つらい喉の痛みの正体は扁桃炎!?

印刷用ページ[2019/02/15] 内科

こんにちは、横浜市内科のららぽーと横浜クリニックです。

寒い日が続きますが、体調は崩していませんか?出かける時は暖かい恰好をして完全防寒して出かけましょう!風邪対策にマスクも忘れずに!

さて、今回は皆さんが一度は経験があるでしょう「扁桃炎」についてお話ししたいと思います。扁桃はどこにあり、扁桃炎はどんな症状か皆さんご存じでしょうか?

まずは扁桃炎の症状について説明したいと思います。

 

扁桃腺とは

扁桃とは、咽頭の粘膜の中で発達したリンパ組織の一つです。一般的に「扁桃腺」といわれますが、正しくは「扁桃」といいます。外部から入ってくる病原体を防ぐ役割をしています。
この扁桃が炎症を起こすことを扁桃炎(扁桃腺炎)といいます。 
扁桃炎は風邪をきっかけとして起こり、ふつうは寒気と高熱を伴います。左右の扁桃が真っ赤に肥大しその表面には黄白色の斑点が出てきます。この斑点の正体は膿であり、このような状態になるとつばを飲み込むことはもちろん、食べ物や飲み物も喉を通らないほどの痛みを感じるようになります。

体温が38℃を超えてくると激しい頭痛や関節痛、悪寒、倦怠感なども生じるため、インフルエンザと勘違いするケースもあります。扁桃炎は小児や青年に多く、高齢者では扁桃腺が萎縮するためにほとんどありません。扁桃炎は高熱が出てもふつうは3~4日で解熱します。しかし子どもの間で夏季に流行するプール熱では、扁桃炎とともに結膜炎を伴い5~6日高熱が続くことがあります。
扁桃炎は症状によって3段階のステージに分かれます。より詳しく症状を見ていきましょう。

 

3段階のステージとは?

さて、扁桃炎は症状によって「初期段階」→「急性型」→「慢性型」という3段階に分けることが出来ます。

◆第1段階

「初期段階」…喉が赤く腫れイガイガ感を伴います。また食べ物や飲み物が飲み込みづらくなる場合もあります。

◆第2段階

「急性型」…38~40℃の高熱が出て頭痛・関節痛・悪寒・倦怠感・頚部リンパ節の腫れなどが起こります。
初期段階よりも喉の痛みが激しくなり、扁桃部分に白い斑点が現れます。この状態になるとほとんど飲食ができない状態になります。
別の病気との併発率も高く、中耳炎を併発した場合には耳にも痛みが生じます。
急性扁桃炎を悪化させてしまうと、扁桃の周囲に炎症が起こる 「扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)」を引き起こす可能性があり、さらに病状が悪化します

◆第3段階

「慢性型」…急性型を年に何度も繰り返す状態を指し、初期段階以上の咽頭痛、喉のイガイガ感や異物感などがあります。
慢性化すると熱は37℃程度に下がりますが、倦怠感を伴います
このような状態が起こった場合には、慢性型の疑いがあるので直ちに病院で診察を受けましょう

 

扁桃炎の治療方法

扁桃炎を引き起こす主な原因は、細菌やウイルスによるものです。インフルエンザ菌(※インフルエンザのウイルスとは別のものです)や溶血連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、単純ヘルペスウイルスなどにより引き起こされます。そのため、扁桃炎の治療には、炎症を起こす元になっている細菌を弱らせるための抗生物質、のどの炎症や高熱を下げるための解熱剤、のどの殺菌を行うためのうがい薬などを使用するのが一般的です。
薬の種類には次のようなものがあります。

 

◆抗生物質

扁桃炎を引き起こしている原因が細菌にある場合は、抗生物質を使うことが有効だといわれています。

・ペニシリン系抗生剤

溶血性連鎖球菌により炎症が起こっている場合に、もっともよく使用されます。A群溶連菌の場合はペニシリンによる耐性菌がないといわれており、特に効果を発揮するようです。吸収力が高いため、消化気管への影響も少ないといわれています。子供に処方する場合は、飲みやすいアモキシシリンが使われます。

