みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
今回は、胃・大腸内視鏡検査を検討している人へ向けて、内視鏡検査をするときに使用する鎮静剤についてお話していきます。

当院では、内視鏡検査の際には鎮静剤を使用しています。
それはなぜか?ズバリ!鎮静剤を使用することで患者さんの負担を軽減できるからです。

「胃と大腸の内視鏡検査をしたいけど、調べると怖いことばかり書いてある」と心配な方は必見ですよ。

 

胃と大腸の内視鏡検査がつらいと言われるのはなぜ?

胃と大腸の内視鏡検査というと、なんとなく「つらい検査」というイメージはありませんか?
「内視鏡を挿入するのが痛くてつらい」「大腸カメラ前の下剤がつらい」「胃カメラでオエっとなるのがつらい」などなど…
インターネットや誰かから聞いたりしたことで、内視鏡検査=つらいというイメージが浸透してしまっているのだと思います。
たしかに、内視鏡検査は少し前まで苦痛が伴う検査でした。 

そこで、内視鏡検査での苦痛を少なくするために使用するのが、今回のテーマである鎮静剤です。
そもそも、鎮静剤とは一体どんなものなのでしょうか。

 

鎮静剤ってなに?

鎮静剤とは、分かりやすく言えば「麻酔薬」のことです。
胃と大腸の内視鏡検査では、体の中へ細長い管のようなカメラを体に挿入するので、どうしても患者さんの体には負担がかかってしまいます。
こうした、患者さんへの負担を軽減するために使用されるのが鎮静剤です。

鎮静剤により、患者さんの緊張と胃腸の動きを和らげることで、患者さんの心身の負担を減らし、より安全な検査を行うことができます
基本的に、鎮静剤は患者さんはウトウトしつつも、医師とお話が出来るレベルの量を使用します。
患者さんによって薬の量は変わってきますが、医師が適切な量を判断し使用するので、安心してくださいね。

鎮静剤にはいくつか種類がありますが、それぞれ特徴があり、効果時間にも差があります。
当院でも効果時間が短く、検査後にすぐ歩くことができるようなものを使用しています。
患者さんによっては、薬が効きにくい方や逆に効きすぎてしまう方もいます
これに関してはお薬ですので、どうしても個人差があります。 

実は、鎮静剤を使用した内視鏡検査が普及してきたのは、ここ数年でのお話なのです。
それまでは、鎮静剤を使わずに検査を行うことも多かったので、患者さんの意識があるなかで検査をおこなっていたので、先ほど挙げたようなつらい思いをする方が多かったのです。

では、鎮静剤を使用することで、一体どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

 

鎮静剤のメリット・デメリット

メリット

①苦痛を軽減できる

先ほどからお話しているように、鎮静剤を使用することで苦痛なく検査を行うことができます。
鎮静剤の影響でウトウトと眠ってしまうこともあり、気が付いたら検査室を出て元の部屋で休んでいた、なんてこともあります。
痛いのが苦手な方、今まで鎮静剤を使わずにつらい思いをした方は、特に鎮静剤を使うメリットが大きいと言えます。

②安全な検査と丁寧な観察を行える

例えば、大腸カメラで患者さんが痛がり体が大きく動いてしまったり、胃カメラでオエオエと吐いてしまっている状態では、検査ベッドからの転落の恐れや丁寧に粘膜を観察出来ない可能性があります。
丁寧に観察ができないということは、微細な粘膜の変化を見つけることが出来ません。
鎮静剤を使用することで、安全に検査が行えるだけではなく、医師が丁寧に観察を行うことができるため、病変の見落としも減らすことができると考えられます。

 
デメリット

①車、バイクなどの運転ができない

鎮静剤を使用した場合には、眠気・視力低下・ふらつきが残る可能性があるため、当日の運転は危険です。
ですので、来院の際には、電車やバスなどの公共交通機関を使っていただくか、家族の方に送り迎えをしていただく必要があります。

 
②副作用の可能性がある

これはお薬ですので、仕方がない問題です。全ての医薬品には副作用が起こる可能性があるため、もちろん鎮静剤にも副作用が起こる可能性があります。
具体的には、アレルギー反応や血圧の低下などが挙げられます。
「それは危ないのではないか?」と思うかもしれませんが、風邪を引いたときに飲む総合感冒薬、頭痛が起きたときに飲む鎮痛剤、こうした薬にも副作用が存在し、添付文書にもその旨が記載されています。
薬の副作用は、全ての薬に平等に起こりえるデメリットと言えます。

 

さいごに

いかがでしたか?
当院では全例鎮静剤を使用しているように、鎮静剤を使用した内視鏡検査を推奨しています。
患者さんにとっては、苦痛なく、精度の高い内視鏡検査を受けるメリットはとても大きいといえるでしょう。

検査当日の交通手段が限られたり、鎮静剤の副作用の可能性というデメリットは存在するものの、内視鏡検査は多くて年に1回程度です。
その1日だけ公共交通機関などを利用するのは、許容範囲内ではないでしょうか。
また、薬の副作用もついても、全ての医薬品において副作用の可能性があると考えると、
普段お薬を飲むのとリスクは変わらないと考えることはできませんか?

そうなると、デメリットを受け入れて受けるメリットが大きいと思うのです。

一度でも痛くつらい検査を経験してしまうと、年に1回とはいえ、その1回から足が遠ざかってしまう患者さんが本当にとても多いのです。
また、内視鏡検査=つらいというイメージが定着してしまっているため、内視鏡検査を嫌がる患者さんも多いのです。

ですが、当院で鎮静剤を使用し内視鏡検査を受けられた患者さんからは、「こんなに楽なら毎年受けられる!」というようなお言葉を頂くことがあります。
当院には特別な内視鏡の挿入方法もありますが、鎮静剤を上手に使うことで患者さんの苦痛をさらに減らす工夫をしています。

検査で大きな問題がなくても、胃は1年に1回、大腸は2年に1回とお伝えしています。
患者さんから「楽に受けられた」という声を沢山いただいているからこそ、患者さんに定期的な内視鏡検査を進めることができます。

内視鏡検査を受けようかな~と検討中の方は、是非参考にしてみてくださいね。