みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
当院では基本的に毎日胃腸科の診療を行っています。
患者さんはそれぞれ、様々な悩みをもって来院されます。

胃腸の痛みや違和感などといった胃腸そのものの症状だけではなく、「便」に関する悩みを持つ患者さんも多くいらっしゃいます。
今回は、そんな便の悩みの中から、「便が軟らかい」「便が硬い」という悩みにスポットを当てて、軟便・硬便についてお話ししていきます。

 

 

そもそも軟便・硬便って?

みなさんの便の状態は、軟らかいですか?硬いですか?
どちらでもなく普通だ、と言う方もいるかと思います。

便はその形状や水分量から大きく軟便、普通便、硬便に分けられます
ブリストル大学の博士が提唱した、便の形状と硬さで7段階に分類する指標があります。
これはブリストル便性状スケールと呼ばれ、便秘や下痢の診断項目の1つとして、国際的に使用されています。

理想的な普通便(Type4)は表面が滑らかで柔らかく、形があるもの(バナナやソーセージのような形)です。
多少水分が多かったり少なかったりしても、3~5は普通便とされています。
この表では数字が小さいほど便が含む水分量が少なく便が硬く数字が大きいほど便が含む水分量が多く便が軟らかいことを表します。
ですから、軟便と硬便は、Type4のような理想的な便をベースに、水分量が多ければ軟便、水分量が少なければ硬便と考えると分かりやすいですね。

では、どうして便は軟らかくなったり、硬くなったりしてしまうのでしょうか。

 

なぜ、軟らかくなったり硬くなったりするの?

通常、大腸ではドロドロの残りカスから、水分が少しずつ吸収されることで、普通便のような形のある滑らかな便が作られます
便に適度な水分が含まれることで、便が腸壁を刺激して蠕動運動(便を肛門側へ送り出す腸の動き)を促進します。
しかし、下記のような何らかの原因によって、腸の動きが悪くなり水分の吸収が正しくされないと、軟便と硬便となってしまうのです。

軟便

過度な緊張等のストレスや疲労によって、腸内環境が乱れて腸の運動が過剰になることが原因とされています。
腸の運動が過剰になると、腸の内容物が急速に通過するため、水分の吸収が十分に行われません。そうすると、便の水分量が多過ぎてしまい軟便になります。
また、腸からの水分分泌が増えると、腸の中の水分が異常に多くなり軟便になる事もあります。

硬便

過度なストレスや運動不足、水分不足などによって、大腸の動きが悪くなると便が大腸内に停滞します。
必要以上に大腸内に便が留まってしまうことで、適度に含まれているべき水分を大腸が過度に吸収してしまい、便が硬くなり、腸内をスムーズに移動することもできなくなってしまいます。

大腸が正常に動かないと、便の硬さに影響してしまうんですね。
では、便の硬さが正常ではない場合、どうすれば良いのでしょうか。

 

軟便・硬便になってしまった!そんな時は?

ストレスを解消する

ストレスが溜まると軟便の原因となるため、日頃からストレスを解消して溜め込まないことが大切です。

食物繊維が豊富な食品を積極的に摂取する

便を軟らかくするためには、海藻やオクラ、山いもなどのねばねば食品といった、保水性のある水溶性食物繊維が豊富な食品を積極的に摂取しましょう。
食物繊維ならどれだけ摂取しても良いのではなく、不溶性食物繊維の摂り過ぎはかえって便秘、水溶性食物繊維を摂りすぎてしまうと、下痢や軟便の原因となってしまうこともあるため、摂りすぎには注意しましょう。
また、食物繊維を摂ることで、善玉菌を増やすことができます。食物繊維や乳酸菌を摂取して腸内環境を整えていきましょう。

 

○軟便の場合

暴飲暴食、刺激物を避ける

暴飲暴食や刺激物の摂取は、腸の過剰なぜん動運動を招き、軟便を引き起こします。
刺激物には香辛料のほか、コーヒー、アルコール、炭酸飲料なども含まれる為、普段から食べすぎ・飲みすぎに注意して、刺激物の摂取を控えるようにしましょう。

消化に良い食べ物を食事で摂る

軟便の時は、消化に良い食事を摂りましょう。消化に良い食事とは脂質や食物繊維の少ないもの、柔らかく煮たものです。
例えば、白米をおかゆにしたもの・食パン・素うどん・鶏肉・白身の魚・豆腐などです。

お腹を温める

お腹が冷えると胃腸の機能が低下するため、食べ物が消化されにくくなり、下痢や軟便を引き起こす可能性があります。
日常的にお腹を温めるようにすれば、軟便予防にもつながります。
お腹を冷やさないために、カイロや腹巻でお腹を温めたり、厚着をするなどしましょう。

 

○硬便の場合

こまめに水分補給をする

人間は1日に約2.5リットルの水分を排出しているのにも関わらず、水分の摂取量が足りていない人がほとんどです。
腸内が水分不足になると、不足している水分を便から補ってしまうため、便が硬くなってしまいます。
日頃からこまめに水分を摂取することもポイントです。

適度な運動や毎日朝食を摂る

適度な運動や毎日朝食を摂ることは、規則正しい排便習慣への第一歩です。
運動不足により腸を動かし、筋力を付けることで排便をスムーズに行うことができます。
また、朝食は眠っている大腸を起こす役割もあります。
朝食を抜くと排便のタイミングを逃し、硬便へ繋がります。
食事を抜くと、腸が定期的な刺激を得られず排便習慣が乱れてしまうため、1日3食を基本にしてみましょう。

 

まとめ

いかがでしたか?
どれも意識すれば、気軽に行える解消法でしたね。
身近な症状と言える軟便・硬便ですが、病気の原因や病気のサインである可能性もあります。

軟便は、大腸ガンや過敏性腸症候群(IBS)やクローン病、潰瘍性大腸炎などの腸の病気の可能性も考えられます。
硬便も、大腸ガン等の病気や、通常よりも硬い便が肛門を通過することで切れてしまったり(裂肛・切れ痔)、腹痛の原因になったりします。
どちらの症状も、あまりに長く続くようであれば一度医師に相談をしてみましょう

ららぽーと横浜クリニックの胃腸科では、大腸内視鏡検査によるきちんとした検査のもと、各症状に対する内服治療なども行っています。
軟便や硬便の原因を、単なるストレスや体質によるものと軽視せずに、気になる方は一度ご相談ください。