よく聞く『腫瘍』って何?

印刷用ページ[2024/09/01] 胃腸科

みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
今回のテーマは「消化器の腫瘍について」です。
腫瘍と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?あまり良いイメージがないかもしれませんね。
それもそのはず、腫瘍は大きく、良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)に分かれます。
消化器の悪性腫瘍では、食道がん、胃がん、大腸がん、、肝細胞がん・肝内胆管がん、胆のうがん・胆管がん、膵臓がんなどがありますが、今回は特に消化管がん(食道、胃、大腸)について、危険因子や症状の特長についてお話ししていきます。


腫瘍とは何なのか

腫瘍とは、組織、細胞が異常に増えてできた組織の塊のことをいいます。
腫瘍をかたちづくる細胞の増え方や、拡がり方で、大きく良性腫瘤と悪性腫瘍に分かれます。

悪性腫瘍は、いわゆる癌です。(厳密に言えば違う場合もあります)
細胞が無秩序に増えながら、周囲に浸潤(しんじゅん:周囲の組織や臓器に広がる現象)したり、血管などを介して体のいたるところに転移したり、体に様々な悪影響をもたらします。
この悪性の腫瘍がどこにできるかで、○○がん(胃がん、大腸がん、など)と呼ばれます。

良性腫瘍は、悪性腫瘍とは違い、浸潤や転移することがない腫瘍です。
周囲の細胞や組織を押しのけるように、徐々に大きくなります。
腫瘍の形は、悪性腫瘍に比べて整っています。
良性腫瘍の中には、生涯にわたって症状が出ず、命に関わることがないものまであります。
よく耳にする子宮筋腫、脂肪腫、腺腫などは、良性腫瘍です。
では、次は本題の各消化器のがんと、その危険因子についてみていきましょう。


消化管のがん

■ 食道がん

危険因子:飲酒と喫煙
その両方の習慣があることで、さらに危険性が高まってしまうと言われています。
また、お酒を飲むと、体の中でお酒を分解する過程で生まれる物質アセトアルデヒドの分解が弱い人(お酒が弱くすぐに顔が赤くなる人)は、体内にアセトアルデヒドが長時間残るため危険性が高くなります。

症状:
初期は無症状であるためなかなか発見する事が出来ません。
健診で発見されたり胃カメラの胃もたれなどの症状で受けた胃カメラ検査で偶然発見されたりします。
いちばん多い症状は食べ物のつかえ感があり、腫瘍の大きさによっては水分も通らなくなってしまいます。
さらに進行すると背中の痛みや嗄声(かすれた声)が出現し、気管や肺に浸潤してしまうと呼吸困難も出現します。


■ 胃がん

危険因子:ヘリコバクターピロリ菌感染、高塩分食、喫煙
ピロリ菌、はpHが酸性の胃内で発育が可能で、胃潰瘍や慢性胃炎を引き起こします。
それによって、胃の炎症が続くことにより、胃がんが発生する1つの要因となっています。

症状:
胃がんそのものに痛みはなく、胃がん部分の粘膜が潰瘍の状態になると痛みを生じることがあります。
また、病変部位(がんとなっている部分)から慢性的に出血することで、黒色便や貧血になることもあります。
さらに進行すると、胃の中が狭くなり食べ物が通らず、嘔吐してしまうこともあります。


■ 大腸がん

危険因子:様々な生活習慣など
大腸がんは、様々な生活習慣と関連があるとされています。食生活の西洋化により、肉類の過剰摂取や飲酒、喫煙などが挙げられます。
また、潰瘍性大腸炎や大腸腺腫症、放置され続けた痔瘻(じろう:肛門の病気で痔の1種)など、一部の病気を持つ人にも発生しやすいです。

症状:
大腸がんの症状は、がんの部位や進行度によってさまざまです。
初期は症状はありませんが、徐々に進行すると血便や下痢、便秘、腸閉塞症状(腹痛、嘔吐、排便・排ガスの停止)などの症状が出現します。

どうですか?
危険因子はその部位によって特徴がありますが、症状は初期には現れないことが多く、ある程度進行したり、たまたま検査をしたときに見つかったり、といったケースが多いです。
症状が出てからでは、どのがんもある程度進行した状態にあるということがわかりますね。


まとめ

いかがでしたか? 腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があり、悪性腫瘍とはいわゆるがんのことを指します。
その腫瘍が食道にできれば食道がん、胃にできれば胃がん、大腸にできれば大腸がんと呼ばれるわけですね。

危険因子では、ピロリ菌感染により胃がん発生リスクが高いことや生活習慣との関連が高いことがわかりますね。
もちろん、これ以外にも消化管のがんは、遺伝的な要因もあると考えられますが、生活習慣から来る場合は、病気を防ぐこともできますね。

今回は、消化管だけにしぼってお話しましたが、腫瘍の大きさや部位によっては、様々な症状があります。
しかし、どのがんも進行しないと症状が出現しないことが多い、ということはおわかり頂けたかと思います。

当院でも、定期的な内視鏡検査や、しばらく症状が続く場合は、内視鏡検査をご案内しております。
しっかりと食道や胃、大腸を観察し、がん発生の予防や早期発見に努めていきましょう。
今回挙げた危険因子とされる生活習慣にドキリとした方、少しでも症状がある方、しばらく内視鏡検査をやっていないという方は、一度病院を受診してみましょう。


新着情報

記事 新着(24時間)

-

コメント 新着(2日)

-

新着メディア (7日)

新着メディアはありません。