珍しい腸の病気!腸管スピロヘータ症

印刷用ページ[2022/10/15] 胃腸科

みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
当院では、日々胃腸の不調に悩む皆さんの診療を行っています。胃腸の症状にもいろいろありますが、お腹の症状では、長く続く下痢や便秘でお悩みの方は多くいらっしゃいます。
こうした症状は、様々な病気の原因と考えられます。例えば、何週間も続くような慢性の下痢の原因には、腸管スピロヘータ症という病気があります。
珍しい病気ではありますが、きちんと検査をすると腸管スピロヘータ症と診断されることがあります。
今回は、この腸管スピロヘータ症について解説をします。

 

腸管スピロヘータとはどんな病気?

スピロヘータというのは、細長いらせん状の形をした細菌です。
スピロヘータは人獣共通感染症(動物と人の間で自然に移行する病気・感染のこと)とされ、感染経路は経口感染が考えられています。
慢性の下痢症状があるものの、大腸カメラでは特徴的な所見が少なく、診断には組織検査が必要になる病気です。
症状は、慢性(長く続く)の下痢、血便、便通異常などが報告されています。
腸管スピロヘータ症は、慢性の下痢の患者さんのうち、0.7%の患者さんに認められたという報告もあり、稀な病気と言えます。

では、どのように診断を行うのでしょうか。

 

腸管スピロヘータ症の診断

腸管スピロヘータ症の症状としては、慢性の下痢、血便、腹痛、便秘などの症状がみられることが、全く無症状の患者さんもいるようです。

大腸内視鏡検査では、腸管粘膜のわずかな浮腫や発赤といった内視鏡所見がみられることもあります。
しかし、腸管スピロヘータ症の多くは、大腸内視鏡検査で特徴的な所見がなく、ほぼ正常粘膜だったと報告されていることが多いです。
つまり、大腸内視鏡検査で粘膜を見るだけでは、診断は難しいのです。
そこで、異常を認めない場合でも下痢が長引いている場合は、腸管スピロヘータ症の可能性を考えて、組織を採取し顕微鏡検査に提出します。
顕微鏡検査では、表面に好塩基性の毛羽立ちのような所見が見られ、顕微鏡検査の結果で診断されます。
また、スピロヘータは培地での発育がとても遅いため、便培養検査ではめったに検出できません。


まとめ

長いこと下痢が続いているので、大腸カメラを受けたら、「大腸粘膜には異常がなので、下痢型過敏性腸症候群です」と診断されている方の中には、腸管スピロヘータ症が隠れている場合があります。
過敏性腸症候群は、日本人の約10~15%といわれるデータもありますが、「多くの人がなっているから自分もきっとそうだろう」という思い込みは禁物です。
症状が長いときには、内視鏡検査などの精密検査を行い、思わぬ病気が隠れてないかをしっかり確認することが大切です。


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