こんにちは、横浜市皮膚科のららぽーと横浜クリニックです。
皆さんは塗り薬を使用したことはありますか?皮膚科で処方をされたことがなくても、薬局などで購入したことがある、という人もいるでしょう。

塗り薬といっても、軟膏・クリーム・ローションなど…いくつか種類がありますが、これらの違いはご存知ですか?今回はこうした塗り薬(外用薬)の特徴と使い分け方について解説します。

 

それぞれの薬剤の違い

塗り薬(外用薬)は基剤と主薬(薬としての効果のある成分)で出来ており、“基剤”と“主薬”を混ぜ合わせることで作られます。基剤には主薬を溶かし、それを皮膚に浸透させる役割があります。
その基剤が軟膏、クリーム、ローションです。これらの基剤に主薬が混ざることで、皆さんがよく手にする薬としての効果のある塗り薬が出来上がるわけです。
それぞれの基剤には特徴があり、適した病気や部位があります。逆に、部位によって適さないため避けた方が良いものもあります。
次にそれぞれの特徴についてみていきましょう。

 

軟膏の特徴

軟膏は、ワセリンなどの脂肪に薬の成分が入った塗り薬です。全身ほとんどの場所に塗ることの出来る万能な塗り薬です。

*適した症状・部位

・ほとんどの皮膚疾患に使用できる
・傷やジュクジュクした部位にも使用できる

*適さない症状・部位

・ほとんどありません

*メリット

・皮膚の保護に優れる
・皮膚への刺激が少ないため、あらゆる皮膚症状に対応できる

*デメリット

・べたつきがあるので不快と感じることもある
・皮膚への吸収率がやや低い

 

クリームの特徴

クリームは、水と油を混ぜて乳化したものに薬の入ったぬり薬です。
軟膏と比べると皮膚から吸収されやすい半面、軟膏のようにどこにでも塗ることができるわけではありません

*適した症状・部位

・水虫や筋肉痛など、皮膚の深いところにぬり薬を浸透せたい部位

*適さない症状・部位

・軟膏に比べ刺激があるため、傷がある部位やジュクジュクした部位
(傷がある部位に塗ると刺激を感じることがあります)

*メリット

・塗った時のべとつきが少ない
・皮膚への吸収率が高い

*デメリット

・添加物が多いため、皮膚を刺激することがある(皮膚症状によっては使用不可)
・混合すると乳化が破壊されることがあるため、安定性に欠ける
・基剤によるかぶれなどの副作用が軟膏より起こりやすい


ローションの特徴

ローションは水やアルコールに薬の成分が入っているものです。
ローションは即効性に優れているのでかゆみ止めなどに使われることが多いのが特徴ですが、クリーム同様にどこにでも塗れるわけではありません

*適した症状・部位

・頭部などの塗りづらい部分

*適さない症状・部位

・軟膏に比べ刺激があるため、傷がある部位やジュクジュクした部位

*メリット

・サラサラとしていて塗りやすい
・皮膚への吸収率が高い

*デメリット

・持続時間が短く、物足りなさを感じる場合がある
・ただ刺激性が強いのでクリーム同様傷などに塗るのは避けたほうがいいです。

 

塗る順番にはご注意を!

軟膏やクリームが複数処方されている場合では、医師から説明された順序を守って塗って下さい。特に説明がなかった場合では、一般に塗る面積の広い方から先に塗ります
ステロイド外用剤と保湿剤の併用では、塗る面積の広い保湿剤から先に塗り、後からステロイド外用剤を湿疹等の病気の部分だけに塗ります
この場合、先にステロイド外用剤を病気の部分だけに塗ってから、保湿剤を塗るとステロイド外用剤が塗る必要のない部分まで広がることで、副作用が起きる可能性があります。
軟膏やクリーム、病気などによっては順序が異なる場合もあるので注意して下さい


まとめ

同じ塗り薬でも、軟膏・クリーム・ローションにはそれぞれ違った特徴があります。薬の効果はもちろんですが、使用する部分に合わせて基剤を選ぶことで外用薬は効果を発揮できるでしょう。
患部の状態や範囲、部位に合わせて使い分けることが、効果的に塗り薬を使うコツです。
薬局で塗り薬を買ってみようかな?と思っている方は参考にしてみて下さい。