あけましておめでとうございます。
こんにちは、横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
みなさんは、ぬるぬるとした粘液と血液が混ざっている便が出て驚いた…という経験はありませんか?
粘液の量が多かったり、色によっては注意が必要です。今回は今回は粘液便・粘血便について解説をします。

 

粘液便・粘血便とは??

粘液便はベタベタとした粘液が便についている便のことで、粘血便は血液と粘液が混ざったイチゴゼリーのような便です。
粘液の正体は腸の粘膜から分泌されるたんぱく質の一種で、誰もが持っています。粘液が便についていると「病気ではないかな?」と心配になると思いますが、実は便が腸内をスムーズに移動するためには必要なものなのです。
通常は腸に吸収されてしまうため、私たちが気付いて違和感を持つほどの粘液は腸が正常であれば見ることはありません
つまり、粘液便が出てきたということは、大腸で何らかのトラブルが起きているということになります

大腸に傷が付いてしまうと、傷部分を保護しようと粘液が多く分泌されます。ではどんなトラブルがあると粘液便が出てくるのでしょうか?

 

大腸が傷つく要因は?

大腸を傷つける原因としては、以下のようなものがあります。

食べ過ぎ
冷たいものの飲み過ぎ
腸内環境の悪化
過剰なストレス
下痢や便秘
アレルギー症状
病気

これらの要因で粘液便がでます。強い刺激などで起こることがわかりますね。
基本的には大腸の傷が治れば粘液便の排出もなくなりますが、色によっては病気が隠れているなどと注意が必要な粘液便もあります
粘液の色ごとに詳しく見ていきましょう。

 

色ごとに見る粘液便

◆白色

下痢の時は腸の粘膜が傷んでいるので、粘液が混じってくることがよくあります。原因として考えられるものは、食あたり、水あたり、消化不良・冷え・ストレスによる下痢です。
過度な心配はする必要ありませんが、粘液の量が多い・粘液便が続く・血液が混じっているなどの症状がある場合には、病気が隠れていることがありますので医療機関を受診しましょう

◆ピンク色

肛門の出口付近にある直腸が傷ついているケースが多いです。便秘で便が硬くなったりすると排泄時に傷がつき、少量の出血と粘液が混じって排泄されます。
大腸の傷が治れば自然とピンク色の粘液便は出なくなりますが、また硬い便によって傷つけることで繰り返してしまうことになります。自然な便を出せるよう、腸内環境を整えましょう。ただし、症状が続く場合には医療機関を受診するようにしましょう。

◆緑色

便に緑の粘液が絡まっていたら驚いてしまいますよね。この緑色の原因は、酸化した胆汁です。実は小腸や大腸の働きが鈍くなって胆汁の再吸収が行われなくなると、緑に酸化してしまうことがあるのです。そのため過度な心配は不要です。
お腹に負担のない食事を続ければ、数日でおさまります。ただ、腹痛や下痢を伴うのであれば、ブドウ球菌感染症の可能性も考えられますので、症状が続く方は医療機関を受診しましょう。

◆赤色(粘血便)

大腸の粘膜が炎症を起こし、出血していることが考えられますので病気が隠れている可能性があります。出血が続く時には、大腸内視鏡検査などの精密検査が必要になりますので粘血便が出た際は早めに医療機関を受診しましょう。

粘液便にもさまざまな色があることをお分かりいただけたでしょうか。
一番注意が必要な粘液の色はずばり!粘血便です。
粘血便には病気の可能性があるとお伝えしました。一体どんな病気が考えられるのでしょう?
実際に粘血便と関係がある病気をご紹介したいと思います。

 

粘血便と関係がある病気

※病名をクリックすると詳しく解説した過去のブログ記事を読むことができます

感染性腸炎

ウイルス、細菌などによって腸に炎症が起こる病気です。代表的な病気として、「腸管出血性大腸O-157」「サルモネラ菌」など、一度は聞いたことがあるかもしれません。粘血便・水様便・発熱・嘔吐・腹痛などの症状が出ます。夏は細菌性腸炎、冬はウイルス性腸炎が多いと言われています。

アメーバ赤痢

赤痢アメーバという病原体が大腸に寄生し、潰瘍を作る病気です。粘血便のほか、下痢・発熱・腹痛・悪心・嘔吐が起こります。

大腸憩室炎

大腸憩室(大腸の凹み)そのものは特に治療の必要がない病気ですが、憩室内に便が溜まって炎症が起こると出血をきたし、粘液が混ざった便が出ることがあります。

大腸癌

大腸の中でも、肛門に近い直腸やS状結腸に癌があると粘血便が出る場合があります。しかし、大腸癌は多くの場合症状が現れず、粘液便が無いからといって大腸癌ではないと確信することはできません。

腸重積

回腸(小腸の終わり部分)が大腸に入り込んでしまう病気です。赤ちゃんに多くみられ、激しい腹痛や嘔吐、粘血便が出ます。大人の場合は著名な症状が出ることがほとんどありません。

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる、原因不明の炎症性腸疾患です。粘血便・血便・腹痛・下痢などの症状があり、炎症が長く続くと大腸癌となる可能性が高くなります。腸内細菌や食生活などの環境因子によって腸管に免疫異常が原因と考えられていますが、はっきりとした原因は分かっておらず現在では完治させる方法がありません。炎症を抑える薬を飲むことで症状を改善させ、大腸癌発症のリスクを抑えます。厚生労働省より特定疾患に指定されています。

クローン病

口腔から肛門までの消化管全体に潰瘍ができる、原因不明の炎症性腸疾患です。発熱・腹痛・下痢・体重減少が主な症状ですが、粘血便が出ることがあります。クローン病は、遺伝的因子や環境因子(ウイルスや細菌感染、食事)などが関与し免疫系の異常反応が起こっていると考えられていますが、現在はっきりとした原因は分かっていません。厚生労働省より特定疾患に指定されています。

 

まとめ

いかがでしたか?粘液便、粘血便についてご理解いただけたでしょうか。
粘液は大腸に傷がつくことによって便と一緒に排出されます。便に粘液がついているからと言って病気とは限りませんが、粘液の量が多い・粘液便が続く・血液が混じっている・腹痛がある場合には注意が必要す。特に粘血便は、感染症や炎症性腸疾患などさまざまな病気が考えられますので、一度でも粘血便が出たら一度専門の病院にご相談ください。当院でも診察しておりますのでお気軽にご相談ください。

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