痛みの王様現る?!~尿路結石~①

印刷用ページ[2019/10/15] 内科

こんにちは、横浜市内科のららぽーと横浜クリニックです。
突然ですが、皆さんは背中や腰、下腹部が痛くなることってたまにありませんか?我慢ができる程度の痛みならば、きっと誰しもが一度や二度経験したことがあると思います。
では、のたうち回るほどの我慢できない痛みに襲われたことは?経験がありますか?
もしかしたらその原因は尿路結石かもしれません。

 

尿路結石はどんな病気?

尿路結石とは「腎臓内で作られた尿が濃縮されることによって老廃物が結合されてできた鉱物のこと」で、主にカルシウム(カルシウム結石)やシュウ酸(シュウ酸結石)、尿酸(尿酸結石)などが主成分となります。(うち約8割がカルシウム結石です)
この結石が尿路(腎臓~尿道)を移動していくなかで様々な症状を引き起こすことがあるのです。
結石が出来る部位によって尿路結石は分類されます。具体的にどんなものがあるか見ていきましょう。

 

尿路結石の分類

1.上部尿路結石症

尿路上路である腎臓・尿管内に結石がある状態。日本人みられる尿路結石症のほとんどを占めています。

①腎結石症(図のa部分)
 腎臓で作られた結石がそのまま腎臓内にとどまっている状態です。意外とこの段階では痛みを生じないこともあります

②尿管結石症(図のb部分)
 腎臓と膀胱をつなぐ尿管は約7-8mmのため、同等もしくはやや大きい程度の結石が作られることによりちょうど尿管に挟まり、尿の流れをせき止めてしまっている状態です。
 腎臓は常に尿を作り続けているため、尿が腎臓から排出されなくなると腎臓内圧が上昇し、腎臓の表面を覆っている腎被膜が引き伸ばされることで、腰背部や腹部に激しい痛みを引き起こします

 この痛みがいわゆる“King of pain(痛みの王様)”です。

 

2.下部尿路結石症

尿路下部である膀胱・尿道内に結石がある状態。結石が尿路を刺激したり傷つけたりすることで、膀胱炎のように排尿障害や血尿がみられることが多くなります。

①膀胱結石症(図のc部分)
膀胱内に結石がとどまっている状態排尿時痛や残尿感、頻尿などの排尿障害を引き起こします

②尿道結石症(図のd部分)
尿道に結石が挟まり、尿の流れをせき止めてしまっている状態。尿意を感じても尿が出にくかったり、場合によっては全く出なくなってしまうこともあります

どんな人でも痛みがひどい場合は病院へ行こうと考えると思います。
では症状が軽い、我慢できる場合は放っておいても大丈夫なのでしょうか?

 

放っておくと危険なの?

尿路結石による症状自体は激痛や不快感を伴うとはいえ、すぐに生死に関わる病気ではありません
しかし、尿路結石が尿の排出をせき止めてしまうと、尿道から侵入した大腸菌などの細菌が尿路を逆流しそのまま腎臓まで運ばれ、腎臓内の腎盂(じんう:腎臓から出た尿を集めて、膀胱へ送っている)や腎実質(じんじっしつ:血液を濾過して尿をつくる機能を担う部分)、腎杯(じんぱい:腎実質からの尿を腎盤に導いている)などで細菌感染による炎症を引き起こすことがあります(尿路上行性感染)。

これは腎盂腎炎(じんうじんえん)という病気で、腰腹部痛や排尿障害だけでなく、38℃を超える発熱や倦怠感、悪心などの全身症状が現れます
さらに、腎臓で繁殖した細菌が血液内に侵入し、敗血症(はいけつしょう:炎症が血流によって全身にまわる全身性の細菌感染症)などの生死に関わる危険な病気を併発することもあります。
腎盂腎炎を繰り返すと腎機能が低下していくため、やがて腎不全となり人工透析が必要になることもありますので、思い当たる症状のある方は早めに医療機関を受診してください。

 

まとめ

長くなってしまうので、今回はここまでにしましょう。尿管結石がどんな病気なのかがわかってもらえたでしょうか?
いくつか種類があり、どこに石が出来たかで痛み方が違ったりするわけです。話を聞くだけでこっちまで痛くなってきそうです。
最悪の場合は治療が大変になり患者さんの負担となってしまいます。少しでも思い当たる症状があるときは早めに医療機関を受診しましょう。
次回は、病院にいったらどんな方法で診断方法や予防法などについてお話しします。お楽しみに!


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