大腸内視鏡検査で行える手術

印刷用ページ[2023/08/01] 胃腸科

こんにちは、横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
今回は、大腸内視鏡検査で行える手術のお話です。

大腸内視鏡といえば、大腸の中に異常がないか、ポリープができていないかを観察する検査として、認識している方も多いのではないでしょうか。
内視鏡検査では観察だけでなく、手術も行えるのです。
その手術とはどのようなものなのか、今回は大腸内視鏡検査で行える手術について解説していきます。

 

大腸内視鏡検査でどんな手術ができるの?

大腸内視鏡検査は、胃カメラの大腸版、と言うとイメージしやすいでしょうか。
胃カメラとの違いは・・・

  • 事前に下剤を沢山飲み、大腸内の便を全て出し切ってから行う
  • 口や鼻からではなく、肛門側からスコープをいれる

といった点が挙げられますね。

大腸ガンの検査としても知られている、検便の検査で引っかかった場合には、この大腸内視鏡検査が必要となります。
粘膜を直接観察できるため、検便の検査よりもはるかに精度の高い検査です。

さて、この大腸内視鏡検査で行える手術には、いくつか種類があります。

  • ポリペクトミー
  • EMR(内視鏡的粘膜切除術)
  • ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

上記の3つにわけられます。
それでは、順番にお話していきましょう。

 

大腸内視鏡検査で行える手術の種類

ポリープを切除する手術には、いくつかの種類があります。

1.ポリペクトミー

ポリペクトミーとは、ポリープを切除することをいいます。
スネア(針金を輪っかにしたような器具)を使用してポリープを切除する方法と、コールド鉗子(ポリープを挟んでちぎるような器具)で切除する方法があります。

■スネアによるポリペクトミー

通電せずにスネアをポリープに引っ掛けて根元の部分を締めて切除する方法です。
5mm以上10mm未満のポリープに対して、このスネアを用いてポリープ切除が行われます。

■コールド鉗子によるポリペクトミー

通電せずにポリープを鉗子でつまんでちぎり取るように切除する方法です。
4mm以下の小さなポリープはこのコールド鉗子でつまみます。

上記のように、高周波を用いないで行うポリープ切除のことを『コールドポリペクトミー』と言います。
10mm未満の、小さくて癌の疑いのない病変が適応となります。

これらのポリペクトミーは、そのままちぎり取る感じになるため、切除時は出血します。
ですがこの出血は数分で止まり、術後の出血はほぼないと言われています

また、大腸穿孔(せんこう:腸に穴があく合併症)も上記の方法であれば少ないため、現在多くの医療施設で行われているポリープ切除術になります。
ただし、有茎性(ポリープの根本が太いもの)の病変や癌を疑う病変には原則行いません。

ちなみに、高周波を用いてポリープ切除を行うものもありますが、術後出血のリスクが高いとされています。
そのため、現在主流になっているのは、前述のコールドポリペクトミーになります。

 

2.EMR(内視鏡的粘膜切除術)

病変の根もとに生理食塩水などの液体を注入し浮き上がらせます。
浮き上がらせることでわかりやすくなった病変をスネアでしめつけ、通電して切除します。
切除した病変は鉗子でつまんで回収します。
一度に切除できる範囲は約2cmまでと制限があります。

 

3.ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

大きな病変などに対して、根もとに生理食塩水などを注入して浮き上がらせます。
浮き上がらせる事でわかりやすくなった病変を、ナイフを用いて病変の周囲の粘膜を切開し、病変の下の層にもぐり病変部位を少しずつ削ぎ取っていく方法です。
ESDではEMRよりも広範囲を一度に切除することが可能ですが、全身麻酔下で行われるため、入院が必要になります。

こうしたいくつかの手術の方法から、どの手術の方法を選ぶのかは、ポリープの大きさ、形、茎の太さ(ポリープの根本の太さ)などによって、判断します。
さて、ここまで大腸内視鏡検査で行える手術についてお話してきました。
手術とまではいきませんが、大腸内視鏡検査で行えることとして、もう1つご紹介します。

 

そのほかにも大腸内視鏡でできること

大腸内視鏡でできることは、ポリープ切除だけではありません。
ポリープ切除は、もちろん手術ですのでリスクが伴います。
その一つとして挙げらあれる合併症が、ポリープ切除後の切除部位からの出血です。
実は、そうしたポリープの切除部位の止血処置も可能です。
止血の方法も、いくつか種類がありますが、今回は最も使用頻度の高い、クリッピング止血法を説明していきます。

■クリッピング止血法

ポリープ切除後の出血に対し必要に応じて、出血点や露出血管にクリップ(とても小さな洗濯ハサミのような形のもの)をして止血する方法。
小さな出血点から多量に出血する病変にまで適応されます。
クリッピング後、数日から数週間で自然に外れて体外に排出されます。

「腸の壁にクリップがくっついたままなの!?」と驚かれるかもしれませんが、自然と取れてしまいますし、患者さんの体の負担となるものでもないため、ご安心ください。

 

最後に…

いかがでしたか?
大腸内視鏡検査で行う手術は、手術と言っても、みなさんが想像するような、お腹を切ってしまうほど大掛かりなものではありません。

当院の大腸内視鏡検査では、大腸ポリープが見つかった場合には、日帰り手術で切除することが可能です。
ですが、見つかった病変が大きい場合には、術後の大量出血のリスクを避けるため、また、どの当院では行えないような手術方法(ESDなど)が必要な可能性を考慮し、入院施設への紹介をさせていただくこともあります。

もし何年も検査を行わないうちに、大腸ポリープが内視鏡検査でとりきれないほど大きくなってしまったら…?
病変の程度によっては長期の入院が必要となったり、何度も大きな病院への通院が必要になったり、後々患者さんの心も体にも、負担となることも多いです。

ですので、当院では口酸っぱくして「ポリープが大きくなる前に、みつけたら切除しましょう。」と患者さんへお話しています。
ポリープが大きくなる前に!小さいまま日帰り手術でとりきれるうちに!
ポリープ指摘された方は毎年、ポリープがなかった方でも少なくとも2年に1回の大腸内視鏡検査で早期発見に努めましょう!


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