胃が胃酸で溶かされないのはなぜ?

印刷用ページ[2022/07/01] 胃腸科

こんにちは、横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
暑い日が続き、本格的に夏がやってきたようです。皆さんも体にはお気をつけてお過ごしください。

さて、今回は胃についての話題です。
皆さんもご存じの通り、食べたものは胃の中で胃液により消化されます。
「そんな、食べ物を溶かすほどの胃液がありながら、なぜ胃そのものは溶けないのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
今回はそんな「胃の謎」について解説します。

 

胃の働きと胃液

まず、胃は私たちが食べたものから栄養を摂取するうえで、なくてはならない大切な臓器で、主に2つの働きがあります。

  1. 食べ物が腸で本格的に消化・吸収される前の準備的な消化を行う
  2. 食べ物をいったん蓄え、腸での消化に合わせて少しずつ送り出す

食べ物が胃の中に入ってくると消化をするために、大量の胃液が分泌されます。
1回の食事で約500~700ml、1日ではなんと約1500ml~2500mlもの胃液が分泌されます。
この胃液は、鉄も溶かしてしまうほどの強い酸性の液体で、主成分は塩酸、タンパク質分解酵素(ペプシン)、粘膜と水分です。
強い酸で、タンパク質分解酵素を持っていますから、胃液に触れると主にタンパク質で出来ている私たちの体も消化されて溶けてしまうはずです。

では、ここで今回のテーマである胃が消化されない理由を解説しましょう。

 

なぜ胃は消化されないの?

鉄も溶かしてしまうほどの胃液。
胃そのものが消化されない理由は・・・ズバリ!
「胃を守る粘液が存在するから」です!

胃に食べ物が入ってくると、胃粘膜から多量の粘液が分泌されて、厚さが1㎜にも満たないとても薄いバリアを張り巡らせます。
このバリアはアルカリ性で、強い酸性である胃液と混ざると中和されるため、胃を守ることが出来るのです。


まとめ

いかがでしたか?
強い酸性を持つ胃液は攻撃因子、胃液から胃粘膜を守るための粘液は防御因子と呼ばれます。
この2つのバランスが保たれている状態が通常の胃です。
逆に、この2つの因子のバランスがどちらかに傾いてしまうと、胃の不快な症状が引き起こされてしまいます

胃はストレス、たばこ、アルコール、不摂生などでバランスを崩しやすいので、ぜひ規則正しい生活を送るように心がけ胃に負担をかけないようにしましょう。
胃痛、胃酸が上がる感じがある、消化不良気味など、胃の症状が続くときには、一度近くの医療機関を受診しましょう。
胃薬にはいくつもの種類がありますので、診断に応じて適切な治療薬を使うことが大切です。まずはしっかりと検査を行い診断をつけましょう。


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