採血イラストこんにちは、横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。皆さんは「癌(がん)の予防」って意識していますか?
と、急に言われても、ちょっと難しい話かもしれません。

一口に「癌」と言っても胃や大腸、肺、膵臓、前立腺……などなど、挙げたらキリがないくらい色々な臓器や部位の癌があるからです。「定期的に検査が重要です」なんて言われても、どんな検査から受ければいいのか分からないなんて方も多いでしょう。

そんな人の「どの検査から優先的に受ければいいのか」という疑問の指標になるのが、「アミノインデックス」という検査です。

皆さんはこのアミノインデックスという単語を耳にしたことがありますか?今回はこのアミノインデックスについてお話ししていきます。

◎アミノインデックスってなに?

今回のキーワード、アミノインデックスとはなんだろう?という所からお話ししていきましょう。

アミノインデックスとは簡単に言えば、健康な人と癌の人の体内のアミノ酸のバランスを測定、解析して現在の健康状態や病気の可能性を明らかにする検査のことです。

また、スポーツ選手の疲労度をアミノインデックスで調べて競技の種目ごとに最適なトレーニング方法や食事提案を行ったり、高齢者の栄養管理に用いるなど、今後も様々な現場でアミノインデックスが活用されることが予想されています。

 

◎アミノ酸とは?

そもそも「アミノ酸」とはどんなものなのでしょうか。
理科や家庭科の授業で習いましたか?聞いたことはあるけど、実はよく知らないという方がいても不思議ではないでしょう。

アミノ酸はヒトの体を構成する大切な成分の1つです。人体の60%程度が水分、20%がタンパク質といわれています。タンパク質は主に筋肉や胃や大腸の消化管、血中のヘモグロビン、髪の毛などなど、体の重要な組織を作るのがタンパク質の仕事です。このタンパク質を構成しているのがアミノ酸なのです。

ここで気になるのは「なぜアミノ酸を測ることで、癌の可能性を知ることが出来るのか」ということです。

健康な人の血液中のアミノ酸濃度は、それぞれ一定に保たれるように常にコントロールされています。ところが病気などの影響を受けると、この一定に保たれているはずのアミノ酸濃度のバランスが崩れてしまうことがわかっています。
この性質を応用した検査こそがアミノインデックス検査(AICSとも呼ばれます)なのです。

アミノインデックスの検査は、1回約5mlという少量の採血で、複数の癌について同時に検査することができます。

アミノインデックス検査の対象となる癌は、男性では下記表の5種類の癌に対するリスク、女性では下記表の7種類の癌に対するリスクを評価します(子宮癌・卵巣癌については、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌のいずれかの癌であるリスクを評価することはできますが、それぞれの癌のリスクについて区別することはできません)。

ただ妊娠中の場合は結果に影響が出てしまうため検査自体を受けることができません。

アミノインデックス表

検査前の注意事項として、検査前8時間以内は水以外(食事やサプリメントなど)は摂らないで、午前中に採血を行います。また、検査前日の夕食も肉や魚などの高タンパク質の食事は摂りすぎないようにしなければなりません。検査当日の朝も運動は厳禁です。

 

◎検査費用は保険適用になるの?

アミノインデックス検査については健康保険適用外のため、自費(全額自己負担)で検査を行うことになります。

検査費用は男女共に20,000円~25,000円前後になります(女性の場合、子宮癌や卵巣癌の検査も追加で受ける方は10,000円~12,500円程度プラスでかかってしまいます)。

アミノインデックスは一度の採血で簡単に行えて、様々な要素を調べられる便利な検査ではありますが、保険適用では行えないため金銭面での負担は決して少なくないと言えます。

 

◎結果について

検査の結果に関してお話ししましょう。

検査後はそれぞれの癌種について、癌に罹患している可能性を0.0~10.0の数値(アミノインデックス値)で報告します。数値が高いほど、癌である可能性が高くなります。
また、アミノインデックス値からリスクを判断する目安として、「ランクA」から「ランクC」までの3段階に分類されます。ランクAであれば安心度が高く、ランクCでは要注意と言えるでしょう。

ただし、アミノインデックスは癌であるかどうかを確定するものではありません。ランクAであっても、癌でないとは言い切れませんし、反対に判定結果としては望ましいものと言えないランクCであっても、癌であるとは言い切れません。
検査にはそれぞれ一長一短があり、いくつかの検査結果を総合的に判断することで、癌を見つけ出せる可能性が高くなると考えられます。また、アミノインデックスは採血時の癌であるリスクを評価するもので、その後の生涯に渡ってのリスクを評価、保証するものではありません。そのため、定期的に検査することが大切になってきます。

 

◎最後にひとことふたこと

アミノインデックス検査を活用して期待される主な効果は、健康チェックや病気の診断ができる可能性もあります。今後、自覚症状が出にくく発見しづらい生活習慣病などの検査での活用が期待されています。また、病気を治療中の患者さんに対しても、アミノインデックスで症状の変化を察知し、適切な処置に役立ててもらえるような研究も進んでいます。

面倒臭いからといって検査に行かないのではなく面倒でもまずは時間を作り、年に1回など、必ず定期的に検査を受けることが予防の第一歩と言えます。
また、定期検査を行うことによって重大な病気の早期発見、早期治療を目指し、癌になるリスクを抑えるということが、些細なことかもしれませんが日々できる大切な予防策でしょう。

 

さて、今回は「アミノインデックス」という題材でお話ししてきましたが、既に述べたようにこの検査は単体で完結するものではありません。特に癌の判定には。
このアミノインデックスでは飽くまでも採血した時の癌のリスクや体調を調べることしかできませんし、実際に癌などの病気の確定診断に用いることは(残念ながら)できません。「胃や大腸癌のリスクがあります」と言われた際には内視鏡検査で詳しく調べて確かめるしかないのです。

ららぽーと横浜クリニックでは胃と大腸の内視鏡検査を日々行っております。アミノインデックスの検査に引っかかってしまった方や、その他の検査結果で精密検査の指示を受けた方はお気軽に当院までご相談ください。

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