みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
今回は、前回に続き(飲みすぎ注意!あなたの食道は大丈夫?)食道とアルコールに関するテーマです。
日本人の食道がんは、飲酒と喫煙が大きな原因であることが分かっています。
今回は、アルコールと食道がんの関係について解説していきます。


食道がんとはどんな病気?

食道がんは、食道の内面を覆っている粘膜の表面からできます
長い食道のどこにでも出来る可能性がありますが、約半数が食道の中央付近からできます。
また、食道内にいくつも同時にできることもあります。また、60歳以上の男性に多いとされています。

食道の粘膜から発生したがんは、大きくなると食道の外側へ広がっていき(浸潤)、食道の壁を越えて隣接する気管や大動脈などの周囲の臓器にまで広がっていきます。
また、食道の壁内にあるリンパ管や血管にがんが浸潤し、リンパ液や血液の流れに乗って、食道の外にあるリンパ節や肺、肝臓などの他の臓器へと移っていきます。

食道がんの治療法としては、内視鏡的切除、手術、放射線治療、薬物療法、化学療法などがあります。

さて、食道がんができると、どのような症状がでてくるのでしょうか。


食道がんの症状

食道がんは、初期には自覚症状がなく、進行も早いため、自覚症状が出てきたころには、既に進行がんとなっていることがほとんどです。
(どのがんも初期には症状がないことが多いです!)

がんが進行するにつれて・・・
・食事や飲水の時の胸部の違和感

胸の違和感は、早期発見のために注意しておきたい症状です。
熱いものを飲み込んだ時に「ん?なんかしみるな…」と感じたり、飲食物を飲み込んだ時に胸の奥がチクチク痛んだりといった症状があります。
これらの症状は一時的に消えることがあるので、「気のせいだ」と思ってしまうこともあるかもしれません。

・飲食物がつかえる感じ
・体重減少

食道がんが進行すると、食道の内側が狭くなり食べ物がつかえやすくなり、硬い物が飲み込めなくなります
更に食道がんが大きくなると、食道をふさいで水も通らなくなり、唾液も呑み込めず戻すようになります。
こうして食事が摂れなくなっていくので、体重も減ってしまいます。

胸や背中の痛み
・咳
・声のかすれ

食道がんが進行することで、食道の壁を超えて周囲にある肺・背骨・大動脈などに浸潤すると、胸の奥や背中に痛みを感じるようになります


食道がんの原因

食道がんは、食道に発生する上皮性悪性腫瘍で、日本では扁平上皮癌が90%を占めています。
食道がんが出来やすい部位は、胸部中部食道で60歳以上の男性に多いとされています。

食道がんの危険因子として
・喫煙
・飲酒

が挙げられます。

その他にも、野菜・果物の摂取不足、食道アカラシア(食道の機能障害)、逆流性食道炎に関連するバレット食道などが挙げられます。

いくつか挙げたなかでは、飲酒と喫煙が重要な危険因子となっています
喫煙・飲酒の両方とも習慣があると危険率は相乗的に増加してしまいます。
具体的には、毎日1.5合以上の飲酒、20本以上の喫煙している人における癌の発生率は非飲酒・喫煙者の30倍以上といわれています。
近年では、内視鏡検査などで早期発見されるケースが増えていることや、治療技術向上に伴って生存率は改善されているとはいうものの、消化管の癌の中では依然として予後は不良となっています。


食道がんの予防と早期発見

がん全般の予防では禁煙、節度ある飲酒、バランスの良い食事、運動、適正な体系の維持、感染予防が有効であることがわかっています。

食道がんを予防するには禁煙し、飲酒も適量を心がけるのが大切です。
特に大量飲酒をしている人では、禁酒もしくは飲酒量を減らすことで食道がんの発生予防が期待できるという報告もあるそうです。

胃がん検診で行われるバリウム検査では、食道ではなく胃を重点的に検査します。
ですから、食道がんの早期発見で最も重要なのは胃内視鏡検査です。
飲酒や喫煙の習慣がある方で50歳以上の方は1年に1度の内視鏡検査をおすすめします。


さいごに

いかがでしたか?
大量の飲酒・喫煙は食道がんを始めとしたあらゆる病気の大きなリスクになります。
このような習慣が長期間続くと、飲酒喫煙のない人と比べて食道がんになるリスクが何十倍にもなります。
食道をしっかり観察するのであれば、内視鏡検査がベストです!
当院でも食道、胃の観察をしっかり行えます。
胃がんの進行は、大腸に比べて早いと言われるため、定期検査は1年に1回をおすすめしています。

特別強い症状がないから…という場合でも、強い症状が出てからでは手遅れというケースもあり得ます。
気になる症状が続く場合、年齢が40歳以上の喫煙・飲酒をよくする方は、放置せずに医師へ相談しましょう。