採血検査の検査項目及び基準値について
検査項目 | 項目説明 | 基準範囲(単位) |
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総蛋白(TP) | 血清中に含まれる蛋白質の総称で、その種類は100種類以上ともいわれています。そのすべてが生命維持に関係していて、肝臓や腎臓の働きに異常が生じると血清中の蛋白質の代謝が乱れるため、蛋白総量を調べることで肝臓や腎臓の状態を知る目安となります。 | 6.5~8.2 g/dL |
アルブミン(ALB) | 血清総蛋白の50~70%を占めカルシウムなどの血液中の様々運搬や浸透圧の維持に重要な成分です。栄養の摂取や吸収障害など全身状態の参考にもなります。低値では栄養不良、肝硬変を疑います。 | 3.7~5.5 g/dL |
尿酸(UA) | 核酸の構成成分であるプリン体が分解されてできた老廃物です。痛風等の生活習慣病、腎機能低下などの検査のため測定します。 | 3.6~7.0 mg/dL 男性:3.0~7.7 女性:2.0~5.5 |
尿素窒素(UN) | 尿素窒素は血中尿素に含まれる窒素成分を表したものです。腎機能やその他全身諸臓器の機能の評価のため測定します。 | 8.0~20.0 mg/dL |
LDLコレステロール(LDL-CHO) | いわゆる「悪玉コレステロール」で、動脈硬化症の原因となります。高脂血症の診断に必要な脂質代謝状態の把握が可能になります。 | 70~139 mg/dL |
クレアチニン(CREA) | クレアチニンは体で使われた物質の老廃物です。腎機能が悪化して排泄されなくなると数値が上昇します。 | 0.65~1.09 mg/dL 男性:0.6~1.1 女性:0.4~0.8 |
カリウム(K) | 神経の伝達、体や心臓の筋肉の働きを助け、生命活動の維持調節に重要な電解質です。 | 3.5~5.0 mEq/L |
クロール(CL) | クロールはナトリウムなどの電解質の変化に伴って変動します。クロールの高値は下痢、脱水症や過換気症候群、腎不全などの疑いがあり、逆に低値は嘔吐、肺気腫、肺炎、腎障害などの疑いがあります。 | 98~108 mEq/L |
鉄(Fe) | 血液中に含まれる鉄です。鉄欠乏性貧血や出血、感染症などで減少し、頻回な輸血などで鉄過剰となります。 | 60~210 μg/dL 男性:60~200 女性:50~160 |
総コレステロール(TCHO) | 細胞膜の構成やホルモン生成に重要な機能をもっています。高値になると動脈硬化や心筋梗塞など危険因子にもなりえます。中性脂肪と比較されることが多いです。 | 150~219 mg/dL |
中性脂肪(TG) | 血液中の脂肪の一種で基準範囲を超えると動脈硬化や心臓病、脳卒中のリスクが高まることが知られています。 | 50~149 mg/dL |
総ビリルビン(T-BIL) | ビリルビンとは、古くなった赤血球が破壊されるときに生成される黄色い色素(黄疸:おうだん)の程度を測定し、肝臓や胆道に異常があると増加します。(赤血球が壊れて出てきたヘモグロビンが変化してできるものが間接ビリルビンで、それが肝臓で処理され直接ビリルビンに変化します) | 0.3~1.2 mg/dL |
AST(GOT) | 炎症などによって体の細胞が壊れると血中に流出するため、増え方で障害の程度がわかります。AST(GOT)は、肝臓だけでなく、心筋・脳にも含まれています。 | 10~40 U/L |
ALT(GPT) | 炎症などによって体の細胞が壊れると血中に流出するため、増え方で障害の程度がわかります。ALT(GPT)は主に肝臓、その他には腎臓にも含まれている酵素です。 | 5~45 U/L |
ALP | 肝臓、胆道、骨、胎盤、小腸にある酵素で、これらの障害により上昇します。 | 104~338 U/L |
γ-GT(γ-GTP) | 胆汁の流れ(肝~胆道~腸)に障害を生じると増加します。また、アルコール多飲により増加します。 | 0~79 U/L 男性:18~50 女性:6~30 |
コリンエステラーゼ(ChE) | コリンエステルと呼ばれる物質をコリンと有機酸に分解する酵素で、肝疾患、特に慢性の肝疾患の肝機能検査として必須の項目です。 | 245~495 U/L |
LDH(乳酸脱水素酵素) | 体内の多くの細胞に存在する酵素で、細胞が壊れると血中に流出し、壊れる細胞が多いほど上昇します。 | 120~245 U/L |
アミラーゼ(AMY) | アミラーゼは膵臓から分泌される消化酵素の1つで、多糖類(デンプン、グリコーゲンなど)をマルトースまで加水分解する酵素です。膵疾患などの検査のため測定します。 | 39~134 U/L |
