みなさん、こんにちは。横浜市皮膚科のららぽーと横浜クリニックです。
毎日暑い日が続いていますね。体調は崩されていませんか？
危険とも思われるほどの暑さです。お盆に外出・レジャーなど予定されている方は、体調に十分に気を付けて楽しんでくださいね。

さて、高温多湿の気候に加えて、紫外線の強いこの時期はどうしても肌トラブルが多くなるものです。
汗をかいた部分にかゆみや湿疹が生じるのはもちろんですが、外気に直接ふれる顔や頭皮もこうした影響を受けやすく、炎症や湿疹が生じやすくなります。
その一つが脂漏性皮膚炎（しろうせいひふえん）という病気です。
今回は、この脂漏性皮膚炎についてお話していきましょう。

脂漏性皮膚炎とは

脂漏性皮膚炎は頭や紙の生え際、顔面（おでこや鼻の周りなど）、耳、首、わき、上背部、上胸部などに生じる湿疹の1種です。
こうした部位は、皮脂を分泌する脂腺が発達した部位で、脂漏部位といいます。

脂漏性皮膚炎には、新生児～乳児期にみられる「乳児型」と、思春期以降の成人にみられる「成人型」があります。

乳児型の脂漏性皮膚炎のほとんどは一過性のもので、正しいスキンケアを行っていれば、たいてい生後8～12か月ころには自然に良くなっていきます。
成人型の脂漏性皮膚炎の場合は、一度発症すると、よくなったり悪くなったりを繰り返し、多くの方は慢性的な経過をたどります。
症状がひどくなってしまうと、自然治癒することはむずかしいたあめ、病院で治療を受ける必要があります。

では、次に脂漏性皮膚炎の症状についてみていきましょう。

脂漏性皮膚炎の症状は？

脂漏性皮膚炎の症状は・・・

• 炎症を起こして赤くなる
• かゆみ
• 皮膚のかさつき
• 皮膚が細かく剥がれ落ちる
• （酷いと）はがれた皮膚、浸出液が固まりかさぶたのようなものができる

●頭皮の場合

• やや黄色のような湿り気のあるフケ
• 乾燥したうろこ状のフケ

といった症状が挙げられます。

こうした症状は、他の皮膚炎（アレルギー性皮膚炎、接触性皮膚炎）と似ているため、脂漏性皮膚炎との見分けが難しい場合も多い病気です。
他の皮膚炎とも似ている症状の脂漏性皮膚炎ですが、原因も他の皮膚炎と似ているのでしょうか。

脂漏性皮膚炎の原因

脂漏性皮膚炎は他の皮膚炎と似た症状を引き起こしますが、原因にはある特徴があります。
それは、「マラセチア」というカビの一種が、脂漏性皮膚炎の発症に関わっているとされている点です。
カビと聞いてびっくりするかもしれませんが、実はマラセチアという菌は、誰の皮膚にもいる常在菌の1種なのです。

普段は無害ですが、皮脂や汗などの分泌物が大好物のマラセチアは、それらの成分をエサにして急激に増殖すると考えられています。
このマラセチアが皮膚で増殖すること自体が、皮膚の炎症を引き起こすと考えられています。
何故、マラセチアが以上に増殖するのか、はっきりとは分かっていませんが、環境に皮脂成分・分泌量の変化、ビタミン（B2、B6）の代謝異常、入浴や洗顔の不足、ストレス、寝不足、ホルモンの乱れなどの要因が関係していると言われています。

脂漏性皮膚炎になってしまったらどうすればよいのでしょうか。
治療法と日常生活で気を付けることはどのようなものがあるのかをみていきましょう。

治療法と日常生活の注意点

■治療法

脂漏性皮膚炎は、患部に炎症が起きている状態です。
ですので、ステロイド外用薬を使い、炎症を抑える治療を行います。
症状によっては、カビの繁殖を抑える抗真菌外用薬を併用することもあります。
こうした外用薬による治療がメインとなりますが、強いかゆみがある場合は、抗ヒスタミン薬などの内服薬を使う場合もあります。

■日常生活の注意点

１．皮膚を清潔に保つ

正しい洗顔、洗髪を行い、皮脂の貯まりやすい部分を清潔に保つことが大切です。
綺麗にしたいからといって、爪を立てたりゴシゴシと皮膚や頭皮を擦るのはNGです。泡で優しく洗うようにしましょう。
また、頭皮の場合は、ドライヤーで髪を乾かすことも大切です。
髪が湿ったままだと、頭皮に雑菌が繁殖しやすくなり、湿疹が良くなっていきません。きちんと乾かすように心がけましょう。

２．生活習慣を見直す

日々の睡眠不足や過度なストレスは、皮膚症状が悪くなる原因となります。
肌の調子が悪いと感じたら、まずは十分な睡眠を心掛けましょう。
気分転換の時間を設けるなどして、ストレスを溜めない生活を送ることも大切です。
また、暴飲暴食、偏った食生活（脂の多い食べ物ばかりなど）も、皮膚症状を悪化させる要因となります。
栄養バランスの整った、規則正しい食生活を心掛けましょう。

さいごに

いかがでしたか？
カビが皮膚炎に関係しているなんて少しびっくりしますよね。
体のどこにでも起きる皮膚炎ですが、多くの場合は頭皮のかゆみフケがでるとの訴えで受診されることが多いです。
毎日お風呂で髪を洗っているのにフケがでるなんて、あまり気分が良いものとは言えません。

大人の脂漏性皮膚炎であればなおさら、自然に治癒していくことは難しく、良い時期と悪い時期を繰り返し慢性化しやすい皮膚炎です。
また、アレルギー性皮膚炎や接触性皮膚炎との見分けも非常につきにくいため、1人で判断せず、まずは皮膚科へ相談しましょう。