・セフェム系抗生剤

一般的に用いられる抗菌薬です。
代表的なものに、フロモックスがあります。フロモックスは、インフルエンザ菌や溶血連鎖球菌、大腸菌など幅広い細菌に対応できるのが特徴です。炎症を起こしている細菌を殺菌する働きがあります。副作用が少ないため使いやすいといわれていますが、腎臓を患っている場合や高齢者にはお腹のゆるくなる副作用が起こる場合があるようです。

・マクロライド系抗生剤

ペニシリン系抗生剤でアレルギー反応を起こす場合は、マクロライド系抗生剤を処方します。副作用は少ないといわれていますが、マクロライド系抗生剤に対する耐性菌が存在しているため、効果が得られるとは限りません。

 

◆ウイルスを抑える薬

ウイルスにより扁桃炎を引き起こしている場合は、抗生物質は効果がありません。そのため対症療法により治療を行います。しかし、ウイルスの中でも単純ヘルペスウイルスが原因であることが分かった場合は、単純ヘルペスウイルスを抑制する効果のある抗ウイルス剤を使用します(アシクロビルなど)。ヘルペスウイルス遺伝子に作用して、ウイルス増殖を抑制させる効果があるといわれています。
基本的には上記のような飲み薬を服用することにより治療を行っていきます。ただし、中には手術で扁桃を取り除かないといけない場合があるのです。

 

手術が必要になる場合

手術が必要な扁桃炎は基本的にはステージでご紹介した3段階にあたる「慢性型」にあたります。繰り返す扁桃炎や他の臓器に悪影響を及ぼしている場合、炎症が強い場合は手術が考えられます。
手術が考えられる症状としては

・年に3~4回以上扁桃炎になる
・扁桃にすみついた細菌によって扁桃炎以外の病気になった場合
※扁桃にすみついた細菌によって、扁桃から離れた体の部分に病気が起こる状態を、扁桃病巣感染症(病巣性扁桃炎)といいます。皮膚病の掌蹠膿疱症、尋常性乾癬などや腎臓の病気のIgA腎症、骨や関節に起こる病気の慢性関節リウマチなど。
・扁桃が肥大しているため、呼吸や食事が困難になる場合
※とくに、眠っているときに呼吸がしばらく止まる睡眠時無呼吸症候群になっている場合は手術をすすめられます。
・扁桃周囲膿瘍になった場合

口蓋扁桃だけでなく周囲にも炎症を起こした状態を扁桃周囲炎といい、さらに炎症が続き、膿が扁桃やその周囲にたまった状態を扁桃周囲膿瘍といいます。たまった膿が首や胸にまで流れていくと、命に関わる非常に危険な状態になることがありますので手術が必要です。
では、簡単に手術方法をご紹介したいと思います。

 

扁桃炎の手術方法

まず手術の名前ですが、扁桃腺をとることを「口蓋扁桃摘出術(こうがいへんとうてきしゅつじゅつ)」といいます。
「口蓋」とは「口の入り口」のことです。扁桃腺は半分以上肉の中に埋まっているので、この扁桃腺を丸ごと取ります。手術は全身麻酔で眠った状態で行い、術後は出血の恐れがあるため10日前後の入院が必要となります。

 

最後に…

扁桃炎は風邪がきっかけで感染します。症状は寒気と高熱、扁桃が真っ赤に肥大し、膿が溜まります。このような状態になるとつばを飲み込むことはもちろん、食べ物や飲み物も喉を通らないほどの痛みを感じるようになります。
基本的には薬の服用で症状を抑えることができますが、あまりにも症状が頻繁に起こる場合や、睡眠時無呼吸症候群、扁桃周囲膿瘍などになった場合は手術が必要になる場合があります。
ですので、喉が痛い・高熱が出ているなどの症状がある場合は悪化する前に早めに専門機関を受診しましょう。当院でも診察可能ですので、お気軽にご相談ください。


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