脂質異常症の予防と改善方法
みなさん、こんにちは。横浜市内科のららぽーと横浜クリニックです。
今回は前回に引き続き、脂質異常症のお話です。
前回の記事では、脂質異常症とはどんな病気なのか、どうして脂質異常症になってしまうのかをお話しました。
今回のこの記事では、脂質異常症の予防と改善にスポットをあててお話していきましょう。
脂質異常症の予防・改善方法は?
脂質異常症の原因は、遺伝や基礎疾患によることもありますが、多くは生活習慣の乱れが原因です。
そのため、3食の栄養バランスが整った食事と適度な運動で、規則正しい生活を心掛けることで改善が期待できます。
この方法で改善しない場合は、内服薬での治療が必要です。
それでは「食事療法」と「運動療法」についてそれぞれ詳しくお話していきましょう。
食事療法を行う
脂質に異常が出る場合、食事の内容が大きく関係しています。薬に頼らずに生活改善を行う場合は、まずは自分の食事の見直しは必須です。
食事療法の場合は、自分が以下のどのタイプに該当するのかを考えてみると改善しやすいです。
① 食べ過ぎ・飲み過ぎタイプ
② 魚や野菜の摂取量が少ないタイプ
③ 菓子類・甘い飲料が好きなタイプ
① 食べ過ぎ・飲み過ぎタイプ
脂質・糖質・アルコールのとり方に注意が必要です!
・食事はバランスよく
脂質異常症を改善するには、3食規則正しくとることが大切です。朝食をきちんと取り、夕食は就寝2時間前に食べ終えるようにしょう。
ご飯・パンなどの主食、魚、大豆製品(豆腐・納豆など)を使った主菜と、野菜、海藻などの副菜をそろえます。
・高カロリーの食品に注意
唐揚げ、とんかつ、天ぷら、炒め物など、油脂を多く使った料理は高カロリーなので、続けて食べないようにしましょう。
普段からよく食べている方は、今より回数を減らすようにしましょう。
脂身が多い肉は、LDLコレステロールを上げる飽和脂肪酸が多く含まれています。ひき肉、ばら肉、ソーセージなどの加工品は控えめにしましょう。
・白米より麦飯、玄米がおすすめ
炭水化物のとりすぎは、体重増加、中性脂肪値の上昇を招きます。ごはんは茶碗一杯までにし、おかわりは避けましょう。
ごはんに玄米・大麦・押し麦を入れたり、ライ麦パン・全粒粉パンを利用するのもおすすめです。
・アルコールは目安量を守って
種類にかかわらず、アルコールのとり過ぎ、中性脂肪値の上昇につながります。上の目安量(女性はその半分程度)を超えないようにしましょう。
飲酒時は、食欲が出て食べ過ぎないようになりやすいので、野菜・魚・豆腐など中心のつまみにしましょう。
② 魚や野菜の摂取量が少ないタイプ
魚、大豆、野菜を積極的にとり入れましょう!
・魚、大豆製品を積極的に
魚や大豆製品には、動脈硬化を改善する作用があります。肉は少なめにしましょう。
青魚(さんま、さば、ぶり、いわしなど)をとるように、中性脂肪値を下げる作用のあるオメガ3系脂肪酸を多くとることができます。
・食物繊維が多い野菜を十分に
食物繊維の摂取を増やすと、LDLコレステロールが低下する作用が期待できます。
スープ類は具を多めにする、すぐ食べられる野菜を常備するなど、ちょっとした工夫で野菜をたっぷりとることができます。
③ 菓子類・甘い飲料が好きなタイプ
洋菓子、甘い食べ物、飲み物は控えめにしましょう!
・菓子類は量、回数を減らして
間食をとるなら、ビタミンやカルシウムが補給できる果物やヨーグルトなどがおすすめです。
素焼きナッツ類やドライフルーツも少量で満足感を得やすく、1回約15gを目安に利用するのもよいでしょう。
・糖質が多い飲み物は控えて
市販の清涼飲料水に含まれている糖分を砂糖に換算してみると、意外に多いことがわかります。
軽い運動程度の水分補給なら、スポーツドリンクでなく、水やお茶がおすすめです。
どれも食事療法をするにあたって大切なことなので、自分が①であっても、②と③も意識してみましょう。
その他注意ポイント
どのタイプの人でも以下のことは注意しておくと良いでしょう。
卵黄はとらないほうがいい?
