肝嚢胞という病気を知っていますか?
みなさんは、肝嚢胞(かんのうほう)と言う言葉をしっていますか?
健康診断や、お腹のエコー(腹部超音波検査)を行った際に、指摘されたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
今回は肝嚢胞とはなにかについてお話していきます。
肝嚢胞とは
体のなかにできる、内部に水成分などを含んだ袋状のものを嚢胞(のうほう)といいます。
肝嚢胞は、その名の通り肝臓にこの嚢胞が出来た状態のことをいいます。
肝臓に囊胞が出来る病気にはさまざまなものがあり、生まれつきのもの、外傷によるもの、炎症に伴うもの、寄生虫によるもの、腫瘍などがあります。
一般的に「肝嚢胞」と言われているものの多くは、先天性(生まれつき)のものをさします。
では、肝嚢胞が体にある場合、どのような症状がでるのでしょうか。
肝嚢胞の症状
肝臓の中に水が溜まっている=何かできもののようなものがある、と想像するとなにか症状があるのではないか、と思いますよね。
実は、肝嚢胞と診断されるほとんどの方は、自覚症状がありません。
ただし、10cmを超えるような大きな囊胞の場合には症状がでることがあります。
最も多い症状としては、右の脇腹からみぞおちにかけての痛みや不快感です。
また、肝臓の近くにある胃が囊胞で圧迫されることで吐き気や嘔吐をおこすこともあります。
多発した肝嚢胞では、囊胞に細菌感染を起こして発熱や痛みを起こすこともあります。
囊胞の場所によっては、胆汁の流れを妨げて、黄疸(目や皮膚が黄色くなること)を起こす場合もありますが、比較的稀な症状です。
肝嚢胞の多くは症状がないことが分かりました。
特に症状がない場合、どうやって肝嚢胞が見つけるのでしょうか。
肝嚢胞はどうやって見つけるの?
先程お話した通り、自覚症状が無い方が多いため、偶然発見されることがほとんどです。
つまり「肝嚢胞が疑わしいので検査をしましょう」と検査をして見つかるというよりは、「健康診断で肝臓や腎臓の値が悪いため検査をしましょう」と言われて検査をしてみると偶然肝嚢胞が見つかった、ということがほとんどということですね。
肝嚢胞が見つかる検査には以下のようなものがあります。
超音波検査(腹部エコー検査)
お腹に超音波の出る装置をあてて肝嚢胞の様子を観察します。
簡単で体に負担が少ない検査で、最も一般的に行われます。
CT検査・MRI検査
肝囊胞についてさらに詳細に調べる検査です。
特に造影剤を使用して行う造影CT検査では腫瘍性の肝嚢胞であるか調べることができます。
では、こうした検査で肝嚢胞があるといわれたら、治療が必要なのでしょうか。
肝嚢胞と言われたら治療するの?
肝嚢胞は大きさが変化せずに経過することが多いですが、緩やかに大きくなる場合もあります。
特に症状がなければ、半年から1年に1回の腹部エコーで経過を見ていきます。
嚢胞が大きくなっていたり、腫瘍の可能性がある場合は、CTやMRIなどで精密検査を行います。
嚢胞の見た目も問題なく、特に症状もなければ経過観察で大丈夫です。
腫瘍が疑われたり、症状がある場合は治療や手術が必要になります。
治療としては手術などで嚢胞の液体を抜きます。
さいごに
いかがでしたか?
肝嚢胞は、先天性のものがほとんどで、健康診断などで偶然見つかることがあるものです。
肝嚢胞は大きさによってはそのまま経過を見ることも多いものですが、経過観察は放置することとは違います。
「症状がないからいいや」ではなく、経過観察と言われたら少なくとも1年1度は定期的なエコー検査をしましょう。
当院では腹部エコーも行っており、肝嚢胞の診断もしています。
ほとんどの患者様は経過観察で定期的に腹部エコーをしています。
健診で指摘を受けた方、腹部に気になる症状がある方は、ぜひららぽーと横浜クリニックにご相談下さい