最近、「芸能人が大腸がん」というニュースを耳にするようになりました。なんだか、大腸がんが急に身近に感じられて怖くなりますよね。

大腸がんの中の「直腸がん」の手術では、「ストーマ(人工肛門)」というものを付ける必要がでてくることがあります。

今回は、その「ストーマ(人工肛門)」についてお話したいと思います。

 

■ストーマとは?

人工肛門とは、腸の内容物(便)を排泄するために、腹壁に作る排泄口のことです。

ストーマには、大きく分けて消化管ストーマと尿路ストーマがあります。人工肛門はこれの消化管ストーマにあたります。

消化管ストーマは、消化管の最終器官である肛門を切除する必要が生じたり、なんらかの理由で便が肛門や結腸の一部を通過するのに不都合が生じたときに作られます。消化管ストーマには、どの消化管が体表に出ているかによって2種類に分類されます。コロストミー(大腸ストーマ)とイレオストミー(小腸ストーマ)です。今回の話は大腸ストーマについてです。

大腸がんの手術で大腸ストーマが必要となるのは、直腸がんのケースがほとんどです。

肛門の近くに出来た直腸がんでは、肛門も一緒に切除し、空いた創部(もとは肛門があった部分)を完全閉鎖することになります。そこで、ストーマが必要になるんですね。

 

■ストーマでの生活

上でも少し書いたように直腸には便をためる機能がありますが、ストーマにはそのような機能がないため、自分の意志とは関係なく排泄をコントロールすることができません。

常時、ストーマから自然と便が排泄されるので、便を受け止める袋を装着して生活することになります。ある程度溜まったら便をトイレに出して、袋をつけてを繰り返す…というような生活になります。

「ストーマを付けているから、付ける前と同じような生活が出来ないのでは…?」と不安になるところですが、ストーマをつけているからといって、日常生活に制限はありません。もちろん注意点はありますが、旅行やスポーツなども支障なく日々を過ごすことができるんですよ。

 

今回はストーマ(人工肛門)についてお話ししましたが、まずは大腸がんにならないことが第一ですね。大腸がんの予防のためには、大腸の内視鏡検査を受けることが重要です。お気軽にご相談下さいね。

 

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