みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。

「最近胃が痛いけどストレスかな?」「そういえば食欲が落ちた気がするけど、年のせいかしら?」
・・・皆さんはこんな胃の不調を感じたことはありませんか?それはもしかすると胃炎が原因かもしれません。
胃炎とは良く聞く病気の名前ではありますが、具体的にどのような病気かご存じですか?
よく見聞きする言葉だからこそ、しっかりと知っておきたいですよね。今回は、胃炎について解説をしていきます。

 

胃炎とは

胃炎とは、「胃粘膜に炎症が起きた状態」のことです。
胃の内部は、胃粘膜や胃粘液などの“防御因子”によって“攻撃因子”である強酸性の胃酸から守られています。
しかし、様々な要因で両者のバランスが崩れてしまうと、胃酸によって胃粘膜は強い炎症を起こし、ただれたり出血したりすることもあります。
このような炎症が急激に起きた状態を急性胃炎長期間にわたり炎症が続いている状態を慢性胃炎と言います。
では、胃炎になるとどんな症状が現れるのでしょうか?

 

胃炎の症状と原因

胃炎には大きく分けて、急性胃炎と慢性胃炎の2種類があります。

急性胃炎

急性胃炎は上腹部(胃・みぞおちの辺り)の痛み・不快感、膨満感、吐き気(嘔吐)などを引き起こします
酷いときには胃粘膜がびらん(=ただれ)を起こして出血し、吐血や下血がみられることもあります。
ウイルスや細菌などの感染、アルコールやコーヒーの過剰摂取、非ステロイド系消炎鎮痛薬(アスピリン・ロキソニン)等の薬剤の長期服用、ストレスなどが原因と言われており、これらの原因を取り除いて胃を休めることで炎症は改善していきます。

慢性胃炎

慢性胃炎は胃もたれや胸やけ、胃のむかつき、食欲不振、ゲップなどを引き越しますが、 自覚症状がないことも多いようです。
そのほとんどが、ヘリコバクターピロリ菌の感染が原因と言われており、感染を放置するとだんだんと胃の粘膜が萎縮した(薄く脆弱になった)状態(=萎縮性胃炎)へと進み、胃潰瘍や胃がんのリスクが上がります。

つぎに、もし胃炎と診断されたら、具体的にはどのような治療を行うのでしょうか?

 

治療方法

治療法は胃炎の種類・原因によりますが、ヘリコバクターピロリ菌に感染していると診断された場合は、まずはピロリ菌の除菌を行います。
ピロリ菌の除菌後やピロリ菌の感染がない方は、生活習慣を整えるところから始め、症状が辛い、炎症が強いといった場合には内服薬を使うこともあります。

ピロリ菌の除菌治療

1種類の胃酸分泌抑制剤(オメプラールなどのプロトンポンプ阻害薬、もしくはタケキャブなどのカリウムイオン競合型アシッドブロッカー)
2種類の抗生物質(アモキシシリンとクラリスロマイシンもしくはメトロニダゾール)
上記を組み合わせた、計3種類の薬を1日2回1週間服用して除菌治療を行います。
しかし、急性胃炎と違って長い間炎症が続いていた為、除菌治療を行ってもすぐに炎症が改善するとは限らず、その後の治療が長期にわたることもあります

生活習慣を整える

胃炎の治療で大事なのは、まず生活習慣を整えることです。
長時間胃が空っぽの状態が続くと、胃液だけが分泌されて、胃粘膜が荒れてしまいます。
1日3食、決まった時間になるべく消化の良いもの(柔らかめのご飯・うどん・豆腐・白身魚・煮野菜・乳製品など)を食べるよう心がけてください。
揚げ物や塩分の多い物・甘い物・カフェイン・アルコール類の過剰摂取は、胃酸の過剰分泌を促すので要注意です。
また、喫煙や睡眠不足、ストレスも胃酸の分泌を促進し胃を荒らす原因になります。

内服薬を使用する

症状が辛いときや炎症が強いときには内服薬も使用します。
胃内部の防御因子と攻撃因子のバランスが崩れているため、胃粘液量や血流量を増加させることで胃粘膜の保護・修復を促す薬
胃壁細胞のヒスタミンH2受容体やプロトンポンプにそれぞれ作用し、胃酸分泌を抑制する薬(ヒスタミンH2受容体拮抗薬・プロトンポンプ阻害薬)
を服用し、本来のバランスに整えます。

■何種類も胃薬を飲んでいて大丈夫?

時々、患者さんから「いくつも胃薬を飲んで大丈夫なの?過剰じゃないの?」と聞かれることがあります。
『胃薬』といっても、すべてが同じ作用のあるものではないため、飲んでいて大丈夫です。

上の表の通り、胃薬にはいくつもの種類があり、薬の特徴は同じでも薬が治療効果を及ぼす仕組みが違ったり、そもそもの特徴(作用)が違ったりします。
例えば、『胃酸の分泌を抑える薬』と『胃の粘膜を保護する薬』をそれぞれ1種類合わせて処方することがあります。
薬の特徴が被っている組み合わせではないため、適切な処方と言えるでしょう。

 

まとめ

いかがでしたか?
胃炎とは「胃粘膜に炎症が起きた状態」のことです。
普段は胃の内部は胃粘膜や胃粘液などの“防御因子”によって“攻撃因子”である強酸性の胃酸から守られていますが、様々な要因で両者のバランスが崩れてしまうと症状となって現れてしまうのです。
私たちの胃は常に働き続けており、ほんの些細なきっかけでダメージを受けてしまいます
ダメージの蓄積は胃がんのリスクも高めてしまいますので、働き者を労わるように、できるだけ胃に優しい生活を心がけてみてくださいね。

ららぽーと横浜クリニックの胃腸科では、胃内視鏡検査やピロリ菌検査・治療、上部消化管の各症状に対する内服治療を行っていますので、気になる方は一度ご相談ください。