みなさん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
みなさんは「怖いお腹の病気は?」と聞かれたら、どんな病気が頭に浮かびますか?
大腸ガン、盲腸(虫垂炎)、腸閉塞(イレウス)、潰瘍性大腸炎など…怖いイメージのある病気を、いくつかは耳にしたことがあるのではないでしょうか?
今回は、名前の挙がりやすい「腸閉塞」をテーマに話していこうと思います。

 

腸閉塞はどんな状態?

通常、口から食べた物は、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸を通りながら、消化液と混ざって分解、吸収されていきます。
その残りカスが便として肛門から排泄される…と言うのが、みなさんも知っている排泄までの流れですね。
その名の通りではありますが、腸閉塞は何らかの原因により、食べ物や消化液などの腸管の内容物が肛門まで運ばれなくなってしまった状態です。

では、どのような原因で腸閉塞が起こってしまうのでしょうか。

 

腸閉塞の分類と原因

腸閉塞の原因は、腸閉塞の分類により変わってきます。
腸閉塞は、「機能性腸閉塞」「機械性腸閉塞」に分けられ、そのうちの約90%が機械性腸閉塞と言われています。

機能性腸閉塞

腸管の運動麻痺や痙攣により、腸管の内容物の流れが止まった状態で、麻痺性、痙攣性に分けられます。

■麻痺性腸閉塞
腹膜炎や血液中の電解質異常、各種中毒症が原因となります。

■痙攣性腸閉塞
局部的な炎症、結石発作による腸管への刺激で起こる腸管をコントロールする自律神経の異常が原因となります。

 

機械性腸閉塞

物理的に閉塞(閉じて塞がること)、狭窄(細く狭くなること)されて内容物の流れが止まった状態で、単純性(閉塞性)、複雑性(絞扼性)に分けられます。

■単純性腸閉塞
腸管の閉塞のみで、血行障害はないもの
をいいます。
手術の癒着、腫瘍、食べ物、異物等で腸の中が狭くなることが原因です。
1度でも、腹部手術(開腹術、腹腔鏡下手術)を受けている人は、大なり小なりの癒着(腸と腹腔壁や、腸同士がくっつく)があります。
機械性腸閉塞の原因として、過去の腹部手術後の癒着により、腸管が曲がったり塞がったりしてしまうものが最多です。

■複雑性腸閉塞
腸管が絞めつけられたりねじれたりして、血行障害を起こしているものをいいます。
手術の癒着、索状物(癒着でできるヒモ)による締め付け、腸重積、腸ねん転、ヘルニア嵌頓などが原因です。
血行障害を起こしているため、緊急手術を行わずに放置してしまうと、腸が壊死して穴が空いたり、敗血症(血液が細菌に感染し、全身にダメージを与える)、多臓器不全となる原因になります。

 

まとめ

今回は難しい言葉が沢山出てきましたが、いかがでしたか?
原因と分類だけで長くなってしまったので今回はここまでです。

お腹の手術をした後の方は、「術後の癒着によって腸閉塞となることがある」と言うことを覚えておきましょう。
何か異常を感じたら我慢しすぎずに、医師に相談しましょう。

思っていたよりも分類が細かくて驚いた人もいるのではないでしょうか。
もちろん、分類されている腸閉塞ごとに、原因も異なりますし、症状、治療法も異なります。
腸閉塞の症状と治療については、次回の記事でお話したいと思います。