脂質異常症ってどんな病気?
皆さんこんにちは!ららぽーと横浜クリニックです。
皆さんは「脂質異常症」という言葉を聞いたことはありますか?
脂質異常症は生活習慣病の1つで、健康診断でコレステロールの数値を指摘されたことがある方は、聞き覚えがあるのではないでしょうか。
今回は、脂質の値が高いことの問題点、日常の注意点についてを解説していきたいと思います。
正しい知識を身に着けて、健康への第一歩を踏み出しましょう!
そもそも脂質って何?
脂質は体になくてはならない重要な栄養素の1つです。血液中に含まれる脂質を血中脂質といいます。
血中脂質の主なものにコレステロール、中性脂肪が挙げられ、他にはリン脂質、脂肪酸などがあり、それぞれ血液に乗って、必要な部位に届けられます。
なかでもコレステロールは悪者にされがちですが、人間の全身を作っている細胞やホルモン、胆汁酸の材料になるもので、私たちの体にとって不可欠なものです。
体内のコレステロールは、およそ75%が糖質や脂質を材料にして体内で作られたもので、残りが食べ物から直接取り込んだものといわれています。
■脂質の役割
コレステロール
細胞膜の主成分、ステロイドホルモン(女性ホルモン、男性ホルモン、副腎皮質ホルモンなど)の材料、胆汁の原料となります。
中性脂肪
エネルギー源として、内臓や皮下に蓄えられる。クッションや断熱材の役割も果たします。
リン脂質
コレステロールと共に細胞膜の原料となります。
遊離脂肪酸
中性脂肪から分解されて血液中に放出され、エネルギー源となる。
主な脂質であるコレステロールは、LDLコレステロールとHDLコレステロールに分けられます。
この2つはどのような働きがあるのでしょうか。
LDLとHDLの違いは?
LDLコレステロール は 悪玉コレステロール
HDLコレステロール は 善玉コレステロール
と、言い換えてみると聞き覚えがあるかもしれませんね。2つの働きは以下の通りです。
■LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を担っています。
しかし、これが血液中に増えすぎてしまうと、増えたコレステロールが血管壁に蓄積することで血管壁が厚く硬くなり、動脈硬化が進行してしまう恐れがあります。
そのため、一般的に悪玉コレステロールと呼ばれています。
■HDLコレステロール(善玉コレステロール)
増えすぎた余分なコレステロールを回収し、さらに血管壁にたまったコレステロールを取り除いて、肝臓へもどす働きをします。
増えすぎた悪玉コレステロールが動脈硬化を促進するのとは反対に、抑制する働きがあるので善玉コレステロールといわれます。
また、善玉コレステロールが不足すると余分な悪玉コレステロールがたまりやすくなることで動脈硬化のリスクが上がるため注意が必要です。
さて、LDL(悪玉)とHDL(善玉)についてわかったところで、いよいよ本題です。脂質異常症とはなにかを解説していきます。
脂質異常症とは
脂質異常症とは、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪などが過剰に増えたり、よい働きをする善玉コレステロールの量が減りすぎた状態のことです。
このような状態になると血管が固くなる動脈硬化が起こり、脳梗塞や狭心症・心筋梗塞など恐ろしい病気の原因となってしまいます。
脂質異常症には、ほとんど自覚症状がないため発見が遅れ、突然心筋梗塞などの発作を起こす人が少なくありません。
健康診断などで「脂質異常症の疑いあり」といわれたときは、放置せず早めに病院に受診し医師から適切な指導を受けることが大切です。
脂質異常症には次の3種類があります。
高LDLコレステロール血症 : LDLコレステロールが多いタイプ
低HDLコレステロール血症 : HDLコレステロールが少ないタイプ
高トリグリセライド血症 : 中性脂肪(トリグリセライド)が多いタイプ
では、一体なにが原因で脂質異常症になってしまうのでしょうか。脂質異常症の原因についてみていきましょう。
脂質異常症の原因
脂質異常症の原因は、「原発性脂質異常症」と「二次性脂質異常症」の2つとされています。
■原発性脂質異常症
遺伝的な要因(家族性高コレステロール血症)によるところが多く、また脂質異常症になりやすい体質の方が不摂生な生活習慣(過食、運動不足、喫煙、お酒の飲み過ぎ、ストレス など)を続けるなどして発症することもあります。
■二次性脂質異常症
何らかの基礎疾患(甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、糖尿病、クッシング症候群 など)がある、お酒の飲み過ぎ、薬剤(ステロイド薬 など)、肥満などによって引き起こされるといったことが原因となります。
通常、血中脂質は一定の量に保たれるよう調節されています。
しかし、体の中で脂質がうまく処理されなくなったり、食事から摂る脂質が多すぎたりすると、血中脂質が基準値から外れてしまい、脂質異常症となってしまうのです。
まとめ
いかがでしたか?
ひと昔前までは、高コレステロール血症や高脂血症と呼ばれていましたが、現在ではこの呼び方ではなく、脂質異常症という脂質の異常に対する総称で呼ばれるようになりました。
脂質異常症は放置しておくと動脈硬化の最大の危険因子とされています。
脂質異常症はそれ自体に特に自覚症状がないため、放置されがちですが、確実に動脈硬化を進行させ、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患のリスクを高めます。
ガンでさえ、かなり進行した状態でないと、症状が現れないこともあります。
それは言い換えると、「症状がないからといって、病気ではないということにはならない」ということです。
脂質異常症も放置しておくと怖い病気です。
「症状がないから治療はしなくてもよいや」と、思っているのであればそれは大きな間違いです。
では、脂質異常症を改善するためにはなにをしたらよいのでしょうか。
次回のブログでは、脂質異常症の予防と改善方法について解説していきます。