みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
ららぽーと横浜クリニックでは、毎日数十件の内視鏡検査を行なっています。検査を受ける理由として、前にも検査したから、もしくは会社の検診で…という方が多いのではないでしょうか?

当院では胃がん早期発見!患者さんの健康を守るためにも、胃内視鏡検査は年1で受ける事を推奨しています。(ただし患者さんの内視鏡検査の結果によって変わってくる事もあります)

胃カメラ検査の結果、胃ポリープが見つかった患者さんから、「胃ポリープは切除しなかったんですか?」「胃ポリープってそのままで大丈夫なのかしら?」という質問を受けることが多々あります。
なぜそのような疑問が出てくるのかと言うと、胃ポリープが見つかっても多くの場合は切除をしないからです。
今回の記事では、胃ポリープを切除しない理由について解説していきます。

 

 

胃ポリープとは?

まず、胃ポリープとは、胃の粘膜表面がイボの盛り上がっているものです。
正確には、「胃に発生する上皮性、良性、隆起性病変」のことを言います。
もっと広い意味では、腺腫、粘膜下腫瘍、癌など、胃の中に隆起した病変の総称として使用されることもあります。
胃ポリープそのものは自覚症状が出る事も無く、バリウム検査や胃カメラを受けて初めて指摘されたというケースも少なくありません。
さて、この胃ポリープには3つの種類があります。

 

胃ポリープの種類

胃ポリープは以下の3つの種類に分けられます。

■過形成性ポリープ

ピロリ菌に感染していて萎縮性胃炎(荒れた胃)に発生します。
大きさは大小様々で、赤みがかっている事が多く、胃のどの部位にもみられます。

■胃底腺ポリープ

2、3㎜程度の小さなポリープで、周囲の胃粘膜と同じピンク色をしており、胃体部(特に大弯側)に複数あることが多いです。
ピロリ菌に感染しておらず綺麗な胃に発生します。

■腺腫性ポリープ(胃腺腫)

ピロリ菌に感染しており、胃粘膜の高度な萎縮・変性が原因で発生する事が多いとされています。

さて、それぞれの胃ポリープの違いが分かったところで、今回の本題、「胃ポリープは何故切除しないのか」について話していきましょう。

 

胃ポリープは何故切除しないのか?

理由として主に3つが挙げられます。

① 胃ポリープは基本的には経過観察でいい病変である事
② 胃ポリープを切除した場合出血・穿孔のリスクがある事
③ 胃ポリープを切除するには入院が必要である事があげられます。

また、ポリープの種類によってもそれぞれ理由が異なります。

■胃底腺ポリープ

ほとんど癌化することがなく、切除した際のリスク(上記の②③)を考えると原則処置は不要となります。
そのため、経過観察となる事が多いタイプのポリープです。

■過形成性ポリープ

基本的には経過観察でよいタイプのポリープです。
胃底腺ポリープに比べ出血したり、それによる貧血、癌化リスクがあります。
ピロリ菌除菌治療によりポリープが小さくなったり、消失する事も報告されています。
ただ、過形成ポリープの中でも、大きさ2cm以上で増大傾向を認めるもの、がん化(がんの併存)の可能性があるもの、出血し貧血の原因となるものは切除の適応と考えます。

■腺腫性ポリープ(胃腺腫)

良性腫瘍ですが、大きさに変化がないものもあります。
しかし、胃癌への前癌病変であり、特に2cm以上のものや、形の不整なもの赤みを帯びているものなどは、癌の可能性があり注意が必要です。
小さなものは半年~1年の経過観察を行います。2cmを超えるような大きなもの、ガンとの見分けがはっきりしないものは、切除の対象となってきます。

胃ポリープを切除しない理由は、ポリープのタイプによって異なります
胃ポリープは、胃底腺ポリープが9割と言われるほどです。つまり、多くの方は経過観察の対象となるわけです。
・・・「胃ポリープを切除しないのか?」と、なぜ多くの人に聞かれるのかというと、単純に「多くの人が胃底腺ポリープだから」と言えますね。

しかし、残念ながら、全ての人が胃底腺ポリープではありません。
たとえば、バリウム検査で胃ポリープの指摘だけだったとしても、それがそのままで良いものとは限らないのです。
実際に内視鏡検査を行い、組織をとり(生検)、診断を付ける必要があります。
もしも、ピロリ菌に感染していれば先に除菌治療していくこともあります。

方針を決めるためにも、胃ポリープがどんな状態なのか、どのタイプの胃ポリープに当てはまるのかを見極めることが大切です。

 

最後に…

胃ポリープを切除しない理由は、切除した際のリスクを考えての事です
「でも、体の中にポリープが残ったままなのは気持ち悪いから取ってほしい!」と、言う方もまれにいらっしゃいます。
もちろん、それが切除すべきポリープであれば適切な処置が必要になります。
しかし、多くの場合は切除が不要ですし、逆に切除することによって大量出血や胃に穴があいてしまう、といった怖いリスクがあります。
必要のない切除を行うことで、このようなリスクを背負うことはありません。

だからといって、胃ポリープはどれも放置をしてよいものではありません。
医師の指示通りの間隔で内視鏡検査を行い、経過観察の必要があります。
胃の粘膜は内視鏡検査でないと、直接はみることができません。
胃ポリープは症状がないことが多く、もしかしたら知らない間に自分にもできているかもしれません。

ここ数年はコロナの影響もあり、全国的に検査を受けている人の割合も減少傾向がみられていたそうです。
実際、当院でもコロナの影響で定期検査を数年止めてしまっていた、と言う方が最近はよく来院されています。
以前に胃ポリープの指摘をされたことがある方、胃の症状がある方、バリウム検査しか受けたことがない方も、これを機に内視鏡検査を受けてみるのはいかがでしょうか。
当院では鎮静剤の使用・鼻からの胃カメラ挿入推奨等、患者さんへの負担をなるべく軽減出来る様に工夫しながら内視鏡検査を行っております。
検査に対しての恐怖心・辛い経験がある方も一度当院へご相談ください。