内視鏡超音波って何?
こんにちは、横浜市内科のららぽーと横浜クリニックです。
あけましておめでとうございます。本年もららぽーと横浜クリニックをよろしくお願いいたします。
健康診断などで定期的に上部内視鏡検査(胃カメラ)や腹部超音波検査(腹部エコー)を受けている方もたくさんいらっしゃるかと思います。それぞれ、食道・胃・十二指腸や肝臓・胆道(胆のう・胆管)・腎臓・脾臓・膵臓などに病気がないか調べることができます。
実はこの2つの検査を合体させた、超音波内視鏡検査というものがあるのをご存じでしょうか?
今回はこの超音波内視鏡検査について解説していきたいと思います。
超音波内視鏡検査とは?
超音波内視鏡検査(Endoscopic Ultrasonography)とは、先端に超音波装置のついた内視鏡を使用し、消化管の内側から消化管壁(粘膜層・粘膜下層・筋層(固有筋層)・漿(しょう)膜下層・漿膜)や消化管壁外(胃や大腸などの消化管の外)に対して超音波検査を行うものです。
一般的によく行われる肌の上からの超音波検査とは異なり、胃や腸の中の空気や脂肪、骨がエコー画像を描出する際の妨げになることが少なく、また観察したい臓器や病変のより近くから観察をすることができます。
消化管壁にできた腫瘍の深達度(どの程度の範囲まで及んでいるか)や内部構造であったり、体表からの超音波検査では詳細な描出がやや困難な膵臓などの精密検査によく用いられます。
なぜ深達度や内部構造を調べるの?
通常の内視鏡検査では消化管粘膜しか観察することができません。
しかし、超音波内視鏡検査はさらにその下の層まで観察することができるため、粘膜下腫瘍やがんの診断に用いられます。
粘膜下腫瘍に対して行う場合
粘膜下腫瘍とは粘膜より下の消化管壁内(粘膜下層など)にできる腫瘍のことで、悪性・良性双方の腫瘍をさします。
これに対して超音波内視鏡検査を行うことで、腫瘍の断面図を見ることができるため、病変のひろがりや悪性度などの診断がある程度可能です。
その他CTなどの検査も合わせて、治療をするべき病変なのか、それとも経過を見てもいい病変なのかを総合的に診断します。
がんに対して行う場合
超音波内視鏡検査は、主に早期がんといわれる粘膜下層より浅いがんに対して行われます。
というのも、消化管臓器において、がんの浸潤(深達度)が粘膜筋板を超えてくると、リンパ節転移の可能性が途端に増えてくるからです。
一般的に、病変が粘膜層にとどまっていれば内視鏡治療の適応、粘膜筋板をこえていれば外科的手術を行うことによりがんの根治を目指せます。
病変が粘膜層にとどまっているかどうかの判断が難しい際にこの検査を行うことで、内視鏡治療か外科的手術か選択する手助けをしてくれるのです。
超音波内視鏡は病理検査もできる
超音波内視鏡検査では、消化管内部及び周辺臓器、さらに血管やリンパ節などの観察ができます。しかし、病変の良悪性や組織型の特定などの質的診断能には限界がありました。
そこで登場するのが、超音波内視鏡下穿刺吸引術(endoscopic ultrasound guided fine needle aspiration)です。
これは、超音波内視鏡検査で観察された病変に特殊な針を刺して、細胞や組織を採取する検査法です。
検体を採取するための針は、内視鏡の先端から出て消化管の壁越しに病変に向かって進んでいき、検査中には超音波画像で確認することができます。
すぐれた病変描出能を有する超音波内視鏡検査と同時に、病理診断が出来るようになることで、膵腫瘍や粘膜下腫瘍、腹腔内腫瘤・リンパ節など、従来の検査では採取が困難となることが多かった病変に対して、安全かつ確実に細胞や組織を採取することが可能となります。
そのためより正確な診断が得られ、的確な治療方針を決定することが可能です。
さいごに
いかがでしたか?
内視鏡検査と超音波検査を合わせた『超音波内視鏡検査』によって、病変に対してより正確な診断や的確な治療が受けられるようになることはお分かり頂けたでしょうか。
通常の内視鏡検査では、いくつもの層で出来ている消化管の粘膜(消化管の一番内側の層)までしか観察が出来ません。
しかし、この超音波内視鏡では粘膜下層・筋層…といった粘膜のさらに下の層を観察出来ます。
「そんな一石二鳥(?)な検査ならやってほしい!」という方もいるかもしれませんが、そもそも超音波内視鏡検査による精査を必要とするような病変があるのかどうか、まずは定期的に内視鏡検査や腹部超音波検査を受ける必要があります。
残念ながら、今回解説をした内視鏡超音波検査はららぽーと横浜クリニックでは行うことができません。
しかし、内視鏡検査や腹部超音波検査は行っていますので、検診で異常指摘のあった方、最近は検査を行っていない方、気になる方は一度ご相談ください。