内痔核が出来やすいのはどこ?

印刷用ページ[2019/09/01] 肛門科

こんにちは、横浜市肛門科のららぽーと横浜クリニックです。

「痔(じ≒ぢ)」に悩む患者さんは多いですよね。痔という病気の歴史は古く、人類が二足歩行を始めた頃からの悩みとも言われています。当院にも毎日多くの肛門科の患者さんがお尻に悩みをもって来院されます。

今回は「いぼ痔(痔核)」の中でも「内痔核(ないじかく)」と呼ばれる、肛門の中の方に出来るいぼ痔が発生しやすい場所についてのお話をしていきたいと思います。


痔核という病気

まず、「痔核」という病気について軽くおさらいしましょう。
既に述べたように一般的には「いぼ痔」の名前で知られる病気です。
肛門にできる痔の病気は他にも「痔ろう(あな痔)」「裂肛(切れ痔)」がありますが、痔核はそれらと並んで痔の代表格と言えます。

痔核は肛門にぷっくりとした腫れ、いぼができてしまう病気ですが、簡単に言って「肛門の中に発生した痔核」「肛門の外に発生した痔核」かで、それぞれ「内痔核」「外痔核」に分類されており、その両方を持つ患者さんも珍しくありません。

 

内痔核をもっと詳しく解説!

大腸(直腸)肛門は繋がっていますが、その境界はまるで「杉」と「竹」という材質の異なる二つの木を継ぎ合わすかのように、質の違う体組織によってできています

そのため、この境界の部分は少し脆い構造をしているわけですが、この大腸と肛門の境界線を「歯状線(しじょうせん)」と呼びます

そして、歯状線を境に肛門側(外側)にできる痔核を「外痔核」と呼び、歯状線より直腸側(体の内側、口の方向)にできる痔核を「内痔核」と呼ぶのです。
内痔核について、少しわかってきましたか?この内痔核には人間の体の構造上、できやすい場所(好発部位)が存在します。

 

内痔核のできやすい部位とは?

肛門科では病変(今回の場合はいぼ痔)の発生した部位を表現するため、肛門をアナログ時計の文字盤に見立てます。
内痔核のできやすい場所と言われているのは一般的に3か所で、3時、7時、11時の方向です。
上直腸動脈から枝分かれした血管は、肛門の右前方、右後方、左側方の3方向に流れ込みます。
静脈もほぼ同じような位置をめぐり、肛門と直腸境目あたりで毛細血管が網目状に立体的に集まった、「静脈叢(じょうみゃくそう)」を形成します。
こうした血管は、壁が薄く、静脈弁(血液が逆流しないようにある弁)が無かったり不完全だったりして、静脈瘤(静脈内に血液がたまり、血管が膨れたりしてしまう状態)を作ってしまいやすく、その静脈瘤などが内痔核として膨らみを成していきます。

左側方と右後方、右前方、つまり3時と7時、11時の方向に内痔核が多く存在する傾向にあるのは、このような血管の分布が関連していると考えられています
実は、厳密に見ると「痔核は誰でも持っている」と言うことができますが、それは健康な人でもこれらの血管が集まっている3方向は他の方向と比較すると少し盛り上がっており、痔核の元と呼べる状態になっているからなのです。

ちょっと難しかったでしょうか。つまり「静脈瘤が出来やすいところが内痔核の出来やすいところ」ということですね
さて、こうしてできてしまった内痔核ですが、治療はどのようなものがあるのかを最後にお話ししましょう。

 

内痔核には注射療法が有効!

古くから、内痔核を治す手段には様々な物が用いられてきました。
世界中で数多の試行錯誤があった中で、一昔前には内痔核も外痔核も、同じように外科手術で切ってしまうのが最も効率的と考えられていました
その後は「パオスクレー」という注射法が登場し、切らずに治す内痔核に有効な治療手段として注目されました
そして近年、更に進化した注射療法と言うべき「ジオン注射」を用いた方法が考案されました
「ALTA療法(アルタりょうほう)」と呼ばれるこの方法はパオスクレー以上の効果を発揮し、痛みなどの患者負担が少ないやり方であるために、現代の内痔核治療の主流になりつつあります

もちろん、当院でも内痔核の治療としてこのジオン注射を使用しています。内痔核の治療だけで終わる人もいれば、内痔核と外痔核の治療を同時に行う人もいます。
どのような治療になるのかはいぼ痔の大きさなどによって変わりますので、「ジオン注射を用いたALTA療法で治療したい!」と希望があってもその通りにはならないかもしれません。
まずは手術の適応になるのか、一度専門の医師へ相談をしてみましょう。

 

まとめ

内痔核は血管の分布が重要なポイントになって、3つの方向にできやすい傾向があるということがお分かりいただけたでしょうか。
内痔核は日々の排便時のいきみ長時間の座位過度の飲酒などに影響されて、静脈叢(じょうみゃくそう)やその周辺組織が時間をかけて徐々にたるんで膨らんで内痔核が形成されていきます。
まずは、トイレで長く強くいきまないよう、排便習慣から見直してみてはいかがでしょうか。

ららぽーと横浜クリニックでは痔の日帰り手術を行っています。もちろん、当院でも今回触れたジオン注射法(ALTA療法)の適応となり手術を受ける患者さんは多いですよ。
ただし、実際に注射の適応症例かどうかは患者さんの痔核の状態次第です。見てみないことには分かりませんから、症状にお困りの方、どうしても気になる方、ぜひ一度当院にご相談くださいね。


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