グルコース | 血中に存在する糖質のことで、その主成分をブドウ糖が占めています。食事・ストレス・脳下垂体ホルモンなどの異常分泌で上昇し、グルコースの分解促進過剰やインスリン分泌過剰などで低下します。食事の影響によって値の変動が激しいため、早朝空腹時採血が原則となります。 | 70~109 mg/dL(空腹時) |
HDLコレステロール(HDL-CHO) | いわゆる「善玉コレステロール」で、血管の壁などに余分に蓄積されたコレステロールを回収する働きがあります。低値では動脈硬化などが問題となります。 | 40~80 mg/dL 男性:37~50 女性:41~66 |
フェリチン定量 | フェリチンはトランスフェリンという蛋白質と鉄の交換を行い、血中の鉄分(血清鉄:Fe)の量を維持するので、この検査で貯蔵鉄の量を調べることができます。Feと合わせて検査することで詳しく貧血を診断することもできます。 | 21.0~282.0 ng/mL |
膵ホスホリパーゼA2(膵PLA2) | 膵ホスホリパーゼA2(膵PLA2)は膵臓で合成され、膵液中に分泌されて消化酵素として作用します。この値は膵炎の急性化に伴い著名に上昇するので、早期の膵炎を見つける上で重要な検査です。 | 130~400 ng/dL |
糖化ヘモグロビン(HBA1C) | 蛋白質とブドウ糖が非酵素反応により結合したものを糖化ヘモグロビンと呼びます。体内のタンパク質は、高血糖状態であるほど糖化される割合が高くなります。この値では、赤血球の寿命(120日)、糖尿病患者の1~2か月前の血糖コントロール状態(平均血糖値)を知ることが出来ます。 | 4.6~6.2 % |
検査項目 | 項目説明 | 基準範囲(単位) |
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白血球数(WBC) | 白血球は病原微生物などから体を防御するための免疫機構の主役となる血球です。炎症や感染症などの時に増加します。 | 3500~9700 /μL |
赤血球数(RBC) | 赤血球の働きは、肺から酸素を受け取り、全身の組織へ酸素を運搬しています。貧血の時はこれが減少します。 | 438~577 万/μL 男性:427~570 女性:376~500 |
血色素量(HB) | ヘモグロビン(血色素)は赤血球中の主成分で酸素の運搬を担うタンパク質の量。これらが基準範囲より少ない場合は貧血、多ければ多血症と診断します。 | 13.6~18.3 g/dL 男性:14.0~18.0 女性:12.0~16.0 |
ヘマトクリット(HT) | ヘマトクリットは血液中に占める赤血球の全容積の割合です。これらが基準範囲より少ない場合は貧血、多ければ多血症と診断します。 | 40.4~51.9 % 男性:40~50 女性:35~45 |
血小板数 | 血管の損傷に反応し、出血を止める働きをしています。血小板の数が減少したり、その機能が低下すると、出血が止まりにくくなります。 | 14.0~37.9 万/μL |
白血球像 BASo EoSIno STAB SEg Lympho Mono その他1 その他2 NEUTR EBL |
一般的に白血球と呼ばれるのは5種類の重要な白血球(好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球)を総称しているもので、これを白血球分画と言います。これらの分画にはそれぞれ異なる形態・性質があり、正常なときはそれぞれの占める割合が一定範囲内に保たれていますが、以上があればこの割合が変わってきます。こうした白血球数の増加・減少がどの分画の増減があるのかを確認する検査です。 BASo(好塩基球)、EoSIno(好酸球)、NEUTR(好中球)、STAB(桿状核球)、SEg(分葉核球)、Lympho(リンパ球)、Mono(単球)、EBL(赤芽球)を表します。 |
0.0~2.0 % 0.0~7.0 % 0.0~19.0 % 27.0~72.0 % 18.0~50.0 % 1.0~8.0 % 0.0~0.0 % 0.0~0.0 % 42.0~74.0 % 0.0~0.0 /100WBC |
赤沈 | 赤沈棒に血液を入れ、血球成分が沈んでできた上清の量を㎜で表したものです。赤沈は炎症の増悪・寛解や重症度をよく反映させます。 | 1~15 mm/h |
プロトロンビン時間(PT) 血漿PT時間 対照 PT活性値 PT-I NR |
凝固外因系共通の検査で凝固第Ⅰ、Ⅱ、Ⅴ、Ⅶ、Ⅹ因子の総合的活性を反映します。凝固因子を合成している肝臓の動きが悪くなったり、合成に必要なビタミンKが不足すると延長します。一般的には秒数、活性%で表されます。APTTと同時に検査されることが多いです。 | 10.0~13.0 SEC(秒) SEC(秒) 80.0~120.0 % 0.90~1.13 |
