痔の日帰り手術後の生活について

印刷用ページ[2016/06/30] 肛門科

痔の日帰り手術を受けようと思った患者さんにとって、一番気になることは「日帰り手術の生活」だと思います。患者さんからもよく「明日から仕事があるんですが大丈夫ですか?」「電車で行くのですが、痛くて帰れないということはありませんか?」「どうやって生活すればいいのかわからず心配です」などの質問をよく受けます。

そこで、今回は「痔の日帰り手術後の生活」についてお話させていただこうと思います。

 

当院で行っている肛門手術は全て日帰り手術です。
毎日仕事で忙しい患者さんなどにとって日帰り手術は魅力的ではありますが、逆に「本当に日帰り手術で大丈夫?」「家に帰ってから何かあったら怖い!」と不安に思う方もいらっしゃいます。

当院では、初診時に院長がしっかりと診察を行い、安全に日帰り手術を行えると診断した方のみに日帰り手術のご案内をしています。

(※手術後傷口が大きくなりそうな方や、大量出血の確率が一定以上のケースでは日帰り手術の適応がない場合もあり、入院施設のある病院をご紹介しております。)

「他の病院では1週間入院が必要と言われたのに日帰りでできるの?と」心配になるかもしれませんが、当院では根治手術が必要な症例の95%以上の方を日帰り手術でご案内させていただいております

 

術後の過ごし方

帰宅をしたら、できるだけ安静に過ごして下さい。無理をして動き回ってしまうと、痛みや出血の原因になってしまいます。

長時間同じ体制で座ったままだと、患部が圧迫され血行が悪くなり、傷の治りに影響してしまいます(ずっと立ったままというのも、心臓より下に患部があるので余り良くありません)。そのため、こまめに立ち上がったりして、座っている時間は20分以内にするのがベストです。横になってゴロゴロしているのがおすすめですよ。

手術の翌日からデスクワーク程度であれば可能ですが、患部がうっ血しないように気を付けて下さい。

 

避けて頂くこと

出血や痛みのリスクを抑えるために次のようなことは約2週間避けて頂くようにご案内をしています。以下のことを守っていれば出血のリスクなどは限りなく最小限に抑えることができます。仕事の都合などですべてをキッチリ守ることは難しくてもできる限り、守れるように気を遣った生活を心がけてください

力仕事や激しい運動…出血の原因に繋がります。特に重たい荷物を持つなど、お腹に「グッ」と力の入る事は避けて下さい。よく聞かれますが、もちろんゴルフ・水泳・ウォーキングも禁止です。

旅行や出張…万が一、何かあったとき(大量出血など)に当院に受診することができなくなってしまいます。また、長距離の移動も患部に良くありません。

車や自転車の運転…患部を刺激し、負担がかかってしまいます。(どうしても車の運転が避けられない場合は、こまめに立ち上がり、血流をよくしてください)特に、自転車やバイクは傷口への負担が大きくかかりますので避けて下さい。

入浴…シャワーは次の日から、入浴は翌々日から可能になります。 入浴は患部を温めて血流を良くしてくれて、症状を改善するので入っても問題無いのでは?と思われる方もいるかもしれません。しかし、長湯・半身浴・サウナは、血行が良くなりすぎてしまい出血の原因にもなってしまいます。その為当院では長湯・半身浴・サウナに関しては1週間は入らないようにご案内しています。手術当日もシャワーも入浴もお控えいただいていますが、気になる方はタオルで体を拭く程度にして下さい。

 

食事について

食事は当院からお渡しするもの(低残食)を3食分召し上がっていただきます。これは、腸内に残りにくいお食事のため、排便の際患部に負担をかけず出血などのリスクを低くすることを目的として、お帰りになる前に当院からお出ししています。また、1日分の低残食を食べ終わったら、その後も1週間はうどんやおかゆなど、消化が良く、脂肪や繊維質の少ないものを食べていただきます。(大腸の検査前日のようなお食事です。参考ページ:大腸検査前のお食事について)このような食生活を続け、1週間を過ぎたくらいからは普段のお食事に少しずつ戻していくようになります。

アルコールは、下痢や血流を良くしてしまい出血に繋がる可能性があるため5日間禁止です

 

