脂肪肝は実は怖い病気?

印刷用ページ[2023/09/15] 日々雑感

みなさん、こんにちは。横浜市内科のららぽーと横浜クリニックです。
9月といえば、色々なところで秋を感じることもありますね。
○○の秋、なんてよく言いますが、みなさんは何を思い浮かべますか?

クリニックとしては…9月になると健康診断を実施する会社も多く、もうすぐその結果をもった患者さん達が増えてくる時期です。
様々な健康診断の結果を持って来院されますが、やはり多いのは「血液検査で引っかかりました」という患者さんでしょうか。
肝機能や中性脂肪、コレステロールなどの値が高い場合には、当院では採血での再検査や超音波検査を行うことがあります。
いざ、超音波検査を受けてみると「脂肪肝」と診断されることがあります。
この脂肪肝、聞いたことはあるけれど、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。
今回は「脂肪肝」についてお話していきます。

脂肪肝って何?

脂肪肝とは、肝臓に脂肪が異常に蓄積されている状態です。
もともと肝臓では、エネルギー源として脂肪を作り、肝細胞の中に溜めています。
しかし、使うエネルギーよりも、作られた脂肪の方が多いと、肝細胞に脂肪がどんどん溜まっていってしまいます。
こうした余分な脂肪が肝臓全体の30%以上蓄積された状態を脂肪肝と呼びます。
脂肪肝には2種類あり、アルコールが原因の「アルコール性脂肪肝」と、それ以外が原因の「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」に分けられます。

生活習慣に乱れ(食べ過ぎ、運動不足等)によって脂肪肝となることが多く、現代では男性の約30%、女性の約10%が脂肪肝であるとされており、や日本人の3人に1人は脂肪肝と言われています。
また、「脂肪肝と言うくらいだから、体も太っているのでは」と思われるかもしれませんが、肥満体型ではなく、見た目が痩せ型の方でも脂肪肝と診断される方もいます。
ですので、痩せている方でも肝臓に脂肪が溜まる可能性は十分にあります。

では、脂肪肝と診断された場合、どのような症状が現れるのでしょうか。

 

脂肪肝の症状は?

肝臓は「沈黙の臓器」と言われています。
肝臓に障害があっても、ほとんど自覚症状が出ないため、黄疸などの明らかな症状が出る頃には、既に病気が進行してしまっていることもあります。

このように多少の悪化では症状が出ない肝臓では、脂肪肝だからといって症状は現れません。
毎年会社の健康診断で「肝臓の数値が悪い」「脂肪肝だ」と言われていても、患者さんがなかなか受診をしない理由の一つに、「患者さん自身が症状を感じていないから」というのがあるのだと思います。

さて、そもそも肝臓は何故脂肪を溜めすぎてしまうのでしょうか。


脂肪肝の原因は?

脂肪肝の原因は主に3つあります。

■ 肥満・糖尿病・脂質異常症(非アルコール性脂肪肝)

脂肪がエネルギーに変換されるには、インスリンと呼ばれる物質が重要な役割を担います。
しかし、肥満状態になると、インスリンが正常に機能しなくなり、肝臓に脂肪が溜まりやすい環境を作ってしまうのです。


■ アルコールの過剰摂取(アルコール性脂肪肝)

本来、体の中に入ったアルコールのほとんどは、肝臓で解毒されて体の外へ排出されています。
この解毒の過程で、また肝臓の働きに異常が生じることで、肝臓に脂肪が増え、溜まっていきます。
なんと、大酒家の80%が脂肪肝を持っていると言われています。
大酒家とはエタノール換算で1日100g(チューハイ(7%)350mlで5杯)以上飲む人のことです。
日本にはおよそ240万人の大酒家がいると推計されています。

■ 無理なダイエット(低栄養性脂肪肝)

極端な食事制限をすると筋肉量が減少します。
そのため基礎代謝がおち、逆に肝臓に脂肪が溜まりやすい状況を作ってしまいます。

 

脂肪肝の改善法

肝臓に脂肪が溜まる脂肪肝ですが、症状も出ないため軽く見られがちなのが事実です。
ですが、放置していると、肝臓の機能の悪化や肝硬変などの病気に発展、動脈硬化も進行しやすくなります
いずれも進行すると命に関わる可能性があるのです。

では、脂肪肝をどのように治療するのか、高血圧の人が服用する「血圧を下げる薬」があるように、脂肪肝にも「肝臓の脂肪を減らす薬」が・・・実はありません
薬での治療もできず、放置しすぎると命に関わる可能性すらあると考えると・・・怖いですよね。

脂肪肝のほとんどは、生活習慣を見直すことで改善することができます。

1.主食、主菜、副菜を揃える

バランスのとれた1日3食の基本の形は「主食1品」、「主菜1品」、「副菜2品」です。
主菜や主食を2品以上組み合わせるとエネルギーが過剰になるので避けましょう。
外食の際は主食、主菜、副菜の揃った定食を選ぶよう心掛けてください。
脂っこいものを減らすのではなく、糖質の摂り過ぎに気を付けましょう。
特に果物の果糖は吸収が良く、肝臓で中性脂肪になりやすいため注意が必要です。

2.食事を食べる順番に気を付ける

食事によって血糖値が急上昇すると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが大量に分泌されます。
インスリンは余った糖を中性脂肪として蓄えるため血糖値をあげない事が大切です。
主菜→主食→ご飯の順番でよく噛んで食べれば、血糖値の上昇が穏やかになりインスリンの分泌が抑えられます。

 

まとめ

いかがでしたか?
脂肪肝・・・よく聞く言葉ではありますが、意外と怖い部分があります。
アルコールの摂りすぎ、肥満や糖尿病、脂質異常症など、脂肪肝となる原因はいくつもあります。
健康診断で採血検査の異常は出ていませんか?お腹の超音波検査で脂肪肝があると言われて放置していませんか?
生活習慣から引き起こされてしまうものが多いため、生活習慣が原因の場合は、生活習慣、特に食生活や飲酒量などを見直してみましょう。
当院でも健康診断の結果をお持ちいただければ、血液検査の再検査や、超音波検査を行うことができます。
ご自身の体と向き合い、健康な毎日を過ごしましょう!


新着情報

記事 新着(24時間)

-

コメント 新着(2日)

-

新着メディア (7日)