みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
当院には毎日沢山の患者さんが来院されます。
患者さんは様々な症状で来院されますが、「お腹が痛い」という症状は1日に数人は来院される、よくある症状の1つです。
ただ、「お腹が痛い」とはいっても、痛みを感じる位置や痛み方は人それぞれであり、それによって考えられる病気も変わってきます。

下腹部の痛みは、比較的よくある症状です。
そのため、「このくらいなら…」と我慢してしまう傾向にありますが、原因によってはそのままにしておいては危険な場合があります。

今回はお臍より下の「お腹が痛む位置」に視点をおき、右下腹部と左下腹部ではどのような病気があるのか、どちらの方が危険であると考えられるのかについて、お話していきます

お臍より下にはどんな臓器があるの?

人の体の中には、想像も出来ないくらい沢山の臓器があります。
お臍より下の辺りにはどのような臓器があるのか、みなさんは答えられますか?
下腹部にあると想定される臓器は、大腸、小腸、尿管、膀胱、女性であれば卵巣・子宮があります。
ですので、腸の疾患、泌尿器系疾患、婦人科系疾患の症状として下腹部痛が現れます
下腹部と言っても、お臍の下部分(恥骨上部・下腹部正中)が痛むのか、もしくは左下腹部か右下腹部のどちらが痛むのか、性別などによって、可能性のある疾患は変わってきます。

では、上にあげた3か所に分けて、それぞれどのような病気が考えられるのかをみてみましょう。

 

お臍の下部分の痛み

下腹部全体に鈍い痛みが現れている場合、男女共通して膀胱、男性は排尿(前立腺)異常、女性は卵巣・子宮の異常が考えられます。
そのほか、大腸も直腸などがあるため、大腸ガンなどの腸疾患の可能性も考えられます。

 

右下腹部の痛み

右下腹部痛が起こるのは胃や腸などの消化器官の病気が原因になっていることが多いです。
大腸はとても長い臓器なので、場所によって呼び方がかわります。右下腹部の場所は、大腸では盲腸、上行結腸の場所にあたります。
他には子宮、卵巣、尿管、膀胱などの臓器が集まっています。

右下腹部痛と言うと、まず「虫垂炎(ちゅうすいえん)」が疑われます
虫垂炎とは、世間では「盲腸」と呼ばれる病気です。大腸の初め部分である盲腸には、細い管状の突起した部分があり、これを虫垂と呼びます。
この虫垂が炎症を起こす状態のことを虫垂炎といいます。
みぞおち辺りから始まり、段々と痛む位置が移動し、最終的に右下腹部に強い痛みが出てくるのが典型的です。
虫垂炎は進行すると、歩いた振動だけで右下腹部に痛みが響くようになります。
さらに病状が進行し、虫垂が破れて(穿孔:せんこう)内部にたまった膿がお腹の中に広がると、腹部全体の非常に強い痛みとなり、いわゆる汎発性腹膜炎という生命にかかわるような重篤な状態に陥ります。
そのため、右下腹部に強い痛みがあるときには、早急に医療機関で診察を受けてください

他にも腸炎、大腸憩室炎、卵巣腫瘍、尿路結石など疑われる病気があります。

 

左下腹部の痛み

左下腹部の場所は大腸では、下行結腸、S状結腸の場所にあたります。
右下腹部と同じく子宮、卵巣、尿管、膀胱などの臓器が集まっています。
大腸がんができやすいのが、S状結腸などの左下腹部の辺りの為、がんが進行すると腸の内容物が通過しにくくなり、左下腹部痛を引き起こす可能性があります。
また、大腸がんよって腸が塞がり、便秘になっている場合もあるため、左下腹部痛に加え血便、便秘などの症状がある場合は注意が必要です。
他に腸閉塞、大腸炎(感染性、虚血性)、卵巣腫瘍、潰瘍性大腸炎など疑われる病気があります。

それぞれの痛みによる、病気の違いがわかあったところで、今回の記事のタイトルにもある疑問に迫っていきましょう。

 

右下腹部、左下腹部どっちの方が危険なの?

右下腹部、左下腹部、どちらの方が危険なのでしょうか。

ズバリ!・・・放置すればどちらも危険です!

・・・ちょっとズルかったでしょうか。
ただ、どちらの痛みであっても、どんな病気であっても放置をしすぎると、最悪の場合は生命にかかわる可能性があり危険です。

今回紹介した病気は、下腹部痛の中でもごく1部であり、右下腹部痛があるからといって虫垂炎とは限らないですし、左下腹部痛だからといって大腸がんであるとも限らないのです。
最初にもお話したとおり、下腹部にはいくつもの臓器がありますので、詳しい検査をしてみないことには、どの臓器の病気なのか、診断が出来ません。
軽度の痛みが慢性的に続くようであれば、一度医療器機関の受診をおすすめします。
動けないような強い痛みがあれば、早急に医療機関の受診をしてください。

 

まとめ

いかがでしたか?
痛む部位によって疑われる病気が違うことがわかりましたね。
どの部分がどのように痛むのか、他にどのような症状があるのかが診断のポイントになっていきます。

どんな症状にも言えることですが、必ずしも症状と病気が一致するわけではありません。
つまり、「下腹部痛がある=病気がある」とは限らない、ということです。
じゃあ「何もないかもしれない」といって放置してもよいのでしょうか。
答えはNOです。
病気の正確な診断には、診察や検査が必要になります。
どんな症状であっても、それはもしかしたら病気のサインかもしれません。
急激な痛みや、軽度であっても痛みが続くようであれば、医療機関を受診するようにしましょう