内視鏡で見つかった隆起物の正体は?

印刷用ページ[2023/07/15] 胃腸科

みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。

皆さんは、胃や大腸の内視鏡結果で、「一部が盛り上がっている。」と言われたことがありますか?
その盛り上がりはポリープの場合もあれば、粘膜下腫瘍ということもあります。

または、胃・大腸そのものがもりあがっているのではなく、「他の臓器に押されているのかもしれません。」と説明を受けた方もいるかもしれません。
この、他の臓器などに押されている状態を『壁外性圧排』(へきがいあっぱい)といいます。
今回は、この壁外性圧排についてのお話していきましょう。

 

壁外性圧排って何?

壁外性圧排は、胃や大腸の外側の臓器や病変に押されて、内側に突出した状態のことをいいます。
具体的には、食道・胃であれば、大動脈瘤や腫瘍、または腸管拡張や肝臓・膵臓(のう胞・腫瘍)などの病変、大腸であればに子宮(女性のみ)などに押されている状態ということです。
バリウム検査や内視鏡検査で指摘されることが多く、CTや超音波検査などの精密検査を行っていきます。
「内視鏡検査でわからないの?」と思うかもしれませんが、内視鏡検査では粘膜を観察することしかできないため、粘膜より外がどうなっているのかを知ることはできません。

では、具体的にどのような原因で、外側から押されてしまうのでしょうか。

 

壁外性圧排の原因とは

壁外性圧排は、胃・大腸が外から押し出されて変形している状態のため、胃・大腸の周りの臓器になにかしらの異常が原因と考えられます。
実際にあった例を挙げてみましょう。

① 胃の内視鏡検査を行い、食道に壁外性圧排像が認められたため、精密検査として胸部CTを行ったところ、大動脈瘤が原因と診断された。

② 大腸の注腸透視(バリウム検査)を行い、S状結腸に狭窄と壁外性圧排像が認められたため、大腸の内視鏡検査が行われたが、悪性細胞は認められなかった。
 そのため、腹部超音波と下腹部CTを行うと腫瘍が見つかり、手術した結果、子宮に浸潤をきたした、S状結腸癌と診断された。

その他の壁外圧排の原因

食道・・・縦隔腫瘍やリンパ節腫大など
胃・・・腸管拡張や肝臓や膵臓(嚢胞・腫瘍)など
十二指腸・・・胆のうや膵臓の病変など
大腸・・・子宮などの病変
こうした原因によって、壁外性圧排の所見が見られます。

では、壁外性圧排があると言われたらどうすればよいのでしょうか。

 

壁外性圧排が見つかったらどうすればいいの? 

内視鏡で壁外性圧排を指摘された場合、指摘された部位にもよりますが、まずは超音波検査やCT検査で異常がないか検査されることをお勧めします。
壁外性圧排は検査の時に、偶然見つかり指摘されることも多く、症状を全く感じていない場合も多いです。
そのため、「本当に精密検査をする必要があるの?」と思われがちですが、実際に病気によって壁外性圧排がある場合、病状は進んで行ってしまいます。
どんな病気でもそうですが、多くの場合は、患者さんが自分で感じている症状と病気は必ずしも一致していません
「症状がある=病気がある」でもなければ、「症状がない=病気がない」でもないのです。
癌も症状が出てからでは遅いです。ですから、可能性が否定できていないのであれば、早め早めの検査を行いましょう。

 

まとめ

いかがでしたか?
毎日何十件という検査を行っている当院でも、「壁外性圧排」と診断される患者さんは、「時々いる」くらいの頻度です。
ですから、みなさんはもっと聞きなれない言葉だったかもしれません。

壁外性圧排は、その奥には危険な病状も潜んでいることがあります
もちろん精密検査の結果、緊急性がなく経過観察になることもありますが、それを確認するためにも、検査を受けることはとても大切なことです。
会社の健康診断などで行われるバリウム検査だけでは、わからない病気もあります。
毎年バリウム検査だけしか受けていない方は、一度胃内視鏡検査を考えてみてはいかがでしょうか。


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