キサントーマと萎縮性胃炎の関係

印刷用ページ[2020/11/15] 胃腸科
こんにちは、横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
みなさんは、キサントーマという言葉を聞いたことがありますか?…ちょっと専門的な言葉なので聞いたことがない!という方も多いと思います。
このキサントーマは、萎縮性胃炎と関係があると言われています。今回は、胃の症状の中の萎縮性胃炎とキサントーマ(胃黄色腫)の関係についてお話ししたいと思います。

 

萎縮性胃炎とは

まず、萎縮性胃炎とは、長年にわたって胃の粘膜に炎症が起こること(慢性胃炎)で、胃液や胃酸などを分泌する組織が縮小し、胃の粘膜が萎縮した状態です。(胃壁が薄くなる状態)
萎縮性胃炎が進むと、胃の粘膜は腸の粘膜のようになり(腸上皮化生)、さらに胃がんにまで発展してしまう恐れがあります。
萎縮性胃炎になると、胃液が十分に分泌されない為、食欲不振や、胃もたれなどの症状が現れることがあります。その他、胃痛、胃部膨満感、ゲップなどが現れることもあります。

炎症の原因として最も多いのは、ピロリ菌による感染です。ときに免疫異常により胃の粘膜に炎症が生じる場合もあります。

萎縮性胃炎の診断には胃の内視鏡検査が用いられます。内視鏡検査で、胃炎の有無やヘリコバクター・ピロリ感染の有無を検査することが可能です。
この時に、胃の中にキサントーマ(胃黄色腫)という病変が見られることがあります。このキサントーマはピロリ菌感染と深い繋がりがあると言われています
では、今回のメインテーマ「キサントーマ」について解説をしていきましょう。

 

キサントーマ(胃黄色腫)とは

キサントーマは泡沫状のマクロファジー(掃除屋の役割を果たす白血球の1種)が粘膜に集まって出来た、境界明瞭な黄色調の平坦からわずかに隆起したものです。大きさは数ミリから1センチ程度です。
前述通り、ピロリ菌感染慢性胃炎、既感染の高度の萎縮性胃炎に見つかることが多く、その発生にはピロリ菌が関係していると言われています

キサントーマが胃にできた隆起であることがわかりましたが…治療は行う必要があるのでしょうか。

 

キサントーマの治療は?

キサントーマ自体は放置していても良いとされています。キサントーマが悪性化例の報告はありませんが、印環細胞(いんかんさいぼう)がんと鑑別が難しいことがあります。
キサントーマ自体は治療の必要はありませんが、キサントーマのある胃粘膜は胃がんリスクが高いとも言われています
キサントーマが出来ている=高度の萎縮性胃炎やピロリ菌感染のある萎縮性胃炎という事・・・つまり、キサントーマではなく、キサントーマが出来やすい状態の胃を治療することが必要です。

ここでポイントになるのは、ピロリ菌の除菌を行うということです。ピロリ菌の除菌は、若いうちに行うと、胃粘膜の変化に対しても予防効果があると言われています。
その他、症状の改善には、漢方薬、H2受容体拮抗剤、プロトポンプ阻害薬などの薬物療法が有効です。
もちろん、ピロリ菌に感染している人が全員胃がんになるわけではありませんが、感染している人としていない人では、胃がんのリスクは5倍近く違うという報告もあります。
ピロリ菌の除菌の必要性がよくよくわかるデータですね。

ピロリ菌はいつの間にか感染をしていたり、昔であれば生活環境などで感染することが多く、ピロリ菌を予防するのは難しいことがあります。
ですから、早いうちにピロリ菌をみつけて除菌を行うことが大切です。
また、ピロリ菌の除菌ができたからと言って胃がんになりにくい胃になったわけではありません。
ピロリ菌が住んでいた胃はピロリ菌に感染したことのない人に比べて、胃癌の発生リスクがずっと高いです。
油断せずに内視鏡検査で定期的にチェックをすることが必要でしょう。

 

まとめ

いかがでしたか?
キサントーマは白血球が集まってできたものであり、キサントーマ自体は悪いものではないです。
しかし、キサントーマが出来るという事は胃に高度の萎縮性胃炎、もしくはピロリ菌の感染がある…というような胃がんのリスクが高い胃であるということです。
萎縮性胃炎やピロリ菌の感染がない人に比べて人一倍・・・いや二倍は気を付ける必要があるでしょう。
胃がんは大腸に比べてがんの進行が早いと言われています。
萎縮性胃炎と診断されたことのある方、ピロリ菌を除菌後の方、胃カメラを一度も受けたことがない方。胃の内視鏡検査で定期検査&ピロリ菌の感染がないかチェックをしてみましょう


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