消毒通院

手術の翌日とその1週間後、更にその2週間後(以降は医師が終診と判断するまでだいたいは2週間ごと)に、患部の消毒と経過観察のために通院していただきます。

排便のこと、お食事のこと、運動のこと…生活をしてみて不安になることができてきたらここでもご相談ください。消毒に来ていただく回数は、手術の内容、傷の大きさや状態によって変わってきますが、大体6週間程度とみていただければと思います。

※当院は日帰り手術のため、消毒通院でのアフターケアを行ってやっと根治術がすべて終了することになります。そのため、保険会社に提出する必要のある診断書などのお預かりは原則的に消毒終了の判断を医師がさせていただいた後からとなります

 

それでも術後の痛みが心配

どの患者さんも気にしているのが、やっぱり術後の痛みです。当院で行われる痔に手術は全て日帰りですが、「日帰りで本当に痛く無いの?」「家に帰ってから痛みが強くなったらどうしよう!」と心配される方はとても多いです。ここからは、当院のしっかりとした痛み対策についてごお話いたします。

 

3段階のしっかりとした痛みどめの処方

手術後、3段階の痛みどめのお薬を処方しています

注射療法のALTA(ジオン注射)は2種類の痛みどめ。痔核根治術・痔瘻根治術・裂肛根治術・毛巣洞・膿皮症などの場合、基本的には3種類の痛みどめを処方します。

(授乳中・妊娠中の方は、強い痛みどめを服用して頂くことができない為、授乳婦・妊婦用のお薬に変更させていただくため上記の処方パターンとは異なります。)

基本の3種類は、毎食後に必ず飲んでいただく薬(3日分)と、痛みが強い際に飲んでいただく強めの痛みどめ(頓用:5回分)、頓用の痛みどめの薬を飲んでも痛みが強い時は座薬(頓用:5回分)がセットになっています。

「3種類も処方があるなんて術後はよっぽど痛むのかな…?」と不安に思うかもしれませんが、痛みというのは人によって感じ方が違いますので、念のために多めの処方で手厚くカバーをしているだけなのです。夜中に痛みがあっても当院は夜間は対応ができません。そのために、しっかりと痛みどめの処方をさせていただいています。痛みが強いときに使っていただく内服薬と坐薬は頓用のお薬として処方しますので、必ず服用するお薬ではありません。頓用の薬は使わない方も沢山いらっしゃいますので、ご自分の感覚に合わせてお使いください。

手術の次の日に消毒にこられた患者さんに痛みはないですかとお伺いすると、驚くことにほとんどの方が「ありません」「大丈夫です」と答えます。

中には「少し痛みがあります」「痛いです」と答える患者さんもいらっしゃいますが、「痛みどめを飲めば落ち着きます」と答える方がほとんどで、痛くて我慢できませんと答える方はほとんどいらっしゃいません。

 

日帰り手術後の排便時の痛みが心配

「いきんで便を出した際、傷口が広がってしまうのではないか…」確かに自分で傷口を見ることができない分、排便するのはとても怖いですよね。もちろん硬い便にならないように当院からも処方をしています。

ご自身で食事制限を守っていただくのは勿論ですが、便を柔らかくするためのお薬を3日分処方しますので、合わせてお水も沢山摂るように心がけてください。これを飲んでいれば、「排便時に便が硬くて痛い」「強くいきんでしまい傷口が広がってしまった」と言ったことが起こりづらくなりますので、安心してお手洗いにいけますよ。

また、「痛みどめが足りない。」「もともと便が硬いので便を柔らかくする薬が3日分だけでは心配。」という方は、日帰り手術の後は3日以内に1回目の消毒に来院していただいた際にその後の様子をお伺いします。医師に相談していただければ追加で下剤や痛みどめの処方をすることもできますので、我慢せずにご相談下さい。

 

いかがでしたか。手術に対する不安が少しは和らいだでしょうか?

当院では年に約4,500件の日帰り手術を行っておりますが、「心配で帰れない」「痛みで次の日仕事に行けない」という方はほとんどいらっしゃいません。むしろ、術後のアンケートでは、「こんなにスピーディに楽になるならもっと早く受診しておけば良かった」という方がとても多いんですよ。

痔の症状がひどく悪化するまで放っておくと、傷口が大きくなる分術後の痛みなども大きくなってしまう可能性がありますので、悪化する前に処置が必要なものなのかどうかを診断してもらうためにも、一度肛門科の受診をお勧めします。

 

 

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