皆さん、こんにちは。横浜市皮膚科のららぽーと横浜クリニックです。
今回は、ニキビの治療薬のお話です。ニキビの種類や原因について詳しく解説しているので、是非前回の記事も読んでみてください。
さて、前回の記事では、ニキビの治療薬にはいくつかの種類があり、ニキビの状態に合わせて治療薬を選ぶとお話しました。
今回は、薬の選び方について解説をします。

 

ニキビについてのおさらい

ニキビの治療には、患者さんのニキビの状態に合わせて、薬を選択することになります。
ニキビは、状態によって下記のような3つに分けられます。

だいたいのニキビは、この3つのニキビが混在している状態です。
患者さんとしては赤ニキビ、黄ニキビとなってから病院へ行こうと考える方がほとんどだと思います。
つまり、炎症を起こしてから初めて受診するケースがほとんど、ということです。
では、受診したあとはどのように治療の選択をするのでしょうか。

 

ニキビの治療の選択

ニキビの治療は

  1. 赤ニキビ、黄ニキビの治療だけ行う
  2. 白ニキビの治療も同時に行う

この2つから選ぶこととなりますが、基本的には2の3種類のニキビを全て治療する方針をお勧めします。
しかし、白いニキビの治療に使用する治療薬には、副作用があるため、それが嫌な方は1の炎症が起きているニキビの治療だけを希望することもあります。
では、1、2の治療それぞれでどのような治療薬を使うのか、一例をご紹介しましょう。

赤ニキビ、黄ニキビの治療だけ行う

赤ニキビや黄ニキビの治療には、抗生剤の内服や外用薬を処方します。
こうした炎症を起こしているニキビの治療だけをするということは、炎症の元となっているニキビ菌、つまりアクネ菌を退治する、ということです。
代表的な外用薬は

  • ダラシンTゲル
  • アクアチムクリーム
  • ゼビアックスローション

この3つの外用薬はいずれも抗菌薬のため、菌の増殖前のニキビである白ニキビには効果がありません。
塗り方は、ニキビの部分だけにピンポイントで塗ります。顔に塗り広げる必要はありません。

内服薬は、ニキビの状態が中等度以上の時に併用をします。
代表的な内服薬として

  • ミノマイシン
  • ルリッド
  • クラリス

が挙げられます。

 

白ニキビも同時に治療をする

赤ニキビ、黄ニキビの治療を行いつつ、赤ニキビの元ともいえる、白ニキビの治療が行うことができます。
15年くらい前では、白ニキビの治療は「しっかり顔を洗う」といった程度でした。
こうした治療は、皮膚の脂を取り除くことはできるのですが、毛穴に詰まった脂までは取り除くことができませんでした。

しかし、今では白ニキビの治療薬には、最初に発売されたディフェリンゲルをはじめ、4種類の外用薬があります。

  • ディフェリンゲル
  • ベピオゲル
  • デュアックゲル(ベピオゲル+ダラシンTゲルの合剤)
  • エピデュオゲル(ディフェリンゲル+ベピオゲルの合剤)

ディフェリンゲルは、男性ホルモンの影響で厚くなった毛穴の皮膚を薄くして、毛穴を広げる作用があります。毛穴に脂の抜け道を作ることで、毛穴に詰まった脂を外に出すことができます。

4種類のうち、ディフェリンゲルとベピオゲルは全くの別物ですが、残りの2種類はディフェリンゲルとベピオゲルがそれぞれ混合されたものです。
ですから、実質はディフェリンゲルとベピオゲルの2剤がある、と考えると分かりやすいかもしれません。

ディフェリンゲルは白ニキビにしか効果がなく、ベピオゲルは白ニキビと赤ニキビのどちらにも効果があります。ただ、白ニキビに関しては、ディフェリンゲルの方が効果が強いとされています。
「じゃあどっちも使えばいいじゃないか」ということで登場したのが、エピデュオゲルです。
「便利だし、エピデュオゲルを最初から使えばいいのでは?」と思うかもしれませんが、それでは上手く治療できないことがあるため、まずはディフェリンゲルから治療を開始するのが普通です。
これはなぜなのか、理由は副作用にあります。

 

ニキビ外用薬による副作用

ディフェリンゲル、ベピオゲルともに、塗り始めてから2週間前後で皮膚が赤くなったり、ガサガサになったり、ヒリヒリしたりする副作用が現れます。
これは、必ずと言っていいほどどの患者さんにも現れる副作用です。この刺激性の副作用は患者さんからすると辛いものですが、保湿剤で保護をしながらしっかりと乗り切りましょう。
1か月もすれば、この刺激性の副作用は改善していきます。

さて、一方のベピオゲルでは、時々、刺激性の副作用とは別に、アレルギー性のかぶれが副作用として出る可能性があります。
アレルギー性の副作用は、刺激性の副作用とは異なり、塗ることを辞めない限りは良くなりません。

つまり、最初からどちらの薬も使ってしまうと(エピデュオゲルも同じ)、刺激性の副作用なのか、アレルギー性のかぶれなのかの判別が付かず、治療が難しくなってしまうためです。
そのため、ディフェリンゲルから開始をするのが一般的、というわけです。

ディフェリンゲルの治療効果判定(薬が効いてるのかどうかの判定)は約3か月後です。
そこで効果がないと判断した時には、薬を切り替えたりします。
ですから、まずは3か月を目標にニキビ治療を行います。


まとめ

いかがでしたか?
ニキビの治療薬には内服と外用がありますが、メインとなるのは外用薬です。
外用薬には必ずと言っていいほど、皮膚に副作用が現れます。こうした副作用には保湿剤を一緒に使いながら乗り切ります。しばらく使い続けることで、だんだんと赤みは落ち着いて行きます。
そうして約3か月ほどして効果判定を行い、必要に応じて外用薬の変更などを行います。

患者さんからすると治ると思って塗った薬で、顔が赤くなったりガサガサするものですから、「酷くなった!」と辞めてしまうケースや、「早い段階で効果がないから…」と治療をやめてしまうケースがみられます。
副作用を乗り切り、根気よく続けることがニキビ治療には必要です。ニキビの治療ではここが頑張りどころかもしれません。
「私には効果がないんだ…」と諦めて通院をやめてしまう患者さんもいますが、諦めずに塗り続け、副作用が酷く、心配なときは早めに医師に相談をするのが良いでしょう。