胃もたれはどんな病気が疑われる?

印刷用ページ[2020/11/01] 胃腸科
みなさんこんにちは、横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
今回の記事は症状からどんな病気が隠れているのかを解説していきたいと思います。
患者さんは、様々な症状に悩み、医療機関を受診します。人によって症状は様々ですが、その中でも胃腸科の患者さんに多い症状の一つが「胃もたれ」です。皆さんも胃もたれを感じたことがあるでしょうか。
また、皆さんはこの症状からどんな病気が疑われるか想像ができますか?
では、早速解説していきましょう。


胃もたれはどんな症状?

まず、「胃もたれ」とは、胃が重苦しく感じられる状態をいいます。
このような胃の「もたれ感」は、主に胃の運動機能が弱くなったり、胃液の分泌量が減ったりして、食物がいつまでも消化されないために起こります
胃の運動機能が弱くなるのは、加齢による衰えのほか、ストレスなどによる精神的な緊張、食べ過ぎ・飲み過ぎなど、胃に過度な負担がかかることによって起こります
胃の働きが低下すると、食物がなかなか十二指腸へ送り出されずに胃に停滞してしまい、いわゆる「もたれ」の状態が現れるのです。
また、胃液の分泌量の減少は、一時的なストレスによって自律神経のバランスが乱れや、加齢による胃の分泌機能の衰えから起こります

さて、胃もたれという症状について分かったでしょうか。では、こうした「胃もたれ」症状が現れてしまう原因とは、どのような病気が考えられるのでしょうか。

 

胃もたれが起こる病気は?

・逆流性食道炎

逆流性食道炎は胃酸が逆流して食道に炎症を起こしてしまう病気です。通常の胃もたれのような症状のほか、口の中に酸っぱさを感じたり、げっぷや胸やけ、飲み込みにくさ、みぞおちなどに痛みが出たりすることがあります。
本来、食道と胃のつなぎ目部分(噴門部)の筋肉(下部食道括約筋)は、食べたり飲んだりする時以外にはしっかり閉じていて、胃液が食道に逆流することを防いでいます。
ところが何らかの原因によって下部食道括約筋の締まりが悪くなると、胃液が食道に逆流しやすくなることがあります。
胃の粘膜は、胃酸による刺激を受けないよう粘液により保護されているのですが、食道の粘膜はこのような機能が弱いため、逆流した胃酸に刺激されて、胸やけの症状が起こるのです。

・食道裂孔ヘルニア

胃と食道の境目にある食道裂孔とよばれる穴がゆるむために、胃の上部が飛び出してしまうことで、食べた物が食道へ逆流してしまう病気です
食べ物が逆流するという面では逆流性食道炎と共通しているので、症状もげっぷや胸痛、飲み込みにくさなど、現れる症状も似ています。
腹部の圧力が高くなる肥満や喘息、加齢による食道裂孔のゆるみなどが発症の引き金となることがありますが、まだはっきりとした原因は判明していません。
「食道裂孔ヘルニア」の疾患がある人は食道と胃のつなぎ目部分がせり上がっているため、下部食道括約筋が締まりにくくなるのに加え、食道に入ってしまった胃酸を排出するのに時間がかかって、胸やけが起こりやすくなります

・食道アカラシア

食道アカラシア、食べ物を食道から胃へ流すはたらきをする部分が絶えず収縮して正常に機能しないため、食べ物が食道にたまってしまう病気です。
胃もたれ・胸やけのほか、食べ物が飲み込みにくくなったり、食べ物の逆流により咳が出たりすることがあります。

・胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の内側の壁が胃酸によってダメージを受け、潰瘍という傷ができてしまう病気です。胃に消化性潰瘍ができると空腹時に多く胃痛が発生し、食事をしたりすると一時的に痛みが収まる場合があります。
しかし、食後に胃痛が現れる場合もあるため注意が必要です。また、胃の潰瘍では胃痛以外にも吐き気や嘔吐が起きてしまうこともあります。
十二指腸の潰瘍の場合は午前の時間帯や空腹時に痛み出すパターンがみられますが、これも胃の潰瘍と同様に食事などで痛みが軽減することがあります。

・胃炎

胃炎は胃の内側の粘膜が炎症を起こし、胃痛や吐き気が出てしまう病気です。突然症状が発生する急性のもとの、症状が長引く慢性のものがあり、空腹時などに胃痛が頻発します。

・胃がん

胃がんは胃の粘膜の細胞ががん細胞になり、増殖してしまう病気です。主な症状として胃の不快感や胸やけ、吐き気などが挙げられますが、体重が減ったり、黒っぽい色の便が見られたりすることもあります。
発症の原因の多くはピロリ菌感染で、喫煙や食塩の取りすぎなどとの関係も指摘されています。
胃がんはかなり進行していても自覚症状があまりないことがありますので、定期的に検診やピロリ菌のチェックを受け、早期発見につなげることが大切です。

・機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは内視鏡などの検査をしても何も異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれや胃痛の症状が続く病気です
胃の不快感のほかにも、すぐお腹がいっぱいになって十分な量の食事がとれなくなる、みぞおちが痛むなどの症状もみられます。


このように、胃もたれという症状だけでも考えられる病気はいくつもあります
実際に、患者さんから「胃もたれが辛いです」とお話を聞いただけでは、どの病気なのか判断をするのはなかなか難しいです。それは、粘膜を直接見て見なければ診断できない病気もあるからです
直接粘膜を見て診断をするために用いられるのが、胃カメラ(胃内視鏡検査)です
症状から想像できるだけの病気に対して薬を使っても効果がないこともありますし、適した治療薬を使うことはできません。
症状を改善するために大切なのは、しっかりとした検査を行い、診断された病気に合わせて治療を行うことです。

 

最後に

「胃もたれ」という1つの症状から沢山の病気が隠れている可能性があることはおわかりいただけたでしょうか。先ほどもお話しましたが、症状だけでは診断をすることは難しいです。自分だけで悩まずに、まずは医療機関へ相談をしましょう。
重大な病気が隠れている可能性もあるので、胃の不調が続くなら早めに医療機関を受診することをお勧めします
また、不調が続く場合は胃内視鏡検査を受けましょう。レントゲン撮影やバリウムの検査だけでは、粘膜を見ることができないために、胃がんや胃潰瘍といった粘膜に悪いものが出来ていることを確認することが難しいです。
慢性的に症状が続く場合には医療機関から検査を進められますが、きちんとした治療をうけていくためにも怖がらずに検査をうけるようにしましょう


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