健康診断の結果の放置はやめましょう!

みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科内科のららぽーと横浜クリニックです。
だんだんと暑い日が増え、涼しい時間と暑い時間が交互に来て、体に負担のかかりやすい季節ですね。
体調には十分に気をつけ、これからくる猛暑に備えて行きましょう。
さて、この先・・・夏の終わりから秋にかけて増えてくるのが、健康診断です。
皆さんは、定期的な健康診断を受けていますか?
ご自身で受けられている方もいれば、多くの方は会社の健康診断で受けているのではないでしょうか。
以前の記事では「健康診断の必要性」について詳しくご紹介しました。
まだご覧になっていない方は、是非そちらも合わせて読んで見てくださいね。
今回は、「健康診断の結果を放置するとどんなリスクがあるのか?」という視点でお話しします。
健康診断でわかること
健康診断では一般的に、以下のような検査を通じて、身体の状態を幅広くチェックします。
- 1. 既往歴(過去にかかった病気)や、仕事による健康への影響の確認
- 2. 自覚症状(ご自身が感じている症状)や他覚症状(医師が診察でわかる症状)の有無
- 3. 身長・体重・腹囲・視力・聴力の測定
- 4. 胸部X線(レントゲン)と痰(たん)の検査
- 5. 血圧測定
- 6. 貧血の検査(血液中の赤血球やヘモグロビンの量)
- 7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTPなど、肝臓の働きを調べる血液検査)
- 8. 脂質の検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪など)
- 9. 血糖値の検査(糖尿病のリスクを見る)
- 10. 尿検査(尿に含まれる糖やたんぱくの有無を確認)
- 11. 心電図検査(心臓のリズムや異常を確認)
これらは「基本的な11項目」として、多くの企業健診や自治体健診で実施されています。
加えて、必要に応じて胃のバリウム検査(胃のレントゲン)や便潜血検査(いわゆる大腸がんの便検査)などが追加されることもあります。
胃カメラ、大腸カメラを実施することもあるようですが、多くの場合はバリウム検査と便潜血検査を行います。
さて、基本的な項目がわかったところで・・・もちろん、「異常なし!」、理想はオールA判定だと思います。
しかし、残念ながら健康診断の結果でC判定やD判定とされたとき、どうするべきなのでしょうか。
健診結果が「C」「D」だった場合は?
健康診断の結果は、以下のように分類されます。
- ・A判定:異常なし
- ・B判定:軽度の異常(様子見可)
- ・C判定:再検査や生活習慣の改善が必要
- ・D判定:精密検査や治療が必要
「A」や「B」であれば、基本的に次回の健診で経過を見るだけで大丈夫です。
しかし、「C」や「D」が出た場合は、必要に応じて再検査や治療が必要な場合があるので、早めに医療機関を受診することがとても重要です。
当院でも、血液検査で異常値が見つかって「C」や「D」判定を受けた方や、便潜血検査で陽性反応(=大腸からのなんらかの出血の可能性)が出た方が、多く来院されます。
では、具体的にどんなもの(引っかかってしまった項目)に対してどんな検査が必要なのでしょうか。
再検査や精密検査が必要な場合は?
● 生活習慣病(高血圧・高血糖・高脂血症など)の疑いとされた時
健康診断での血圧や、採血の結果にて生活習慣病の疑いがあると言われた方は、医師が診察を行います。
必要に応じて、血液の再検査や心電図、胸部レントゲンなどを行います。
そうした検査を改めて行った上で、必要に応じてお薬の処方や生活習慣の指導を行い、経過みていきます。
● 便潜血が陽性だった時
便潜血検査で陽性となった方は、大腸がんやその他の出血するような病気を疑い、精密検査として大腸カメラ(大腸内視鏡検査)が必要となります。
再検査を受けずに放置すると…
・C判定(要再検査)
つまり、「まだ病気と確定はされていないが、身体に何らかの異常がみられる状態」。
・D判定(要精密検査)
つまり「すでに病気が進行している可能性がある状態。」となります。
実は、多くの病気は、初期段階では自覚症状がほとんどありません。
つまり、【病状の進行と自覚症状は必ずしも一致しない】のです。
例えば、胃がんや大腸がんというような名前から怖い病気であっても、症状が出る頃には、かなり進行してしまっているケースが多いです。
「たまたま検査を行ったら、胃がんや大腸がんが見つかった・・・」なんてことは皆さんが思うよりずっと多いのです。
ですから、「特に症状がないから大丈夫かな」と思って放っておくと、実はその間に病気が静かに進行し、「気づいた時には手遅れだった・・・」となってしまうこともあります。
放置してしまうと、せっかく行っている健康診断の意味が全くありません。
だからこそ、健康診断で「再検査」や「精密検査」の指示が出たときは、できるだけ早く医療機関を受診することが、ご自身の健康を守る第一歩です。
まとめ
いかがでしたか?
あなたの周りには、「あー毎回血液検査でひっかかるけど、自分は元気だから大丈夫!」なんて言っている方はいませんか?
健康診断の時の体調でたまたま、何かしらの引っかかってしまうことはあります。
しかし、「たまたまである」と判断するのは、きちんと健康診断の結果を持って医療機関を受診し、再検査を行ったからわかることです。
生活習慣病は、放置しておくとどんどん進行して、生活習慣病より大きな病気を引き起こしてしまうこともあります。
「再検査の案内はきたけれど、つい後回しにしてしまって…」
「仕事忙しくてなかなか通院の時間がとれない…」
患者さんのお気持ちはよくわかります。
しかし、症状が出る前に行動することが、皆さんの将来の健康を守る最善の方法です。
早めの受診で、大きな病気を未然に防げることもたくさんあります。
これからの人生、元気に過ごすために、これからも元気に働けるために、定期的な健診と必要に応じた受診をぜひ心がけましょう。