんなものなのでしょうか。


ポリポーシスの原因

ポリポーシスの原因は遺伝性と非遺伝性に分かれています。
遺伝性のなかで、主なものは家族性大腸腺腫性ポリポーシス(FAP)といい、親が病気を有する場合、その子どもは50%の確率で遺伝すると言われています。
家族性腺腫性ポリポーシスは、典型的には10歳頃までに癌になりうるポリープができ始め、20歳頃にポリポーシスの病態に至ります。
また大腸癌発生の頻度は年齢とともに上昇し40歳代で50%、放置すれば60歳頃までにはほぼ100%大腸癌が発生してしまうと言われています。

非遺伝性の大腸ポリポーシスの原因としては、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患などがあります。
いずれも大腸だけではなく、胃や小腸など、他の消化管にもポリポーシスを形成します。

遺伝性、非遺伝性どちらも発生頻度は低く稀な病気です。ではこの大腸ポリポーシスになっていた場合、どのような症状が現れるのでしょうか。


ポリポーシスの症状

あれだけポリープがあるのだから、いろんな症状が出そうなものですが…一般的には自覚症状はありません。
ポリープそのものというよりも、ポリープが大きくなり過ぎた場合や大腸がんの発症・進行に伴って、腹痛、下痢、血便、下血などの症状が現れてきます。
遺伝性のポリポーシスは、大腸癌のリスクだけでなく、胃がんや十二指腸がん、骨腫、甲状腺がん、脳腫瘍、乳がんなどのリスクがあり、大腸だけでなく、全身性の疾患であるということもいえます。
そのため、ポリポーシスの症状というより、他の臓器のがんの進行に伴ってさまざまな症状が出現していきます。

症状が出ないことがほとんどなので、検査で偶然見つかるというケースも多いです。
では、ポリポーシスの検査と診断はどのように行っていくのでしょうか。


ポリポーシスの検査と診断

ポリポーシスの検査は、大腸以外の組織にも腫瘍が発生する確率が高いため、全身の検査が必要となります。
また、症状や家族の病気の有無なども診断に重要になります。
がんの早期発見や早期治療に繋げるため、1年に1度の定期検査を行います。

主な検査

  • 胃と大腸の内視鏡検査
  • ポリープの分布や形状、がん化の有無などを確認します。
    ポリポーシスは内視鏡検査で発見されることが多いとされています。
  • CT検査
  • 他の臓器に腫瘍が発生していないか、がんの転移の有無を確認します。
  • 遺伝子検査
  • 原因遺伝子の特定を目的に行われます。

■診断方法

以下の条件を満たした場合に、大腸ポリポーシスと診断されます。

  • 【臨床診断】
  • 大腸に100個以上の多発性腺腫を有する。家族歴の有無は問わない。
    大腸に100個に達しない多発性腺腫性ポリープが存在し、FAPの家族歴を有する。 (大腸外随伴病変は補助診断として参考になる)
  • 【遺伝子診断】
  • APC遺伝子の胚細胞変異を有する。

    では、こうした検査で大腸ポリポーシスと診断された場合、どのように治療を行うのでしょうか。


    ■ポリポーシスの治療法

    遺伝性ポリポーシスでがんの発生が高確率のものは、早ければ10代から、多くは20代に予防的に大腸を切除することが推奨されています。
    遺伝性や非遺伝性の中でも比較的がんの発生が低いものに関しては、内視鏡でポリープ切除を行い、できる限り腸管の温存に努めるとされています。


    まとめ

    いかがでしたか?
    ポリポーシスは、消化管にポリープが沢山できることをいいます。
    沢山ポリープができるのだから、さぞ辛い症状が出るのかと思いきや、「一般的に症状が出現することがない」ことが多いのだから驚きですよね。

    家族に大腸ポリポーシスの人がいるから、という理由で検査をされ、診断される方もいますが、たまたま行った内視鏡検査で発見されることもある病気です。
    多くの場合は遺伝的な要素の強い病気ですが、自分がなっていてもおかしくない病気でもあります。

    また、がん化しても気づかずに進行してしまう可能性があり、がんの早期発見や早期治療に繋げるには、定期的な検査が必要であるとお分かりいただけたかと思います。
    ポリポーシスと診断された方、家族にポリポーシスの方がいない方でも、大腸ポリープそのものはどんな人にできてもおかしくないものです。

    大腸ポリープは放置するとがん化する可能性があるため、定期的な大腸内視鏡検査を強くお勧めします。
    当院では、鼻から入れる胃カメラや大腸カメラも合わせて同日に行うことが可能です。お気軽にご相談ください。


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