飲みすぎ注意!あなたの食道は大丈夫?

印刷用ページ[2024/01/01] 日々雑感

みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
新年あけましておめでとうございます。今年も当院をどうぞよろしくお願いいたします。
さて、年末年始はどのように過ごされましたか?
年末年始となると飲酒の機会が多い方も多く、開放的な気持ちもあってか「今月はあまり節酒できなかった」「普段は飲まないけど、ついつい飲みすぎてしまった」なんて患者さんもいらっしゃいます。
アルコールの飲み過ぎは胃はもちろん、食道にもダメージを与えてしまいます。酷使した分、休ませてあげることも大切ですね。
さて、今回は「アルコールの摂り過ぎと食道の病気との関係性」についてお話していきましょう。


食道ってどんな臓器?

食道は、のどと胃の間をつなぐ長さ25cmぐらい、太さは2~3cmの管状の臓器です。
食道のほとんどは胸のあたりにありますが、縦に長い臓器なので、数cmは首や腹部のあたりにもあります。
食道は身体の中心部にあり、胸の上部では気管と背骨の間に、下部では心臓、大動脈と肺に囲まれています。

食道は、口から食べた食物を胃に送る働きをしています。食物を飲み込むと、筋肉でできた食道の壁が動いて食べ物を胃に送り込みます。
食道の出口には、胃内の食物の逆流を防止す部分があります。食道には消化機能はなく、食物の通り道にすぎません。
そのため、胃は強い酸性である胃酸から胃粘膜を守れるのに対し、食道には胃酸から守れるような粘膜はありません

さて、食道についてわかったところで、アルコールの摂り過ぎが、どのように食道の病気と関係するのかを解説していきましょう。


アルコールは体に悪いの??

お酒も適切な量であれば、体に良いとされることもあります
ですが、アルコールは、ほぼ全ての消化管に影響します。
口(舌・咽頭)から始まり、食道・胃・小腸・大腸・肛門まで、食べ物が消化・吸収・排泄される通り道が消化管です。
アルコールも消化管を流れて吸収・代謝されるので、様々な影響があります。
お酒の濃度と量が適量を超えると、消化管に障害を起こします
では、アルコールの摂り過ぎが、どのように食道の病気と関係するのかを解説していきましょう。

口から摂取されたアルコールは食道を通り、胃で20%、小腸から残りの80%が吸収され、肝臓で90%以上が処理(代謝)されます。
お酒は、消化管に直接障害を起こすほかに、粘膜の血流や消化液などに影響を与え、間接的にも障害を起こします。さらに発癌(がん)作用を有するとも考えられています。

では、アルコールの摂り過ぎによりどのような病気が考えられるのでしょうか。


アルコールを摂りすぎるとどんな病気になるの?

■ 逆流性食道炎

普通は、胃の内容物の食道への逆流を防ぐ筋肉である下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)によって、胃酸が食道にあがってくることはありません。
しかし、アルコールはこの食道括約筋を緩めたり、食道の蠕動運動を低下させて胃酸の逆流を引き起こしてしまいます。
こうして胃酸にさらされた食道がただれてしまった病気を、逆流性食道炎をいいます。 特に、ビールなどの【アルコール+炭酸】といった組み合わせのお酒は、炭酸の作用により胃が膨張し内圧が高まるため、より胃酸逆流を促進してしまいます。
逆流性食道炎の人であれば、最も症状を悪化させる飲み物です。
内視鏡検査で発見されることもあれば、喉のつまり感、胸やけや胃酸の上昇を症状として感じることもあります。

■ マロリーワイス症候群

激しい嘔吐を繰り返すことで食道に圧が加わり、食道下部から胃の入り口(噴門部)の血管が破れてしまい、出血することをいいます。
吐血を主な訴えとして受診する消化管出血の5%前後を占める頻度の高い病気です。
原因は飲酒が最も多く、アルコールが下部食道括約筋を緩めてしまうため、簡単に胃から食道へと圧がかかってしまうことによるものです。
もちろん、飲酒後でなくても激しい嘔吐の繰り返し、咳・くしゃみ、分娩後など、急激に腹腔内圧(お腹の中の空気圧)が上昇する状況であれば発症する可能性があります。

 

■ 食道静脈瘤

食道粘膜の下にある静脈の壁が膨れて、血管が瘤(こぶ)のようになる病気です。
アルコール性肝硬変になると、肝臓に入れない血流が食道に流れ込み静脈瘤を形成します。
時に破裂して大量の吐血や血便を引き起こすことがあります。

■ 食道がん

食道がんの大きな原因の1つは生活習慣です。
特に日本人の場合は、飲酒に加えて喫煙が大きな原因であることが分かっています

食道がんについては、次回の記事で更に詳しく解説していきます。


まとめ

いかがでしたか? アルコールの飲みすぎは食道のみならず、肝臓など様々な臓器に悪影響を及ぼします。
もちろん、適量を適度に楽しむ程度であれば・・・
・普段は抑制されている感情の動きが活発になり、ストレス解消に繋がる
・消化酵素の分泌を増やし、胃の血流をよくするため、消化促進・食欲増進の効果が期待できる
などのメリットも多く存在します。

なにごとも「○○すぎる」ことは良いとは言えず、アルコールの摂りすぎは健康的とはかけ離れてしまうでしょう。
食道の症状というのは、胸やけや喉の辺りの違和感、げっぷ、胃酸の上昇により焼ける感じなど、比較的多くの人が経験するようなありふれた症状でもあります。
その症状の原因は、あなたの大好きな「お酒」かもしれません。
なにごともほどほどに、適度な飲酒を心がけ、定期的な胃の内視鏡検査をうけましょう。


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