「PCR検査」「抗原検査」「抗体検査」の違いを知っていますか?

印刷用ページ[2022/10/01] 内科

みなさん、こんにちは。横浜市内科のららぽーと横浜クリニックです。
国内でもまだまだ感染者の多い、新型コロナウイルス感染症。コロナ禍となってから、「PCR検査」、「抗原検査」、「抗体検査」という言葉をよく耳にするようになりましたね。
もちろんこれらは、新型コロナウイルス感染症が流行する前から医療現場では普通に使われている言葉でしたが、「これらの検査のはどう違うの?」と患者さんからも聞かれることも多くなりました。
同じ新型コロナウイルス感染症に関する検査であっても、何がどう違うのかわからないと感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は新型コロナウイルス感染症にも関わる、代表的な3つの検査について解説したいと思います。

 

PCR検査=新型コロナウイルス検査ではない?

ここ数年でPCR検査をはじめとする抗原検査、抗体検査、という言葉を耳にするようになったかもしれません。
ですが、先ほども触れたように、PRC検査、抗原検査、抗体検査はいずれも、新型コロナウイルスのための検査ではありません
PCRというのも検査方法のことで、新型コロナウイルスの流行以前から、様々な用途で使われてきた検査方法です。
それぞれの検査の特徴とどんな病気の時に使われる検査なのかをみていきましょう。

PCR検査

PCR検査は、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略称であり、現在病原体が体内に存在しているのか(感染しているのか)を調べることができる検査です。
微量のDNA断片を増幅して検出する方法です。鼻や咽頭を拭って細胞を採取し、検査を行います。感染してから発症する数日前より検出可能とされています。
感度は70%程度と言われており、検体採取をした場所に病原体が存在しなかった場合などは、感染していた場合でも陰性となってしまう場合があります。
また、PCR検査は、病気に対する検査のみならず、環境汚染の検査などの幅広いシーンで活用されています。

病気の例・・・新型コロナウイルス感染症、B型肝炎、C型肝炎、子宮頸がん、性感染症、白血病など

抗原検査

抗原検査は、病原体に対する抗体を用いて、病原体が持つ特有のタンパク質(抗原)を検出する検査です。
PCR検査に比べ検出率は劣りますが、「少ない時間で結果が出る」「特別な検査機器を必要としない」ことから、速やかに判断が必要な場合等に用いられることが多いです。
実は、みなさんが病院でインフルエンザの検査をするときは、この抗原検査を行っていることが多いです。
インフルエンザは、潜伏期間も短く感染力が強いため、迅速な対応が必要です。抗インフルエンザ薬も48時間以内に始めることが原則であり、素早い診断が求められるため、抗原検査が有用なのです。

病気の例・・・新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ、B型肝炎、C型肝炎、マイコプラズマ肺炎など

抗体検査

過去にその病原体に感染していたかを調べる検査です。
病原体に感染すると形成されるタンパク質(抗体)が血液中に存在するかを調べます。
抗体は、感染後1~2週間後に検出されるため、過去に感染していたかを調べる検査です。
病気に感染した場合だけでなく、ワクチンを接種したことにより抗体ができた場合にも、陽性となります。(その場合、反応の仕方が少し違います)

病気の例・・・新型コロナウイルス感染症、麻しん、風しん、水疱瘡(みずぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)など

 

3つの検査をどう使い分ける?

PCR検査・抗原検査・抗体検査の違いを簡単に図で表すと以下を参照頂くとそれぞれの特徴等がわかるかと思います。

PCR検査と抗原検査「今の感染をみる」検査です。
感染が疑われるときに、体内に病原体が存在しているかどうかを調べる検査であり、診断を目的としています。
PCR検査は、結果が出るまでに数日かかることが難点ですが、陽性の感度が高いことが特徴です。
抗原検査は、30分ほどの短時間で結果が出るのが特徴ですが、陽性の感度がは高いとは言えません

一方、抗体検査は病原体そのものを調べる検査ではなく、「過去に感染していたかをみる」検査です。
PCR検査と抗原検査が病原体そのものをつかまえる検査なのに対し、抗体検査は病原体に感染した人の体内で作られた抗体を検出する、という点で大きく異なります
「過去に感染していたか」を確認することを目的としているため、抗体検査は使われる機会が限られていると言えます。

それぞれに特徴があるため、検査を行う状況によって「今の感染をみる」か「過去の感染をみる」かで検査を使い分ける必要があります。

 

いかがでしたか?

今回は新型コロナウイルス感染症を含め、病原体を調べる3つの代表的な検査を解説をしました。
新型コロナウイルス感染症でいえば、どの検査を受けるべきなのかは、医師に相談の上で適切な検査を受ける必要があります。
新型コロナウイルスに対するPCR検査、抗原検査については、当院では行っておりませんが、その他の病気では必要に応じてこうした検査も行っています。
各検査についても正しく理解し、不要な不安や心配は払拭しておきましょう!

これから寒い時期になり、胃腸炎やインフルエンザといった病気も流行りだします。
まずは、予防の基本である手洗いや消毒、マスクの適切な着用などで、感染しないよう心がけることが大切です。


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