こんにちは、横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
今回は内視鏡で診断できる病気についてお話したいと思います。
今回のキーワードは「カルチノイド」と呼ばれる、癌(がん)に似た病変についてです。
癌は聞いたことがあるかと思いますが、カルチノイドは初めて聞く方も多いのではないでしょうか。
癌に似てると言われるとちょっとゾっとしますよね。カルチノイドはどんな病気なのでしょうか。

 

カルチノイドとは?

カルチノイドという言葉は、「がんもどき」という意味になります。
おでんの具に似ている…わけではなく、癌に似た形をしている細胞なのです。
日本語にすると「神経内分泌腫瘍(しんけいないぶんぴつしゅよう)」といいます。
癌に似ていますが、基本的には良性の腫瘍です。

一体これが何かというと、人体に広く分布する神経内分泌細胞から出来る腫瘍で、胃や十二指腸、小腸、虫垂、大腸等の消化管、膵臓や肺等全身の様々な臓器に出来ます。

つまり、カルチノイドとは「体の色んな場所に出来る癌に似た細胞」ということになります。
そして発生が最も多いのが消化器なのです(およそ60%以上といわれています)。
また、気管支や咽頭粘膜に発生する事例も報告されています。

カルチノイドについてわかったところで、今度はカルチノイドの特徴についてみていきましょう。

 

カルチノイドの特徴

私たちの体には数多くのホルモンが存在しています。痛みを引き起こすとされるヒスタミン、筋肉の収縮に関係するセロトニン、自律神経に関わるカテコラミン等です。
そして、このカルチノイドは内分泌腫瘍という名前の通り、カルチノイドは、先述したようなホルモンを過剰に分泌してしまいます。
その結果、カルチノイド症候群を引き起こしてしまうことがあります。
カルチノイド症候群では、顔面紅潮(顔の赤み)、腹痛・下痢・嘔吐・動悸等の様々な症状が起こります。

しかし、カルチノイドと診断された患者さんのうち、このような症状が起こるのは20%未満とも言われています。ほとんどの方が症状が起きないんです。
カルチノイドができやすいのは、直腸ですが、これも大腸内視鏡検査を行って偶然見つかったということも少なくありません。

無症状だと何が恐ろしいかというと、発見が遅れてしまうことです。
この細胞も癌と同じように、血管やリンパ節を通じて全身に飛んでしまうので、発見が遅くなれば遅くなるほど体に悪い影響が出てきます。

では、実際にカルチノイドが見つかったら、どのように治療をしていくのでしょうか。

 

カルチノイドの治療

治療法は大きく分けて「内視鏡治療」「外科的治療」「集学的治療(ホルモン療法)」の3つに分けられます。
カルチノイドのほとんどは良性の腫瘍で、腫瘍の進行もゆっくりなので、カルチノイドが局所に留まっていれば内視鏡治療で腫瘍を取り除くことが可能です。
しかし、腫瘍が大きい場合には外科的治療(開腹手術など)転移という形で他の臓器に広がっている場合には集中的治療となる場合もあります。
癌に似ている病気なので、治療法も癌と同じような治療になります。

 

最後に

いかがでしたか?
今回はカルチノイドについて解説しました。

カルチノイドは、内視鏡で発見されることの多い病気です。
進行するまでは症状が無いことも多く、症状が気になって病院に来た時にはもう全身に広がっていた、なんてことも有り得ます。

癌に似た病気だというのに、症状が出ずらいところも、カルチノイドの怖いポイントですね。
今回のお話で、「早く見つけて、早く治療する」ことの大切さを、皆さんも感じてくださったのではないでしょうか。

当院では、胃カメラは毎年、大腸カメラも大腸ポリープを切除した方は1年後、今回は特に問題がなかった方でも2年後の検査をお勧めしています。
定期的な検査をおすすめしているのも、このような「症状がなくても病気である可能性があるから」なのです。
当院では胃内視鏡、大腸内視鏡共に年間7000件以上の実績があります。
皆さんの健康と健やかな毎日のために、当院がお役に立てればと考えています。
お電話やインターネットからも予約できますので、「一度検査を受けてみようかな」「最近内視鏡検査を受けていないな」なんて方は、是非お気軽にご相談ください。