みなさん、こんにちは。横浜市内科のららぽーと横浜クリニックです。
皆さんは「ホジキンリンパ腫」という言葉を耳にしたことがありますか?
ホジキンリンパ腫は怖い病気なのですが、あまり耳になじみがない方も多いのではないでしょうか?
今回はそんなホジキリンパ腫の中でも「成人ホジキンリンパ腫」というものについてお話ししたいと思います。

 

そもそもホジキンリンパ腫ってなに?

ホジキンリンパ腫は、悪性リンパ腫の種類の1つで、体の免疫システムの一部であるリンパ系(リンパ液・リンパ管・リンパ節・脾臓・胸腺・扁桃・骨髄)に発生する癌の一種です。
リンパ組織は全身にわたって認められるので、ホジキンリンパ腫は身体のほぼすべての部位に生じる可能性があり、他の組織、器官に拡がる可能性があります。
しかし、日本では発症頻度は低く、悪性リンパ腫のおよそ10%程度におさまっています。日本人は非ホジキンリンパ腫の割合の方がずっと高いのです。

年齢別の発症率は、若年者層(20歳代)と中年層(50~60歳代)の2つの年代で増加傾向があります。リスク因子があるからといって癌になるとは限りません。
ホジキンリンパ腫は成人と小児の両方に生じる可能性があり、成人に対する治療法は小児に対する治療法とは異なります。
今回はその中から「成人ホジキンリンパ腫」に絞ってお話をしていきます。では早速、成人ホジキンリンパ腫の代表的な症状からみてみましょう。

 

成人ホジキンリンパ腫の症状

成人ホジキンリンパ腫では、下記のような症状が引き起こされることがあます。

最もよくみられる初期症状は、痛みのないリンパ節の腫れやしこりで、首や鎖骨のリンパ節で発見されます
しかし、そのほかの症状については他の疾患で同じような症状が起こるため、患者さんご自身では気づかない場合が多いです。

初めに年齢別の発症率について軽くお話をしましたが、こうした症状が出やすい人はどういう人なのでしょうか。

 

年齢・性別などによって発症しやすくなる?

成人ホジキンリンパ腫には次のようなリスク因子(疾患を発生するリスクを増加させるもの)があります。

こうしたリスク因子があるからと言って必ずしもがんになるわけではありませんが、何個か当てはまる、気になる症状がある、という方は医師に相談しましょう
では、ホジキンリンパ腫はどうやって診断を行うのでしょうか。診断方法を見ていきましょう。

 

ホジキンリンパ腫の診断方法

ホジキンリンパ腫の診断に欠かせないのが「リンパ節生検」ですが、その他にも色んな検査があります

◆問診・触診

リンパ節の腫れがどこにあるか、腫れに気づいたのがいつ頃かなどを確認する検査です。

◆血液検査

血液検査で下記の項目を調べます。
全血球数算定検査(CBC)
 赤血球、白血球および血小板数、赤血球中のヘモグロビン(酸素を運ぶ蛋白質)量、サンプルにおける赤血球の構成比率を調べます。
血液化学的検査
 ある物質の量が異常(正常より多いまたは少ない)である場合、それをつくる器官、組織における疾患を疑います。
沈降速度
 試験管の中を赤血球がどの程度沈降するかを調べます。

◆リンパ節生検と病理検査

しこりのあるリンパ節を手術で採取し、病理検査に出します。がん細胞、特にリードスタンバーグ細胞(ホジキン病の患者さんに存在する細胞で、病気の進行にしたがって数が増えていく)があるかどうかを調べます。
もし、上記の検査でホジキンリンパ腫と診断されたら、「病期診断」を行います。病期はいわゆるステージと呼ばれるものです。
この「病期診断」は、体内のがんの進展や、発生部位から体の他の部位へ転移していないかどうかということを知るためにおこなう診察や検査のことを言います。
最善の治療を計画する為にはこの病期(ステージ)を把握することがとても重要です。病期(ステージ)については後ほど詳しくお話します。

◆画像検査

主に使われるのはPETやCT検査です。必要に応じて、超音波検査や内視鏡検査が追加されることもあります。
PET検査
 がん細胞が、ブドウ糖を多く取り込む性質を利用した検査法で、放射性同位元素でラベルされたFDGというブドウ糖に性質が似た薬剤を注射し、その取り込みの分布を撮影して、病変の広がりを調べます
CT、MRI検査
 CT検査ではX線を、MRI検査では磁気を利用して体の断面を描き出し、病変の分布や大きさを調べます
超音波検査
 腫瘍の位置や大きさ、分布などを調べます。

◆骨髄検査

骨髄の中に、リンパ腫細胞が広がっているかを調べる検査です。
局所麻酔を行って腰の骨(腸骨)に細い針を刺し、中にある骨髄液を採取したり、組織を採取(生検)して確認します。


さて、成人ホジキンリンパ腫には診断方法が多々あることはお分かりいただけたでしょうか。
では、先ほどから何度か出てきている成人ホジキンリンパ腫の病期(ステージ)を詳しく解説しましょう。

 

ホジキンリンパ腫の病期(ステージ)は?

ホジキンリンパ腫では、病変の数と体内での広がり具合によって、Ⅰ期からⅣ期の4段階に分けられます。

また、成人ホジキンリンパ腫は病期がA、B、EおよびSを含む場合があります。

上記2つを合わせて、病期を下記の様に表します。

どうですか?ちょっと複雑だったかもしれません。ホジキンリンパ腫の体への広がり方と組み合わせで細かく病期を分けていることがわかりますね。
こうした病気から最適な治療計画をたてていくことが、成人ホジキンリンパ腫の治療で重要になってくるのです。

 

治療の流れ

主な治療の流れは図のようになっており、進行の程度によって治療法や予後が変わってくるため、検査結果を用いて状況を正確に把握することがとても重要です。

限局期(Ⅰ、Ⅱ期)
主に放射線療法だけで治療を行っていましたが、併用療法のほうが治療効果は高く、医学の進歩により、併用しても副作用を減らせるようになった為、今では併用療法を行っています。

進行期
複数の抗がん剤を組み合わせた薬物療法が中心となります。
他のがんでは治らないことの多い最終ステージⅣ期の患者さんでも薬物療法で治癒する可能性があり、治りやすいのがホジキン病の特徴でもあります。
ただ「経過観察」という選択肢もあります。Ⅲ期、Ⅳ期の非ホジキンリンパ腫で、発熱や体重減少などの症状のない患者さんの場合、経過観察が選択肢の一つとなります。
ただ、症状が出たり病状が進行したりした段階では治療を受けることが大切です。

 

最後に……

今回、ホジキンリンパ腫という言葉を初めて聞いたという方が多いかもしれません。
ホジキンリンパ腫は悪性リンパ腫の種類の1つであり、体の免疫システムの一部であるリンパ系に発生する癌の一種です。
リンパ組織は全身にわたって認められるので、ホジキンリンパ腫は身体のほぼすべての部位に生じる可能性があり、他の組織、器官に拡がる可能性があります。
最もよくみられる初期症状は、痛みのないリンパ節の腫れやしこりで、首や鎖骨にあるリンパ節腫脹で発見されます
ホジキン病の5年生存率は、Ⅰ期では約90%、Ⅱ期では約80%、Ⅲ期では約50~80%、Ⅳ期では約40~65%ぐらいです。ホジキン病全体での 5年生存率は約80%くらいです。
こうした症状に覚えがある、体調の変化を感じた場合は早めに病院受診をすることをお勧めします。

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