こんにちは。横浜市内科のららぽーと横浜クリニックです。

皆さんはカラオケに行った後やスポーツなどの応援の後、コンサートでたくさん声を出した後などに声が枯れることはありませんか?サッカー・ワールドカップの興奮で思わず叫んでしまった方もいることでしょう。風邪を引いた時にも声が枯れることがありますよね。

この「声が枯れる」ことを「嗄声(させい)」と言います。

今回は「声はどうして枯れてしまうのか」をテーマに、お話ししていきたいと思います。
 

声が枯れる原因

声が枯れると「声が出しにくい」、「のどに痛みがある」、「のどが渇きやすい」などの症状が出てきますが、声が枯れる原因はどこにあるのでしょうか?
声が枯れる理由には以下の原因が考えられます。

・声の出しすぎによる炎症

・風邪などによる炎症

・飲酒や喫煙の影響

・加齢変化

・のどの周りの病気などによる物理的な影響

上記について詳しく解説しましょう。

 

声を出しすぎたせいで、声がかすれてしまう

内視鏡による声帯画像

カラオケでの歌いすぎや大声を出すことにより、「声帯」と呼ばれる発声するための器官に大きな負担がかかることで炎症やむくみを起こし、声のかすれが起こります。
※写真は内視鏡で撮影した女性の声帯です。

特に長時間の発声や急激に発声した場合、また自身の限界声量で歌ったり叫んだりしてしまうと声枯れが起こりやすくなります。
こうなってしまった場合、やはり重要になるのは休養であり、無理に声を出さないということが症状の改善に繋がります。

 

風邪などで起こる炎症によるもの

風邪(≒上気道炎;じょうきどうえん)やインフルエンザに感染することでのどに炎症が起き、「喉頭炎(こうとうえん)」になり、粘膜が赤く腫れ上がってのどの痛みやせき、声がかすれるといったことが起こります。基本的には風邪やインフルエンザが治れば喉頭炎も治ります。

 

飲酒や喫煙の影響

世の中には「酒焼け声」なんていう言葉がありますが、アルコールを体内で分解するには水分が多く必要になり、細胞から水分が奪われます。そのため、のどが乾燥してしまい炎症を引き起こすことがあるのです。
特にアルコール度数の高いお酒はのどの粘膜を刺激して炎症を引き起こし、痛みや声のかすれる原因となる場合もあります。

一方、タバコの煙に含まれるタールは気管や気管支を刺激し、声帯に炎症を起こしますし、煙を吸うことでやはりのどの乾燥にも繋がります。長い喫煙習慣により、声帯がむくみ腫れることによって声がかすれるという人も珍しくありません。

飲み会などの場ではこの二大要素の悪影響をモロに受けてしまう上に、大声で喋ったり騒いだり、発声に良い環境とは到底言えないでしょう。飲み会の後の声枯れはあなたの「のどが悲鳴を上げているようなもの」ですね。

 

加齢による声枯れ

そもそも「声帯」という器官が振動することで声が出る仕組みなのですが、声帯は加齢に伴い変化を続けます。成長期における「声変わり」が特に有名ですが、これはいわゆる「のどぼとけ」が大きくなることで起こります。

高齢者の場合は声帯が痩せて萎縮し、すき間ができてしまうことが多く、そのすき間から息が漏れることでかすれた声になりがちです。加齢によって女性は声が低くなり、男性は逆に少し声が高くなる傾向にあります。肺活量の低下による声量の低下も要因の一つに成り得ます。

 

のどの周りの腫瘍や病気による声枯れ

ここまでお話ししてきた原因については聞いたことがあったり、実際に経験したことがあったりというところかと思いますが、のどの周りの腫瘍や病気によるものは耳になじみがないのではないでしょうか。
そこで、ここからはこれらの「声帯疾患」と呼ばれるものについて触れていきたいと思います。

 

声帯ポリープ

声帯粘膜に内出血が生じ、「ポリープ」というイボのような形をした小さな突起物ができ、声がかすれて大きな声が出せなくなります。基本的には声の出しすぎが原因で発生します。
中年男性や無理な発声をする人、喫煙者に多く見られます。喉頭炎にかかっていると起こりやすく、珍しい症例では大きくなった声帯ポリープが呼吸困難を引き起こす場合もあります。
大腸癌などと異なり、ポリープが癌化することはありませんが、初期の喉頭癌が声帯に発生した場合にはポリープと区別が付きにくいため注意が必要です。

 

声帯結節

「声帯結節(せいたいけっせつ)」は、声帯の両側(片側だけの場合もあり)に小さくて硬いタコやコブ(腫瘤)のようなものができる疾患です。声帯が上手く開閉できずに声がかすれ、主に高い声が出にくくなります。
声帯ポリープ同様に声の出しすぎが原因となる炎症性のもので、高い声を使う女性や年少者に多く見られる傾向があります。歌手やアナウンサーなどの「職業性が表れやすい疾患」とも言われます。
結節を有した状態で無理に声を出し続けると、その部分はだんだんと固くなり、外科的な治療(手術)が必要となってしまいます。

 

喉頭癌

喉頭部(こうとうぶ)にできた癌(がん)が、声帯の正常動作の障害物となることにより声がかすれます。喉頭癌はその初期にはポリープのように見えますが、進行に伴って大きくなり、呼吸などを妨げてしまうこともあります。
これと同様に「肺癌」や「食道癌」でも癌の進行によって周囲に広がっていく過程で、声帯に行く神経の邪魔になるために声のかすれが起こります。

 

この他にも、「橋本病」などの甲状腺の病気などによって声の枯れ、かすれが起きることがあります。
風邪や声を出し過ぎたことによる声のかすれは長期に続くことはほとんどありませんが、声がかすれたりのどに違和感を覚えたり、症状が長く続く場合は上述した病気も考えられるために注意が必要です。

 

まとめ

「いつものチャーミングな美声がガラガラ声に……」なんていう経験は、誰もが一度はしたことがあると思います。
経鼻胃内視鏡検査声枯れが長期に続く場合、放っておくと大きな病気、生命の危機へと繋がってしまう恐れもあるので、症状が一時的な炎症によるものなのか、病気を伴っているものなのかを見極める必要があります。


改善されない場合には自己判断をせず、必ず病院へ足を運んでください。

喉頭癌の説明の際に食道癌の話も出ましたが、食道癌は「上部消化管の内視鏡検査(胃カメラ)」を行うことで発見することができます。
実は胃カメラの通り道になるので、(中心に見る箇所ではありませんが)声帯ポリープなどの病変も観察することが可能ですよ。

当院では「オエッ」という嘔吐反射の起きにくい、鼻から挿入する胃カメラを行っています。お気軽にご相談ください。
興味のある方は当院監修の「経鼻内視鏡.jp」も合わせてご覧くださいね。