足の付け根にピンポン玉!?これはなに?

印刷用ページ[2023/01/15] 胃腸科

みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。

みなさんは、『ヘルニア』という言葉を耳にしたことはありますか?
ヘルニアとは、体内の臓器の一部が本来の場所を飛び出してしまう状態の事を言います。有名なところで臍ヘルニア、椎間板ヘルニアが挙げられますね。
もう一つ並んで有名と言えるヘルニアがあり、「足の付け根にピンポン玉が出来た」と言われると、あの病気かな?と思います。みなさんは思い浮かびますか?
正解は・・・『鼠経(そけい)ヘルニア』です。今回は、この鼠経ヘルニアについて解説していきます。

 

鼠経ヘルニアとは?

鼠径ヘルニアとは、腸管や脂肪が腹壁というお腹の中の壁に欠損部が出来てしまい、飛び出す状態のことをいいます。
いわゆる脱腸のことです。

立っているときは膨らみや違和感があるのに、横になると内容物がお腹の中に戻るので違和感やふくらみがなくなるというのが、鼠経ヘルニアならではのものです。
左右の大腿の付け根部分に発生するヘルニアの総称を言い、腹部に生じるヘルニアの約80%は鼠径ヘルニアで、40歳以上で特に60歳前後の男性に多くみられます。

当院にも、「鼠経ヘルニアのような症状です・・・」と、症状を自覚されて来院される方が多くいらっしゃいます。
では、鼠経ヘルニアとは一体どんな症状が現れるのでしょうか。

 

鼠経ヘルニアの症状

鼠経ヘルニアには以下の様な症状が挙げられます。

  • 立ち上がったときや腹圧と加えた時に左右の足の付け根部分のどちらかに膨らみがあり、仰向けになると引っ込むことがある
  • 上から見下ろしたときに、下腹部または足の付け根に左右のふくらみ違いがある
  • 鼠経部に不快感や痛みが発生する
  • 突っ張り感や内臓が引っ張れる感覚がある

初期は、特に症状があまり感じられないことも多いです。
そのままにしておくと膨らみの部分が硬くなっていき、強い痛みが生じた際は腸の周囲の筋肉で締め付けられて戻らなくなる状態(嵌頓:かんとん)となります。
この状態になってしまうと腸が壊死(えし)してしまい、命にかかわることもあるので緊急手術が必要になります。

放置しておくと危険な鼠経ヘルニアですが、どうして鼠経ヘルニアになってしまうのでしょうか。

 

鼠経ヘルニアの原因と治療

原因

鼠経ヘルニアは、乳幼児の場合は先天性的なものであり、原因は特にありません。
ただ、成人の場合は、「腹圧のかかる仕事をする」「便秘によるいきみが強い」といった行動が原因となることがあります。
こうした行動をきっかけに、年を取ってくるにつれ筋膜の弱い部分から、袋状に腸が押し出されて膨らんでくることが主な原因と言われています。

治療

残念ながら、原則自然治癒は期待できません
程度や症状によっては、しばらく経過をみることもありますが、治療は手術が原則です。

以前は、弱くなった組織を糸で縫って補強する手術が主流でしたが、再発が多く、術後の疼痛も強いなど術後安静にする必要があるなどの問題がありました。
ですが、現在は短期入院で済む治療法が普及し、盲腸や胆石以上に多くの方(年間約15万人)が治療を受けている最も多い外科手術です。
当院でも、手術の適応だと判断された患者さんに関しては、手術をご紹介しています。

 

まとめ

いかがでしたか?
鼠経ヘルニアは、足の付け根のあたりにぽっこりとふくらみが出てきてしまう病気です。
年を取ってくるにつれ、筋膜の弱い部分から袋状に腸が押し出されて、膨らんでくることが主な原因と言われています。

加齢変化ということもあり、予防もなかなか難しいところではあります。
症状によっては、経過をみることもありますが、手術の適応となった場合には入院にて治療が必要となります。
放置し続けることによって、最悪の場合は腸が壊死してしまい危険です。

鼠経部のぽっこり出てくるような違和感に気づいたら放置せず、消化器外科に早めに受診しましょう!!


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