炎症性腸疾患は怖い病気って本当?

印刷用ページ[2023/02/15] 胃腸科

みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
みなさんは、炎症性腸疾患という言葉を知っていますか?
最近多くなってきている疾患の一つでもあるので、「もしかしたら聞いたことある!」と言う人もいるかもしれませんね。

インターネットで調べてみると、実際に怖いことが書いてあるのを目にしたことがあるかもしれませんね。
実際に、炎症性腸疾患は放置しておくと怖い病気でもあります。
今回は、炎症性腸疾患の解説とどうして怖い病気なのかを解説していきます。

 

炎症性腸疾患ってなに?

炎症性腸疾患とは、ヒトの免疫機構が異常をきたし、自分の免疫細胞が、腸の細胞を攻撃してしまうことで、腸に炎症を起こす病気です。
主に、潰瘍性大腸炎・クローン病の2種類があります。

腸の病気と聞くと、大腸がんのイメージから年齢が上がるにつれて多いと思われるかもしれませんが…。
なんと、潰瘍性大腸炎・クローン病とも比較的若い方に発症しやすく、日本の患者数は年々増加傾向にあります。
また、腸管ベーチェット病という比較的稀な炎症性腸疾患もあります。

 

通常、炎症性腸疾患は命に関わることはありません
ですが、一旦発症すると完治は難しく、生涯治療を継続する必要があります。
薬による治療を続ける事で「症状はない」と感じるくらいになっていくことがあります
しかし、「症状がなくなった=病気が完治した」ではなく、「薬によってよくなった状態を維持し続ける」というのが、炎症性腸疾患では重要です。
「生涯治療を続ける必要がある」とはそういう意味なのです。

さて、先ほど「命に関わることはありません」と書きましたが、これはきちんと治療をしている場合です。
炎症性腸疾患は、放置し続けることで病気のある部分がガン化したり、合併症による敗血症などで命を落としたりしまうこともある、怖い病気です。

では、炎症性腸疾患に気付くにはどうしたらいいのか?まずは、どのような症状が出てくるのかをみてみましょう。

 

炎症性腸疾患の症状

炎症性腸疾患の初期症状としては、下痢が現れることが多く、徐々に緩くなっていくケースが良くあります。
進行すると血便を起こすようになり、痙攣性の腹痛や便意を度々感じるようになります。
更に進行すると、発熱、体重の減少、貧血などが現れます

炎症性腸疾患とまとめられていますが、潰瘍性大腸炎、クローン病ともに全く同じ症状というわけではありません

潰瘍性大腸炎

大腸の炎症により下痢、血便を生じる疾患です。比較的典型的な症状は、1日5回~10回前後の下痢、血便が続くと言ったようなものです。
しかし、病変範囲や重症度は患者さん毎に異なり、直腸のみの軽い炎症だけの方から、1日に20日以上も下痢、血便があり、腹痛や貧血、発熱を伴うような重症の方まで様々です。

クローン病

クローン病は、口から肛門までの全消化管に炎症をきたしうる疾患ですが、主な部位は、小腸、大腸、そして肛門です。
やはり、病変部位(病気のある場所)や重症度によって症状は異なりますが、下痢・腹痛の症状が多く、発熱や体重減少もしばしば見られます。
クローン病は、腸に深い潰瘍を形成するため、腸の変形がおきやすく、腸が潰瘍のため狭くなったり、腸に穴があいたり、腸と腸がトンネルを形成したりします。
肛門部では、直腸の潰瘍が肛門脇の皮膚とトンネルを作る痔瘻(じろう)を形成することがあります。

 

炎症性腸疾患はどこが怖いのか?

炎症性腸疾患は、放置し続けることで最悪の場合、命を落としてしまうこともあります
一方で、病状が進行しない限り、見た目で分かるような症状でもなければ、悶えるような痛みがあるといった大きな症状がありません。
それどころか、よくみられる症状は下痢、血便といった、『誰でも経験のあるような症状』ということです。
こうした『誰でも経験のあるような症状』というのは軽く見られがちで、「これくらいなら大丈夫だ」と病院へ来ることがないかもしれません。

そう思えてしまうくらいの症状・・・というのは、病気の発見が遅れることにつながります。
これは、「炎症性腸疾患の怖いところ」といえるのではないでしょうか。

 

さいごに

いかがでしたか?
炎症性腸疾患は比較的若い方にも多い・・・というのは少し驚かれたかもしれません。
​実際に、当院の患者さんも10代~30代といった若い方が、炎症性腸疾患の治療のために通院をしています。
「若いから大丈夫だ!」とは言いづらいところです。(もちろん症状によりますが、絶対はないという意味です)

患者さんは、このいずれかの症状(多くの場合は血便を確認した時ですが・・・)を感じたタイミングで医療機関を受診し、大腸内視鏡検査を行います。
その結果、こうした炎症性腸疾患を診断される事があります。
最初にもお話ししたとおり、きちんと治療を続けている人であれば、命に関わることはありません

しかし、症状が落ち着いたからと治療を自己中断してしまったり、放置し続けることで、病気のある部分がガン化したり、合併症による敗血症などで命を落としたりしまうこともある、怖い病気です。
大事になのは、下痢、血便といった症状が続く場合には、しっかりと大腸内視鏡検査を受け、炎症性腸疾患ではないかをチェックすること。
そして、炎症性腸疾患と診断された場合には、きちんと治療を続けて、病気の良い状態を維持し続けること。これが大事です。
みなさんも、長く続く症状があればきちんと検査を受けて、病気がないかをチェックしましょう。


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