食事からとったコレステロールが、血中コレステロール値に与える影響は少なくないとされています。
鶏卵(とくに卵黄)はコレステロールを多く含みますが、タンパク質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素をバランスよく含み、上手に取り入れたい食品です。
ただし、LDLコレステロールが高い方などでは、制限が必要な場合があるので医師に相談しましょう。
調理に用いる油も意識する
調理の際に使う油にも気を付けましょう。バターやラード、牛脂はLDLコレステロール値を上げやすい油で、牛脂は市販のフライドポテトやカレールーにも含まれます。
一方、オリーブオイルやひまわり油などには、LDLコレステロール値を下げる働きがあります。とり過ぎには注意ですが、上手に利用しましょう。
肉・肉下加工食品、乳脂肪は控えめに、野菜を添えよう
動物性脂質や糖質の摂取量が多いと、血液中の脂質が上がりやすくなります。
脂身が多い肉、ソーセージなどのひき肉を使った加工品、乳脂肪が多いもの、糖質が控えめにしましょう。
運動療法を行う
食事療法と共に行いたいのが運動療法です。
運動療法のポイント①継続的な有酸素運動、②中等度以上の運動です。
では、それぞれを詳しくみていきましょう。
①継続的な有酸素運動を行う
有酸素運動は、血中のHDLコレステロールを増加させる働きがあるといわれています。
HDLコレステロールの増加により、LDLコレステロールの値が低くなり、脂質異常症の改善が見込めます。
ただし1回の運動では効果を見られることはなく、少なくとも数カ月間は継続的な有酸素運動を行う必要があるといわれています。
1週間に120分以上の運動もしくは消費カロリーが900kcal以上となることが必要です。
具体的には週に3回以上、1回当たり30分以上の運動(何度かに分けても可能)は必要だといわれています。
②中等度以上の運動を行う
有酸素運動の種類に関しては、ウォーキング、サイクリング、ジョギング、水泳などご自分にあった運動で構いませんが、通常の歩行速度以上の運動強度が推奨されます。
脂質異常症の方の場合は、動脈硬化など循環器疾患の既往を持っている方もいます。
循環器疾患をお持ちの方は、息切れやご自身の運動の閾値(しきいち:境界となる値)を超えたものにならないように、運動強度に注意を払う必要があります。
循環器疾患のない健康な方の場合には、有酸素運動の代わりに筋トレも運動の一つとして行っても、同様のコレステロールを下げる効果を期待できるといわれています。
運動をはじめるときの注意点
運動を始めるときには脈拍や血圧などの体調のチェックを行うようにしましょう。
運動の初めはゆっくりと始め、運動中も脈拍などを指標に調節を行いましょう。
先ほども話したように、脂質異常症は生活習慣病の一つであり、多くの方は高血圧や糖尿病などほかの生活習慣病を合併していたり、循環器疾患や加齢に伴う骨関節疾患の既往を持ち合わせています。
運動を始める前には体調のチェック、脈拍・血圧を測定してご自分の体調を確認しましょう。
また、きついと感じるような運動ではなく、少し汗ばむ程度の運動から始めましょう。
運動療法中に脈拍のチェックなどを行うことで、負荷の程度を知ることができます。
脈拍は、138-(自分の年齢÷2)を上限目標として行うようにしましょう。
・・・とはいっても、今まで運動習慣がなかった方や、久しぶりに運動をする方は、なかなか運動を習慣化することが難しいかもしれません。
まずは汗ばむ程度の速さで歩く、階段を上り下りする、軽いジョギングなどから始めてみましょう。
また、通勤時間を利用して、エレベーターやエスカレーターではなく階段を利用する、一駅手前から歩く、車の利用を控えるなどちょっとした工夫でコレステロール値を下げることができるとともに、運動習慣をつけることも可能です。
ほかにも、水泳やサイクリングなどの有酸素運動や室内でのラジオ体操やストレッチを日々の運動に加えてみるのもいいでしょう。
急に負荷のかかることから始めても、数日で辞めてしまい長続きしないケースがあります。毎日少しずつでも、運動を行うことが大切です。
まとめ
いかがでしたか?
今回は脂質異常症の予防と改善方法をお話しました。
脂質異常症は自覚症状がないので、「放置しても良いや」と健康診断の結果で脂質異常の指摘を放置してしまう人も多い病気です。
しかし、それが原因である日突然、心筋梗塞や脳梗塞など恐ろしい病気を引き起こしてしまう可能性があるのです。
予防・改善のポイントは「3食栄養バランスの整った食生活」と「継続的な運動習慣」です。
しかし、残念なことに脂質異常症は、食事療法、運動療法だけでは良くならないことがあります。
そんな時には、まずは医師に相談し、薬を飲む必要があるのかを相談してみましょう。
勿論当院でも治療が可能ですので、健康診断で引っかかり続けている方も、
是非一度医師に相談してみましょう。
急にこれまでの生活習慣を変えることは難しいかもしれませんが、できることからコツコツと健康のために小さな努力を積み重ねましょう!