こんにちは。横浜市内科のららぽーと横浜クリニックです。
女性の方で「自分はトイレが近い」と感じた事のある方は多いと思います。
男性も「女性はトイレが近いというけどなぜだろう?」と疑問に思ったことがあるかもしれません。実際、頻尿の症状で当院を受診する患者さんの多くが女性です。
今回は悩まされている女性も多い「どうして女性はトイレが近いのか」というテーマでお話ししていきましょう。

 

トイレが近い=頻尿

さて「トイレが近い」とは言いますが、実際に「トイレへの距離が近い」ことを意味するわけではないのは……当たり前ですよね!これは比喩表現です。
一般的に会話で用いられるような「トイレが近い」は「排尿のためにトイレに行く回数が多くなる」という意味合いで使われることが多いでしょう。こうした、尿を頻繁に出したくなることを「頻尿(ひんにょう)」と言います。

では、なぜ女性の方が頻尿の傾向にあるとされるのか、皆さんは考えたことがありますか?
「女性の方が膀胱(ぼうこう;おしっこを体内に溜めるタンクのことですね)が小さいのかな?」なんて声が聞こえてきそうですが、実は女性も男性も膀胱の最大容量は300-500mlあり、通常は150-200mlも溜まるとトイレに行きたくなります。

つまり、膀胱の容量には男女で大きな差がないのです。

……え?膀胱ではなければどこに差があるの?
実は、この話のポイントは膀胱のサイズではなく「尿道」にあるのです。

 

女性は尿道が短いためにトイレが近い

トイレのイラスト

ここで核心に迫っていきましょう。
ずばり、女性の方が男性に比べてトイレが近い理由は「女性の尿道が男性よりも短く、尿道を支える筋肉も弱いために尿が出やすい構造になっているから」です。

また、女性は妊娠や出産により尿道の位置の変形や骨盤底の筋肉群の機能低下が起こりやすくなります。
普段は内臓を下から支えている骨盤底筋群という筋肉の集まりが、骨盤が開くことで筋肉が切れたり伸びたりして、臓器が支えられなくなる場合があるからです。
産後は骨盤の状態が元に戻りますが、中には完全に戻らない場合もあり、加齢によって骨盤底筋が衰えて頻尿や尿漏れをすることもあります。

このように、体の構造によって女性の方が頻尿になってしまいがちなのです。
なお、男性に関してはこの逆で、女性よりも尿道が長く、他の臓器で固定されているので、比較的尿が出にくい構造になっています。身体構造としては正反対と言えますね。

 

トイレが近いと疑われる病気は……?

一般的に成人の排尿回数は日中が5~7回、夜間は0~1回程度ですが、日中に8回以上、夜間に2回以上トイレに行きたくなる人は頻尿の可能性があります
当然ながら病気とは関係のない方で頻尿の場合もありますが、頻尿が病気によって起こされている場合もあります。
女性の頻尿の主な原因として考えられる病気は、「心因性頻尿」や「過活動膀胱」「膀胱炎(尿路感染)」などです。
以下に簡単な解説を記します。

心因性頻尿

心因性の名のごとく、不安や緊張、ストレスなどが原因でトイレが近くなることがあります。

過活動膀胱

過活動膀胱(かかつどうぼうこう)とは、膀胱が過敏になって尿意にすぐ反応してしまうという症状です。急に尿意を感じてしまったり、トイレに間に合わず尿漏れを起こしてしまうような場合もあります。

膀胱炎(尿路感染)

何らかの形で細菌が膀胱に入り込み、炎症を起こすことで、残尿感や頻尿、血尿、排尿痛が起こります。膀胱炎も女性の発症率が多く、これは女性の尿道が短いのに加えて、肛門や膣などと入り口が近いために大腸菌などの細菌が進入しやすいことが関係しています。
他にも生理中に経血の溜まった生理用品を長時間使用した状態でいると膀胱炎になることも多いので、生理用品はこまめに換えることを心がけましょう。

やはりこの中で一番耳にする病気は膀胱炎でしょうか。「おしっこを我慢しすぎると膀胱炎になるよ!!」なんて脅かされたことのある方も多いと思います(私もそうでした)。
女性の身体的な構造上、膀胱炎になりやすいのは仕方がないかもしれませんが、免疫が落ちた時に膀胱炎になることも多いです。しっかり休息をとり、清潔を保つことが予防の第一歩となるでしょう

 

まとめ

「女性はトイレが近い」とはよく言われますが「尿が出やすい体のつくりであり、泌尿器関係の病気になりやすい」という理由があったことがお分かりいただけたと思います。
身体の構造上、トイレが近いことは仕方が無いのかもしれませんが、膀胱炎は予防することができます。
生活習慣に気をつけ、位置的になかなか難しいのですが尿道の入り口が汚れないよう、なるべく清潔を保つように心がけましょう
上述した病気について、頻尿は投薬で改善も可能です。「おかしいな?」と感じたら無理はせずに早めに内科へかかり、医師へ相談をしましょう。
もちろん、当院でも対応可能ですよ。