角栓って何者?角栓の正体とは…

印刷用ページ[2018/07/15] 皮膚科・アレルギー科

こんにちは。横浜市皮膚科のららぽーと横浜クリニックです。
今回は悩まれている方も多い「角栓」についてです。
女性にとっては永遠の悩みと言えるのではないでしょうか。

早い人は10代から気になる鼻や小鼻の黒いブツブツ……。
今回はそんな「角栓」についてご紹介したいと思います。いちご鼻

角栓を説明する際に「角質」についてもご理解いただけるとよりわかりやすくなりますので、角栓と角質はどんなものであるかを説明したいと思います。

角栓とは?

毛穴の中で古くなった角質が皮脂と混じり合ってできたものが角栓です。

肌に溜まった脂の塊というイメージがあるかと思いますが、実は角栓の成分のうち皮脂は3割だけで、角栓の7割はタンパク質からできています。
このタンパク質の正体こそが古い角質なのです。
「角栓は詰まるし要らないものだろう」と思われている方が大半だと思いますが、そもそも角栓は「要らないもの」ではなく肌に必要なものです。
角栓には、外部から毛穴の中にウィルスや雑菌などが入り込まないようにするという役割があります。その為、角栓は全くないほうがいいというわけではないのです。
角栓は本来少しずつ作られていくもので、ターンオーバーが順調に行われていれば、自然と押し出され外に排出されます。しかし、間違えたスキンケア方法や不規則な生活を送っていると毛穴全体を塞いでしまうほど大きくなってしまうんです。

 

角質とは?

新しく生まれた細胞は、ターンオーバーを繰り返しながら、肌の奥から一番表面の部分へと少しずつ押し上げられていきます。そして角質層に到達した肌は、死んだ細胞となります。これが角質です。

角質は、雑菌の侵入を防いだり、水分の蒸発を防いだりといった肌を守るためのバリア機能を果たしてくれる、肌にとって必要な存在なのです。そして、角質はその役目を果たし終えると、自然に剥がれ落ちて、また新しい角質に生まれ変わります。

つまり簡単にいうと肌には角栓、角質は両方とも必要ということなんです。
さて、文章を読んでいる中で何度か「ターンオーバー」という言葉が出てきました。皆さん耳にしたことはあると思いますが、どういった意味かご存知ですか?
鼻の毛穴に詰まった角栓とターンオーバーには密接な関係があるのです。

 

ターンオーバーってどういうこと?

肌もほかの器官と同じく新陳代謝を繰り返しています。肌の古い細胞は表層に押し上げられ角質となります。さらに時間が経過すると、この角質は垢となってはがれ落ちます。この肌の新陳代謝のことをターンオーバーと呼びます。通常は約4週間で1サイクルが理想的な早さといわれています。
このターンオーバーがホルモンバランスが崩れる、洗顔不足などの理由で周期が乱れてしまうと、本来はがれ落ちるべき古い角質が、皮脂と混ざり合って毛穴などに残ってしまい角栓の原因に繋がります。
肌荒れ女性


できればターンオーバーを理想的な周期に合わせたいですよね?
では、どうして乱れてしまうのか原因を見ていきましょう。
 

◆ターンオーバーの乱れの原因

・加齢
年齢を重ねていくと、細胞の働きも衰えていきます。すると、新陳代謝が落ち古い角質がはがれにくくなり結果的に角質が重なり合ってしまいます。

・ストレス
ターンオーバーは、自律神経が深くかかわっています。自律神経が乱れるとターンオーバーの乱れの原因になってしまうのです。

・睡眠不足
ターンオーバーが行われるのは睡眠中です。十分な睡眠がとれていないと、成長ホルモンの分泌も少なく、十分にターンオーバーができません。そのため、ターンオーバーが遅くなります。しっかりと毎日睡眠をとりましょう。

・乾燥肌
カサカサの乾燥肌は角質がはがれにくいため、ターンオーバーの遅れに繋がります。
乾燥肌対策を念入りにし、ターンオーバーの乱れを防ぎましょう。

・過度な洗顔
洗顔のしすぎは角質を無理やり剥がす行為になります。必要以上に皮脂をとってしまうと、肌細胞は乾燥から肌を守るために、次の角質を急いで作りだすのでターンオーバーが早まることに繋がります。過度な洗顔は避けましょう。

・紫外線
紫外線にあたりすぎると、肌細胞はダメージを受けてしまいます。細胞がダメージを受けると、回復するために肌細胞はターンオーバーを早めてしまいます。日傘をさす、日焼け止めを塗るなどの紫外線対策をしましょう。

ターンオーバーはさまざまな原因で乱れてしまいます。
生活習慣を見直しターンオーバーの周期を整えることにより、トラブルレスの美肌を目指すことが出来ます。
ここまでは角栓の正体、ターンオーバーの乱れの原因を説明しました。では、角栓はそのままにしているとどうなるのでしょうか……。

角栓は放置していいの?

ずばり、「角栓は放置してはいけません!
角栓を放置するとこんなに恐ろしいことが…

・炎症のニキビができる

角栓内にアクネ菌が入り込んで増殖すると、炎症して腫れ上がった赤ニキビができます。さらに悪化すると化膿した黄ニキビ、さらにはニキビ痕になってしまいます。

・黒く汚れた毛穴になる

角栓の表皮部分が酸化を起こすと、黒いブツブツの毛穴になります。さらにここにアクネ菌が入れば、黒ニキビの原因に。

恐ろしいですね。
だからといって、角栓を無理やり取り除くのはNGです。
生活習慣を見直しターンオーバーの周期を整えながら角栓、角質予防をしましょう。ただし、もし悪化し、ニキビになってしまったら皮膚科に相談しましょう。
角栓が悪化しニキビになってしまったら症状にあわせて様々な薬が処方されます。
その中にディフェリンゲルという治療薬があります。この治療薬、実はニキビだけでなく、角栓予防にもなるんです。一体どんな治療薬なのでしょうか。

 

ディフェリンゲルとは

ディフェリンゲルは2008年に認可が下りたニキビの患者さんに処方する塗り薬です。
通常ニキビの治療薬は、できたニキビに塗って殺菌してニキビの炎症を抑えるというような事後ケアでした。しかし、ディフェリンゲルは「皮脂の過剰な分泌を抑えて毛穴詰まりを解消する」という、事前のニキビ予防に効果が認められているんです。つまり、ニキビを悪化させる前に原因を取り除くという新しいアプローチのため角栓ケアに効果を発揮し、ニキビの進行を食い止めてくれるのです。
ただし、即効性のある薬ではないため効果が現れるまでに少し時間がかかりますので長期的な治療になります。また、医薬品ですので医師の指示に従いながら、正しく使用しましょう。

 

最後に

スキンケアをする女性
 

角栓についてお分かりいただけたでしょうか?角栓の正体は皮脂とタンパク質です。

角栓は「毛穴に詰まるから不要だ」と思われている方もいたかもしれませんが、実は毛穴の中にウィルスや雑菌などが入り込まないようにするという重要な役割があったんです。驚きですよね。
ただし、放置すると毛穴がつまりニキビの原因になってしまいます。
角栓を防ぐためには「ターンオーバーの周期を整えること」が一番ですが、もし悪化しニキビができてしまったら皮膚科を受診しましょう。ニキビの治療と同時に角栓ケアが出来るディフェリンゲルという塗り薬もありますよ。
当院でもニキビの治療を行っていますので、お気軽にご相談ください。

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