漢方薬と西洋薬

印刷用ページ[2018/08/01] 内科

こんにちは!横浜市の内科、ららぽーと横浜クリニックです!
医学の世界には、「東洋医学」と「西洋医学」という分類があります。「聞き覚えがある」という方もいらっしゃると思います。

では、それぞれの特徴や違いについて皆さんはご存じですか?
薬飲む人

言葉の通り、東洋医学は中国や日本などの東アジアで発展した医学のことで、西洋医学はヨーロッパやアメリカ等で発展した医学を指します。
詳しく説明していきましょう。

 

それぞれの考え方

東洋医学

○先人たちの経験を基としている。
○体と共に心もみて、体全体の調和を図るという考え方。
○個人の体質や特徴をベースに、症状に合わせて治療する。
○原因が特定できないものや、「未病」も治療の対象である。
○天然物をベースに配合した「漢方薬」を用いるため、ひとつの薬に複数の成分が含まれ、複数の症状に効果が期待できる。
※未病(みびょう)とは?
発病には至らないものの、軽い症状がある状態。東洋医学には五臓六腑がつながっているという考えが根本にあり「軽いうちに異常を見つけて病気を予防するという考え方」であると日本医師会により定義されています。


西洋医学

○客観的な視点や分析により構築されている。
○器官や臓器といった物質面に焦点を当て、病気に対してピンポイントに治療することを目的としている。
○客観的な結果や分析で病名を決定し、画一された治療法を用いる。
○精製された純粋な薬物でできた西洋薬を用いる。
同じ医学でも、考え方や治療法、薬等にずいぶん違いがあることがわかると思います。

 

それぞれの特徴

続いてそれぞれに用いられる薬、漢方薬と西洋薬の特徴と違いについて焦点を当てていきましょう。
赤い文字漢方薬青い文字西洋薬を表しています。

名称

「〇〇湯」や「××散」など、中国由来であることから基本的に漢字が使用される。
日本で開発された薬でも英名(カタカナ語)の名称が付く。

成分

袋に入った粉薬

動植物や鉱物など、多くの生薬を配合している。
合成された1つの成分のものが多い。

特徴

体が持つ働きを高め、体を整える。
体がすべき働きを薬が代わりに行い、症状をピンポイントで抑える。

効き目

遅効性のものが多いが副作用は少ないとされる。
速くて強い。効果が強く出過ぎて、副作用が現れることもある。

形状

煎じ薬、エキス剤、丸剤等、自然の形を削ったり丸めたりしている。
錠剤、カプセル剤、シロップ剤、座薬等、加工され整えられている。

薬の選び方

「四診」を用いて、患者の体質や症状で判断する。同じ病名でも同じ処方をするとは限らず、同じ処方を違う病気に用いることもある。症状全体を配慮して処方するため、薬の数は少ない。
病気の原因を知るために様々な検査を行い、病名を決め、処方をする。同じ病名には同じような薬が用いられる。1つの症状に対し1つの治療薬が基本。多くの症状に処方すると、薬の数も多くなる。病名が分からない場合や、分かっても治療薬がない場合もある。

※四診とは?
「望診」、「聞診」、「問診」、「切診」のこと。体力や気血水の変調、病気の経過状態をチェックできるという考え方。


薬剤の形状から治し方に対する考えまで、それぞれ異なることがわかるかと思います。
「じゃあ、どっちがいいの?」、「私はどっちの薬を飲むべき?」と悩まれる方もいらっしゃると思います。

 

どちらが優秀なのか?

病気は十人十色です。症状や改善したい悩みに合わせて薬を選ぶ必要があり、その時々で正解が変わることも有り得ます。
漢方薬は、体のバランスを整える薬なので、「なんとなく不調」とか「症状がひとつだけではない場合」に合っていると言えます。
西洋薬は、ひとつの症状や病気に対して強く効くので、「ピンポイントで治したい症状がある場合」に特に合っています。

 

……と、まあ傾向はありますが、結論的には以下のようになります。

 

結論:優劣はない!

今回は東洋医学西洋医学の比較を扱った内容でしたが、結論を言えば、どちらが良い悪いということはなく、それぞれの得意とするもの、適材適所があるということですね。
考え方の異なる両者に優劣や善悪を決めるのはナンセンスでしょう。「医療」という意味では同じ分野になりますが、短距離走のチャンピオンと長距離走のチャンピオン、どちらが優れているかなんて比較する人はまずいませんよね。

漢方薬が日本に伝来したのは5世紀頃。中国の「中医学」が元になり、(その後様々な医学の影響も受けつつ)日本で独自に発展しました。「漢方薬」という名称は後世になってから付けられたものであり、「蘭学」という言葉があるように、元々は西洋医学である「蘭方」に対しての「漢方」という名前でした。
この時代には、西洋の目新しい価値観や先進的な技術が日本に続々と押し寄せてきた影響から、漢方も時代遅れのものとして扱われ、軽視されてしまった史実もあります。
しかし(日本画などにも似たような話がありますが)、時が経ち、東洋医学は歴史的な価値だけでなく、その有効性や病と向き合う姿勢などが再評価され始めています。漢方及び東洋医学は「黒魔術」の類ではありませんでした。
2018年現在、WHO(世界保健機関)でも日本や中国の東洋医学は「伝統医療」として認められる方向性が示されており、これまでは「何となくこういう症状に効果がある」程度の理解で、やや曖昧であったエビデンス(医学的な根拠)の問題についても、今後は世界的に研究、証明が進んでいくものと考えられます。

昔ながらの漢方薬を扱う漢方専門の医師も存在しますし、当院もそうですが、近年では漢方薬と西洋薬の両方を処方する医師も増えてきているようです。実際に診察室では初めに西洋薬で効果が見られなかった患者さんに対して、「では、漢方薬を試してみましょうか。」という話になることも日常的に見られます。
患者さんの症状や希望に応じて西洋医学的なアプローチをしたり、東洋医学的なアプローチをしたり、柔軟に対応するのが「現代型の医療」と言えそうです。

 

体に不調や気になる症状が出た際は一人で悩まず、医療機関で医師の指示を仰ぐことが大切です。自分に合ったお薬を試せる良い機会かもしれません。
ららぽーと横浜クリニックでは皆さんの健康な生活へ向け、各種検査や投薬治療などを行っています。お気軽にご相談ください。


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