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) | 凝固外因系共通の検査で凝固第Ⅰ、Ⅱ、Ⅴ、Ⅷ、Ⅸ、Ⅹ、ⅩⅠ、ⅩⅡ因子の総合的活性を反映する。プロトロンビン時間と同じく、肝機能障害、ビタミンK不足で延長します。一般的に秒数で表され、血友病の診断などに用いられます。 | 26.0~38.0 SEC(秒) |
●内分泌学検査
検査項目 | 項目説明 | 基準範囲(単位) |
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C-ペプチド精密測定 | C-ペプチドを測定すると、インスリンの分泌状態がわかります。血糖値などの結果と合わせて総合的に診断します。1型糖尿病・2型糖尿病の鑑別などのためにも測定します。 | 0.8~2.5 ng/mL |
アルドステロン | 副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンの一種で、腎臓からのナトリウム排泄を抑制する働きがあります。この値を測定することで、アルドステロン症などの高血圧を呈する疾患の鑑別診断に用いられます。 | 臥位:29.9~158.8 立位:38.9~306.8 pg/mL |
レニン活性 | レニンは腎臓で産生される酵素です。血管平滑筋収縮作用、副腎皮質アンドロステン分泌促進作用を示します。この値を測定することで、アルドステロン症などの高血圧を呈する疾患の鑑別診断に用いられます。 | 臥位:0.2~2.3 立位:0.2~4.1 pg/mL/h |
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)/ADH(抗利尿ホルモン) | 血圧を低下させ、利尿を促し、さらには心臓の肥大や線維化を抑えるという心臓を守る(心保護)作用があります。主に心室で産生・分泌されるホルモンで、心臓の機能が低下し、心臓への負担が大きくなると多く分泌され数値が高くなり、心不全や高血圧症を疑います。 | 0.0~18.4 pg/mL |
●免疫学検査
検査項目 | 項目説明 | 基準範囲(単位) |
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CRP定量/LA | 急性炎症あるいは組織崩壊性病変で増加する蛋白の一つです。炎症性病巣の存在や病変の活動性、障害程度を鋭敏に反映する代表的な炎症マーカーです。血中CRP濃度を知ることにより、炎症や組織損害の存在、程度、予後を推測できますが、病気を特定することはできません。 | 0.00~0.30mg/dL |
HBS抗原/MAT | HBs抗原はB型ウイルスの外殻を形成する蛋白です。HBsが陽性であることは、B型肝炎ウイルス(HBV)感染を意味します。 | 0~7 倍 |
HCV抗体価精密測定(3RD) 判定 インデックス ユニット |
HCV(C型肝炎ウイルス)感染をもっとも広く捉えることができる検査です。 | (-)~(-) 0.000~0.149 0.0~0.9 |
TPHA定性 | 梅毒感染を疑うときや輸血、内視鏡検査、手術自のスクリーニングとして行う検査です。 | (-)~(-) |
HIV抗原・抗体同時定性 | HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染を疑うときや輸血、内視鏡検査、手術自のスクリーニングとして行う検査です。 | (-)~(-) |
検査項目 | 項目説明 | 基準範囲(単位) |
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VIEW39 カモガヤ オオアワガエリ ブタクサ ヨモギ スギ ヒノキ ハンノキ(属) シラカンバ(属) ヤケヒョウヒダニ ハウスダスト カンジダ アルテルナリア アスペルギルス マラセチア(属) ネコ皮膚 イヌ皮膚 小麦 大豆 米 ゴマ マグロ サケ サバ エビ カニ ミルク 牛肉 鶏肉 豚肉 卵白 オボムコイド ソバ ピーナッツ リンゴ キウイ バナナ ラテックス ゴキブリ ガ |
39種類のアレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)に対する特異的IgEを調べることができます。アレルゲン除去や免疫療法を含めた治療方針決定においても不可欠な検査項目です。 | 0.00~0.26 |
TARC | 現状のアトピー性皮膚炎の状態を反映します。そのため、重症度の評価には有用な検査です。皮膚の状態が良くなれば、TARCの値も低下します。 | pg/mL |
非特異的IgE定量 | 全ての特異的IgE抗体の総和です。アレルギー性疾患はその免疫反応の多様性よりⅠ型~Ⅳ型のタイプに分類されています。その中でもⅠ型アレルギーはIgE依存型と呼ばれ、IgEが大きく関与するアレルギー反応です。そのIgEの血中濃度はアトピー性アレルギー患者において有意に高値を示すので、アトピー要素の有無を調べるのに有用な検査です。 | 0~170 IU/mL |