膵臓の働きと病気ってどんなもの?
みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
今年ももうあと少しで終わりですね。暖かい日だと思ったら急に冷え込んだり・・・年末年始を楽しむためにも、寒暖差で体調を崩してしまわないよう、気を付けて過ごしましょう。
さて、今回のテーマは膵臓(すいぞう)についてです。
みなさんは膵臓がどんな働きの臓器であるかを知っていますか?
今回は、膵臓の働きと病気について解説していきます。
膵臓ってどんな働きがあるの?
膵臓(すいぞう)は胃の後ろにある細長い臓器で、消化器臓器の中では比較的小さな臓器です。
食べ物を消化する膵液(すいえき)を作り、十二指腸に送り出す働きをしています。
また、血液中の糖分の量を調節するホルモン(グルカゴン・インスリン)をつくり、血液の中に送り出す働きもあります。
胃で消化された食べ物が十二指腸に入ると、十二指腸からホルモンが分泌され、その刺激によって膵臓から膵液が送り出されます。
膵液は、弱アルカリ性の透明な液体で、十二指腸で様々な栄養を分解したり、胃酸で酸性になった食べ物を中和する働きがあります。
膵臓は、よく言われる「五臓六腑」にはこの膵臓は含まれていないのですが、お腹の重要な臓器です。
さて、この膵臓が病気になってしまうと、どのような症状が出てくるのでしょうか。
膵臓の病気はどんなものがあるの?
膵臓の機能が低下すると、消化液の分泌不足により、消化不良を起こしたり、インスリン不足にて糖尿病を発症したりします。
膵臓の病気としては、急性膵炎、慢性膵炎、膵のう胞、膵臓癌などが挙げられます。
急性膵炎
膵臓に含まれる消化酵素により、膵臓自体が消化されてしまう病気です。
主な症状としては、お腹の上の辺りに激しい痛みが起こります。また、吐き気や熱がでることもあります。
原因は、お酒のアルコールによるものが4割を占めていますが、アルコールが膵炎を引き起こす仕組みについては、まだよくわかっていません。
他には胆石(胆のうに石ができること)によるものや、原因不明と言う場合もあります。
慢性膵炎
膵臓に何度も炎症が起きると、膵臓の細胞が壊されて硬くなり、膵臓の働きが失われていく病気です。
主な症状としては、お腹の上の辺りの痛みが続き、下痢になったり、腸にガスが溜まったりすることもあります。
また、膵臓で分泌物の成分が固まった石が出来たり(結石)、膵臓の働きが悪くなることでインスリンが不足し、糖尿病を引き起こすこともあります。
原因は、急性膵炎と同じくアルコールが関係しています。
お酒の摂りすぎであることが半数以上で、それ以外は原因不明のもの、胆石によるものだといわれています。
膵のう胞
膵のう胞は、膵臓に出来る液体が溜まった袋状の物(のう胞)のことです。
膵のう胞の原因には、様々な病気があり、腫瘍性のものと炎症性のものに分けられます。
腫瘍性膵のう胞は、症状は現れず、良性であることも多いため、経過観察となることの多い病気ですが、良性と診断された後に悪性化する可能性もあります。
そのため、膵のう胞と診断された場合には、定期的に検査を受ける必要があります。
また、膵のう胞の中でも膵管内乳頭腫瘍というものは、それ自体が良性であっても、悪性度の高い膵臓癌が膵臓の他の部分に発生する可能性が高いことが判明しました。
そういった点からも、膵のう胞が見つかった場合には、定期的な精密検査が重要となります。
膵臓癌
膵臓癌は悪性度の高いと言われている癌です。残念ながら、現代医療においても、早期発見が非常に難しく、進行も早い病気です。
原因は、喫煙、肥満、糖尿病、慢性膵炎、遺伝によるものなど、様々な要因で発症すると言われていますが、直接の原因は不明です。
先述通り、膵管内乳頭腫瘍という膵のう胞が、膵臓がんの危険因子であることもわかっています。また、親や兄弟、子供のうちに3人以上膵臓癌の方がいる場合には、膵臓癌の発症率は32倍になることが報告されています。
残念ながら、症状が腹痛や腹部不快感など、ありふれたものであるため、早期発見が難しく、背中に激痛があるなどの明らかな症状が出現するときには、進行がんとなってしまっている例がほとんどです。
まとめ
いかがでしたか?
膵臓は消化器臓器の中でも比較的小さな臓器でありながら、やはり重要な体の一部です。
胃の裏側になることから、お腹の辺りの上あたりの症状…つまり患者さんからは、胃の痛みのように感じることも多いようです。
膵臓癌ですら、初期の頃の症状は腹痛や腹部の不快感などの、誰でも経験したことのあるような症状であることが怖いところです。
膵臓の検査は血液検査や超音波検査、そうした結果から病気が疑われる場合には造影CT検査、腹部MRI、超音波内視鏡などを受けたりします。
当院でも腹部超音波や血液検査を行うことがあります。
なにか気になる症状が続く場合は、我慢せずまずは医師に相談しましょう。