デュピクセントってどんな薬?

皆さん、こんにちは。横浜市皮膚科のららぽーと横浜クリニックです。
皆さんはデュピクセント(デュピルマブ)という薬の名前を聞いたことがあるでしょうか?
2018年に、日本でアトピー性皮膚炎の治療薬として承認された、ご自身で注射をしていただくタイプの比較的新しい薬です。
実は今年の春から当院でも導入が開始されます。(具体的な日程は未定のため、お問合せ下さい)
今回は、導入に先駆けてデュピクセントの適応や効果についてお話していきます。
デュピクセントってどんなお薬?

「デュピクセント」は、アトピー性皮膚炎の皮疹やかゆみの原因になっている「IL-4」と「IL-13」というタンパク質の働きを直接抑えることで、皮膚の炎症反応を抑制する新しいタイプの注射薬です。
従来の治療では、皮膚のバリア機能が低下したり、炎症反応が強い部分に塗り薬を塗ったり、内服薬で症状を抑えることしかできませんでした。
しかし、デュピクセントは、症状を引き起こす仕組みを根本からブロックするという点で、これまでのお薬とは全く違うお薬です。
、アトピー性皮膚炎の重症度評価(EASI:世界的に品用されているアトピー性皮膚炎評価指標の1つ)において、投与前と比べると、7割以上の人に改善がみられたと感じたという結果が出ており、他の治療法と比べるとデュピクセントは頭が1つ出ていますね。
多くの人に効果が期待できる薬ですから、「是非ともデュピクセントで治療してみたい」、そんな患者さんもいるかもしれません。
ですが、デュピクセントは内服処方のように病院を受診して、すぐに処方されるようなお薬ではありません。
そのため、デュピクセントには治療が受けられる条件や注意点があります。
一体、どんな条件があるのでしょうか。
デュピクセントの適応について
デュピクセントは、「今までの治療では効果不十分である」と判断された時に適応となります。
■既存治療で効果不十分な下記の皮膚疾患
・アトピー性皮膚炎・結節性痒疹
・突発性の慢性蕁麻疹
■皮膚疾患以外
・気管支喘息└既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症or難治の患者に限る
・鼻茸(はなたけ)を伴う慢性副鼻腔炎
└既存治療で効果不十分な患者に限る
デュピクセントは高い効果を期待できる分、どうしても“誰にでも処方できる”というお薬ではありません。
ただ、今までの治療ではなかなか効果のなかった患者さんにとっては、一つの治療の選択肢となります。
では、実際にデュピクセントの治療とはどのように進んでいくのでしょうか。
デュピクセントの治療と治療期間
医師の診察を行い、デュピクセントが適切と判断された上で処方されます。
デュピクセントは、自己注射薬剤です。
両腕(二の腕)、腹部、両太ももなどに自分で注射を打ちます。
毎日注射するわけではなく、2週間に1度(月2回)の頻度で注射します。
自己注射については看護師からご自身でできるように指導させていただきます。
「治療開始後、いつまでデュピクセントを続けるべきか」については、明確な指標はありませんが、基本的に炎症と掻痒感(かゆみ)が治り、改善が実感できるまでは継続が好ましいです。
6ヶ月を目安として、良い状態が維持できるようなら、デュピクセントの投与を中止できるとされています。
中止後も塗り薬での治療は継続しますが、塗り薬だけでは良い状態が維持できなくなってきたときには、デュピクセントを再開することができます。
高い効果の期待できるデュピクセントですが、お薬ですので、もちろん副作用があります。
どのような副作用があるのでしょうか。
デュピクセントの副作用
頭が痛いときに飲む頭痛薬、花粉症の時期にのむ抗アレルギー薬、普段から常用しているお薬があるという方も多いと思いますが、どんなお薬にも副作用はあります。
デュピクセントでは、以下のような副作用が確認されています。
●一般的な副作用
注射部位の発赤、腫れ、痒み
結膜炎
口唇ヘルペス
頭痛
発熱
アナフィラキシーショック
好酸球増加症
感染症のリスクの上昇
長期的な副作用
角膜炎
※注射部位の発赤等はよくみられる副作用ですが、重大な副作用の頻度は少なく比較的安全な薬とされています。
まとめ
いかがでしたか?
アトピー性皮膚炎等の皮膚症状で、長く通院している方には、「ずっと薬を使っているのでなかなか良くならない…」悩みを抱えている方も、たくさんいらっしゃると思います。
「良くなるならやってみたい!でも自分で注射をするのは難しそう…」と思われるかもしれませんが、自己注射は指導を受ければそんなに難しいものではありません。
また、効果が期待できる分、費用も普通の治療よりもかなり高額となります。
ですが、費用面を考えても、治療の効果を考えると「やってよかった!」と、考える患者さんが多いことも事実です。
今の治療法でなかなか改善が見られない方、もしかしたら自分は治療の対象になるかもしれないと思った方は、是非検討していただき、ご興味があればお気軽にご相談ください。