こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。

日本人の死因の上位に挙げられる「大腸癌(がん)」は、自覚症状を伴わないことがしばしばあります。
当院では年間数千件の大腸内視鏡検査を行っていますが、実際に大腸癌が発見される方に「特に自覚症状が無い」というケースが少なくありません。

「私は大腸癌検診を受けているから大丈夫!」という方もいらっしゃるかと思いますが、実際に大腸癌を診断するのには何が必要なのでしょうか。皆さんが受けているのは、果たして本当に大腸癌を診断可能な検査でしょうか……?
今回は「大腸癌は内視鏡検査でないと診断できないのか?」というお話です。

 

大腸癌の検診

日本人の死因の多くを占める癌に対しては、早期発見のために市区町村などの地域や職場で癌検診が行われます。大腸癌の検診として多く行われているのが「便潜血検査」です。このブログを読まれている方の中にも受けたことがあるとか、毎年受けているよという方がいらっしゃるのではないでしょうか。
便潜血検査は、便を採取して便中の血液の有無を調べる検査で身体的にも金額的にも負担の少ない方法です。1000人検査をした場合、100人は陽性、そのうちの3~4人に癌が発見されると言われています。
検査の精度を上げるために現在は2日に渡って便を採取するのが主流となっていますが、陽性反応が2回のうち1回だけでも精密検査を受けるように案内されます。
とても簡単で安価な検査というメリットはありますが、一方で進行大腸癌があった場合でも、80%の陽性率のため20%は見逃されてしまうというデメリットもあるのです。便潜血検査は決して精度が高いとは言えない検査ですから、潜血の陰性が続いていても2年に一度は精密検査を受けたほうが良いでしょう。

では、大腸癌の精密検査にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

大腸癌の精密検査

大腸癌の精密検査としては、「注腸X線造影検査」と「大腸3D-CT(CTコロノグラフィー)」と「大腸内視鏡検査」があります。

・注腸X線造影検査

肛門からバリウム溶液と空気を入れて膨らませます。そして、大腸にバリウムを付着させ、X線写真を撮る検査です。大腸の形、大きさ、内径、位置、粘膜の様子から大腸の全体像を診断できます。

 

・大腸3D-CT(CTコロノグラフィー)

「バーチャル大腸内視鏡検査」と呼ばれたりすることもあります。
大腸を膨らますための炭酸ガスをお尻から注入し、新型の64列マルチスライスCTで大腸を撮影し、コンピューター処理によって大腸の三次元画像を作成して大腸の腫瘍性病変などを診断する検査です。

 

・大腸内視鏡検査

肛門から内視鏡を直接挿入して大腸粘膜を観察する検査です。数mm程度の小さな病変を見つけられるだけでなく、病変が発見された場合は組織の採取やポリープの切除を行うことができます。現在、便潜血の精密検査として一般的に行われるのは大腸内視鏡検査です。

いくつか精密検査があることをお分かりいただけましたか?
では、ここからが本題です。大腸癌の確定診断はどの検査でも行うことが出来るのでしょうか?

 

大腸癌の確定診断

精密検査でポリープや病変が見つかった場合、その組織の一部を採取し顕微鏡で調べて癌であるかどうかの鑑別を行いますこの検査を「病理検査」と言います

組織の採取を行うには、大腸内視鏡を用いて生検鉗子と呼ばれる器具(※要するに直接組織を採取する道具です)を内視鏡に通し組織を摘み取り検査に出す必要があります。

このように、大腸癌は病理検査をもって確定診断となります

大腸ポリープやその他の病変があるかどうかは注腸検査や大腸3D-CTでも確認できる場合もありますし、「大腸癌らしきもの、疑わしいもの」が見付かることはありますが、実際に癌であるかの確定診断のためには大腸内視鏡を用いた組織の採取が必要になるのです。
つまり、大腸癌の確定診断のためには最終的に大腸内視鏡を受ける必要があります。

 

最後に

大腸癌の確定診断には大腸内視鏡検査を受ける必要があるということをお分かりいただけたでしょうか。
癌は病理検査をもって診断が確定します。体組織を直接採取できないその他の検査では現状、二度手間、三度手間になってしまうんですね。絶食した上で洗腸腋を飲むといった事前の準備にも大差ありません。

様々な検査方法はありますが、大腸癌の早期発見や予防(大腸ポリープの時点で切除することで癌になる前に治療することができます)のためにも、当院では定期的な大腸内視鏡検査をお勧めしています。

他の病院で大腸検査中に苦痛を感じた方や「二度と受けたくない!」と思われた方でも、当院では苦痛がない大腸内視鏡検査を行っております。ご検討中の方は是非一度ご相談ください。